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この物語は、フィクションです。
そこには、『君に伝えたいのは、コンテストについての連絡だよ!』という題で、『小説家になったろう』の運営が、コンテストの主催者からの取次の依頼を受け、主催者から預かった文面と、主催者へ直接連絡してほしい、という一文が書かれた、メッセージがあった。
また、転送先アドレスとして、『書籍化に関するガイドラインはしっかり確認してね!』のページに飛ぶようなリンクもあったのだ。
そして――。
『受賞作:タイトル:ボインの伝説
賞:佳作
副賞:賞金5万円・書籍化検討及びコミカライズ検討』
――という内容が、確かに、そこには、書かれていた。
「……は?」
まるで一人芝居でもしているかのように、おれの口からは間抜けな音が漏れ出たのだ。
「え? 『ボイ伝』が? なんで?」
何度も、何度も、落選し、悩み、苦しみ、諦め、達観してきた、今。
まるで、この通知がいわゆる嘘告のように、信じられなかったとして、それを誰が咎められるのだろうか。いや、ない。反語。
「え、あ、いや。自分でも『ボイ伝』、好きなんだけどな。好きなんだけども。なんだけども!?」
何度も、何度も、運営からのメッセージを読み直す。
混乱している頭の中を整理するように。
そういえば、『ボイ伝』が最終選考に残った小説賞がひとつ、あったような記憶があった。
そして、一文に、気付く。
『書籍化・コミカライズについては検討するみたいなんだけど、それって確定じゃないから! そこ、気をつけてね!』
「……っておい!? 運営!? ガイドラインとかにジャンプさせるメッセージだから書籍化されると思ったじゃねーかっっ! ぬか喜びさせてんじゃねーよっっっ!!」
とりあえず、この日。
身延は、おれにとっても、個人的な聖地となったのだ。思わず叫んでしまうくらいの……。
……かつてないモチベーションが心の奥底から湧いてくる。
そう。
おれの、小説家を目指す道は、これからだっっ!!!!!!
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
自称なろう作家の、エタらせ、拗らせ、言い訳物語、ここに完結!