20
その世界に。「NTR-ざまあ」の世界に到達してしまったおれは、構想を練った。
基本的に失恋系の物語には強く共感できる。おれにはそういう人生経験しかないせいだろう。だが、いくつもの「NTR-ざまあ」を読んでいくうちに、なんとなく、自分の中では「惜しい」感じがするのだ。そこにこだわりたかった。
やはり、二人の関係は幼馴染、裏切るのは彼女、主人公は、彼。ただ、ひたすら復讐をするというのは、現実的……リアリティがなさすぎた。
それでも、復讐はしたいのだが、ここが難しい。復讐の多くのパターンは犯罪行為だ。
そうして考え出したのが、ネットリテラシーの低さによる、どこかの誰かの復讐代行。主人公は自分で復讐するのではなく、ちょっとしたネットでのつぶやきで……その結果として浮気女が追い詰められていくバタフライエフェクト。
全てが現実的なリアリティがなくてもいい。どこかにリアルにありそうな何かを詰め込む。
ただの「NTR-ざまあ」は書きたくなかった。
それでいて、読後感を少しでもマシに……もう一人の幼馴染の存在……。
そうして、全神経を集中して書き上げた短編『NTR幼馴染フォールインヘル ~あんなに好きだったあの子が気持ち悪い~』が、完成した。




