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実家で年末年始を過ごして、かつて自室だった部屋の本棚にあった懐かしいラノベを読んだりしつつのんびり過ごして、おれは戻ってきた。
ところが、一旦止まってしまった手は、今度はなかなか動かない。ダンジョンものは、ひょっとしたら、自分の中で書きたい部分を書き切ってしまったのだろうか。
そこからは、書いたり、消したりを繰り返しつつ、書き進めるペースが遅くなっていく。
……あの時、『ボイ伝』も、ポイントの後押しがなかったら、こんな感じで停滞してたのかもしれない。
そんなことを、ふと、おれは感じていた。
そして、1月半ば。
応募していた小説賞の一次選考の結果がネット上で発表された。応募した2作品とも、落選。一次を通らなかったので、「評価シート」も、もらえない。
「ふー、「評価シート」はほしかったけど、どっちも落ちたかぁ」
ショックは、あった。だが、これまで、あまりにも、何度も、このネット上で小説賞に落ちてきたのだ。落ちることにも慣れてきていたのかもしれない。
もちろん、自分が書くことを楽しめた、という部分で、そちらに満足していたことも大きな影響があったと思う。
「ま、『なったろう』で公開するだけだろ。誰かが読んでくれるし」
そうして、おれは、公募落選作である『リアルダンジョンとタイムアタック ~RDTA~』の予約投稿を始めたのだった。