表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/191

87 花札

コルストンとの会談を終えて店を出る。

転移者ギルドの前なので転移してきたばかりの、元の世界の衣装の者も多い。


「彼らの仕事も将来無くなるかもな…ま、そのときは普通に働けばいいか。」


俺自身、冒険者というよりは、普通に漁師やってるし。

転移してきて『勇者』の肩書で農夫やらされたら『詐欺だー』とか云うかな。


しかし、すでに酒を横流ししていたか。さすがだな、コルストン。

奴は奴ですでに教団を堕落させるべく、手を打っていたとはな…

この様子だと、他の商人もすでに動いているかもしれん。


酒があれば、次に欲しくなるのは博打だな。サイコロを何で造るかな。

石は加工が面倒、動物の角は捕るのが手間だな。

たんこくたんのような、重い木材が良いか。

木材ならダナイデ様に頼めば、何か有るだろう。


ケルート人の弓の改良は進んでいるかな?初期文化の改良は遅いからなあ。

一つはマトモな長弓造っておいて、次の機会に実物渡しておくか…。


「主さまー、おかえりーー」


かなり離れているのに、テイルが屋上で手を振っている。

よく気がつくものだ…。匂いが風で運ばれたのかな?


「おぅ~。結構歩いて腹減ったわー。魚焼いてくれー。」

「解ったー。焼いとくねー」


池の備蓄食料があるので、こういう時は便利だな。

いずれエビも池に放流しておこう。


「久しぶりに歩いたら、結構足に来るわ…。」

「主さまは、もやしっ子だからねー。はい、焼き立てだよ。」

「おぅ……美味え……。やっぱ焼き立ては最高だな。」


これは貴族だけでなく、安価で庶民にも行き渡らせよう…


旦那イオリさま、お疲れさまでした。」

「うん。ダナイデ、もう知ってるだろうけどサイコロ用の木材なにか有るかな。」


旦那イオリさま、たんこくたんは存じ上げませんが、ローズウッドはどうでしょう?」


そうか、たんも、こくたんも熱帯付近が産地だった。

温帯、北の方は冷帯になるこの地域では有るわけないな。


「ローズウッドなら最適だよ。大きさは1cm~1.5cmの立方体だ。

転がすので、偏りのない完全な立方体でないとダメなんだ。」


「真四角の小さな物ですね。ちょっと造ってみましょう。」


さす森の精霊、すぐに30個近いサイコロの元が造られる。

大きさ、重さも完璧だ。濃い茶色の木肌で高級感がある。


「さすがだ…完璧。あとは1~6の目を入れて…この1の目には赤い色を着色するのが作法なんだ。2~6は、木肌が濃い色なので白色がいいかな…。」


最初は我々が造ってアチコチでどんぶりはちや双六とセットでバラ撒けばいい。

すぐに自作する人が出てくるだろうし…。


「ダナイデ、花札のほうは、縦5~5.5cm、横4~4.5cm、厚さは2~3mmぐらい。木目に沿って割れやすいので絵をいれたあとで、樹液塗って固めたほうが良いかな。」


旦那イオリさま、こんな感じでしょうか…。」


丁度よい頃合いの木札が出現する。ダナイデ様大活躍だ。

後は絵入れだな…こればかりは、絵柄を知っている俺が1セット、描くしかない。チマチマ絵を入れているとミドリやテイルも集まってくる。玩具が珍しいので興味津々のようだ。


「ご主人様、この一枚だけ有る札、大きな傘を持つ人の絵は王様でしょうか。」

「…うーん、誰の絵かは俺もしらないが、多分、昔の貴族だろうな。」


「主さま~、この綺麗な花にぶら下がっているのに書いてある文字、なにかなーー?」

「それは、『みよしの』と書いてある。元いた世界の、この花『桜』の名所の地名だな。」


それからも、満月が『坊主』と呼ばれている事や、いの鹿しかちょうが1セットになる事や、桐のカス札になぜか1枚だけ下部が黄色いものがある事とか、質問が有る度に説明する。ミドリが菊の10点札の『寿』の武蔵野さかずきに興味津津だったのはいうまでもない。


「しかし、俺たちで絵を付けていくのは非効率だな。『虹の架け橋』の連中で、文章は掛けないが絵は得意というのが居たら、これも外注するかな。」


「さすがです。合理的です。ご主人様の慈悲の御心に感涙にむせぶでしょう。」

旦那イオリさま、それなら隣に宿舎をつくりましょう。」


「ダナイデ様~。簡単なのでいいと思うなーー。」

「その通りです。ダナイデ様。屋根だけあれば十分です。」


…テイルはまだしも、ミドリは私情入りまくりだな…


「はいはい、ミドリさんとテイルさんのご希望も考慮して造りますね。」


ダナイデ様が少し離れた場所にログハウスを造ってくれる。

イシドロスに造ってもらった家の1/3ほどの小ぢんまりとした小屋だ。

外部施設は一切ない。

水道と水洗トイレは設置されている。

水回りは手を抜くと感染症とか危険だからな…


「ダナイデ、有難う。これで最低限はいけてるな。」

「贅沢です。木張りの床など無くても良いのに…」


「いや、ミドリ。あまり待遇下げると臭いし困るだろ…」

「テイルも臭いのは嫌かな~。元々臭いのに…。」


やっぱ相当臭かったんだな…


「ミドリさん、下請けさんに成るのですから支配下の農奴と思えばよいのでは?」

「農奴…ですか。それなら致し方無いです。」


奴隷ではなく、農奴も居るんだな…

そういえば、この世界の農作業現場は見たことがない。

どうも、雰囲気だと奴隷よりも下位カーストのようだが。


アーミル将軍かヴァーミトラに会う時に、ついでに聞いておくか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ