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それでも、ネット小説のいいところは、読者から直接、コメントをもらえるところだ。
モチベーションは保てていないが、それでも、読者の声をモチベーションに変えようと、おれは自分を奮い立たせる。
『第一部完といった感じなので是非続きが読みたいです。城に残った子達のその後が気になります。闇落ちしそうな子もいますし…ハーレム展開が苦手なので最初にカップルができたのはよかったです。数多涌き出るライバルをリコちゃんがちぎっては投げして欲しい』
こういう感想をもらっておいて、中途半端はよくないんじゃないか。
そんな思いで、続きをひねり出すように、キーボードに向かって必死で指を動かしていく。
そのタイミングで、『なったろう小説コンテスト』に応募していた短編『気の弱い元カレの未練旅断ち ~オレが前を向くには、あいつにぶちまけるしかない~』が、コンテスト運営による感想サービスに当選したらしい。
『北陸新幹線の車窓から始まる静かな動き出しが、どこか切なげでグッと引き込まれてしまいました。
2泊3日の一人旅は元恋人を回顧しながらの道中だったので、登場人物が二人いたように感じ、飽きをせずに読むことが出来ます。また、だんだんと輪郭が見えてくる彼の気持ちが一体どこにたどり着くのかという考察をして、読むことも出来ますね。まるで旅番組のように風景が描写されていくので、実際に目で見たような感覚になり、登場人物ともリンクしていきます。ラストは切ないながらも、彼の気持ちに寄り添いたくなりました。今後の活動を応援しております』
最後はちょっと、就活のお祈りメールのような匂いがするものの、こんなに素晴らしい感想を頂けたのだ。
ほとんど失われつつあったモチベーションが、少しだけ復活した。