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91 狩人ミエリキ

「お待たせしました。お伺いしておりました、チェーンブレスレットです。」


繊細な極細のブレスレット、3重にして用いるデザインだ。

それぞれに濃さの異なるエメラルドが配されている。

純金の金色とエメラルドグリーンがダナイデ様の髪の色に溶け込むようで幻想的なコントラストを醸し出している。


「これは…なんとも…」

「うわー、ダナイデ様、素敵~」

「サールト、これは何時もにも増して見事だな…」


「それはもう、伊織様、職人がお召に成られるダナイデ様の事を根掘り葉掘り…2時間近く、伊織様とダナイデ様について知る限りのことを伝えましたよ。」


「さすが、良い職人を持っているな。まるで、元々ダナイデの一部のようだ。」


ブレスレットを受け取り、ニケ用とメガロドン用のアクセサリーも依頼する。

ニケには戦闘の邪魔にならないように、アンクレット。

メガロドンにはアンクレットを改造して尾に付けられるサイズを注文する。

メガロドン用はサイズが異常だが、サールトはなにも言わずに引き受けていく。


「…やはり、サールトはできる商人よな…」

「はて、何の事でありましょう…」


サールトも重々承知と態度で匂わせている。


「そういうサールトなればこそ、一つ頼みがある。サールトなら良い狩人のがあろう。いや、直接狩人に狩りを依頼したいのではない。捕れた獲物を任せられる代理人を求めているのだが、コカトリスを扱うので一般人では無理でな。それとコカトリスを捕る仕掛けの守秘義務を遵守できるだけの人格も併せ持ってなければならない。」


「なるほど…伊織様、かなり特殊な人材ですね。狩人で義理堅く仕事に真面目な者…だが、狩人の腕そのものは並で良いわけだ…おお、そうだ、あの者なら!!」


「お、誰かいるか?」


「はい、狩人の腕自体は普通ですが、仕事が無駄に丁寧で損している男が居ます。嫁が早々に亡くなって子供に仕事を教えながら慎ましい生活をしています。」


「ほう、それならリスクも少なく安定した収入が得られるから丁度よいな。」



サールトに紹介された狩人「ミエリキ」の家に向かう。

ジャラランバードの下町をリヤカー車で進むと行き交う人々の視線が集まる。

やはりダナイデ様が場違いすぎて目立ってしまう。


「突然邪魔してすまぬ。ミエリキ殿は居られるかな。」


「…あっしがミエリキですが、どちら様で?」


「サールトに教えてもらって来た。木村伊織と申す者だが。」


「サールトの旦那から?それならご存知かと思いやすが、子供が大きくなるまでは危険な狩りは受けない事にしておりやす。」


「うむ。だからこそ来た。実は安定してコカトリスを捕る仕掛けを持っているのだが、忙しくてな。管理できる人材を探しているのだ。」


「…コカトリスを安定して捕る仕掛け?そいつぁまた…そうか、コカトリスはそこらの者には危険か…」


「うむ。やはり狩人の知識と経験が無いとな。だが、すでに捕獲してあるコカトリスを捌いて市場に持ち込むだけだし、仕掛けは何回でも再利用できる。ミエリキならなんら危険のない仕事だろう。上納金はミエリキが収めようと思う金額を適当に決めれば良い。サールトにも少しは紹介料を回してやれ。子供に金がかかるなら上納金は形だけの金額でかまわん。ただ、仕掛けの守秘義務はきっちり守ってもらう。強力すぎる仕掛けなので、皆が真似して乱獲すると、コカトリスが絶滅しかねん。」


「…コカトリスが絶滅だと? 有り得ねえが…わかった、とにかく一度見せてくれるか。本当にコカトリスが捕れているなら引き受けよう。だが、上納金はそんなのでいいのか?まあ、金に困っている風には見えねえが、いくらなんでも甘すぎねえか?」


「サールトには何度も仕事を依頼して信用している。そのサールトがミエリキなら安心だと云っていたのでな。勿論、他の者にはこんな話はしないさ。」


「…なるほど、サールトの旦那の顔にドロは塗れねえからな。」


話がまとまりミエリキも乗せてイスカンダル・クーク湖の『かすみあみ』の現場へ向かう。ミドリやテイルに曳かせるリヤカー車の居心地が悪いのか、はたまた目の前のダナイデ様にされているのか、荷台の隅で小さくなっている。


「そんなにかしこまらなくて良い、ミエリキとは対等の仕事仲間だぞ。」


「…いや、そりゃ無理だ。まるで格が違うのは俺でも判る。今思い出した。サールトの旦那が時々嬉しそうに話していた、かぶきの伊織だろ、あんた。貴族や将軍にも一目置かれているらしいじゃないか。前の2人は良い服着てるが、あんたの奴隷だろ。奴隷に貴族並の生活させる変人が居ると有名だぜ。」


「貴族の暮らしがどうだかは知らんがな。仲間には俺と同じ待遇を最初から約束している。ミエリキも仲間に成ってくれるなら同じ待遇を約束するが。」


「…仲間…いい話だが、俺がちゃんとその仕掛けの管理が出来るかどうか、まだわからねえ。ちゃんと仕事が軌道に乗ったら、子供にも手伝わせるから、その…」


旦那イオリさま。ミエリキさんはお子様にもお仕事教えて戴けるみたいですよ。お子様がミエリキ様の後々も管理してくださるなら、この先50年は大丈夫ですね。」


「なるほど、それは良いな。仕掛けの管理を親子2代で任せられれば助かる。」


「お、奥方さま、すまねえ。今度は子供も連れてきていいか?」


「勿論ですわ。でも、正室は前のミドリさんですのよ。」


慌てて降りようとするミエリキをミドリがひとにらみで荷台に戻らせる。

うむ。正室の威厳が出だしたな。おくむきはミドリが居れば安心だ。

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