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82 グリフォン外交

「グリフォンの毛皮って、つるつるの短毛で良い触り心地ですね…」

「そ、そうであるか、イオリ殿は好きなだけ触れて良いのだぞ…」


「そうだ、この毛に合うブラシを造りましょう。」

マンディーのために…であるか。皆が帰ってくるまでマンディーが腕枕を貸そう…」


グリフォンの腕枕。ミドリやダナイデ様とも違った感触が新鮮だ。

尻尾で送られてくるそよ風…心地よい…



「あー、主さま、マンディーさんに抱っこされてるーー」

「ご主人様がグリフォンさんのペットのようです。」

旦那イオリさまのお嫁さん、6番目はマンディーさんになりました。」


「じゃあ、主さま。7番目はケルート人の誰かかな?」

「ご主人様の7番目は、ニケのエフソス様が合理的です。」

旦那イオリさま、なたからお召になられますか?。」


こいつら、言いたい放題だな。まだケルート人とは会えても居ないのに…

しかし、政略結婚はありえる手だ。

残念ながら完全人型の上位魔物がほとんど居ないのが難点だが…


「で、『かすみアミ』は無事に張れたのか?」

「ご主人様。ココはちょうど森の外れです。

コカトリスの通りそうな場所に2張だけですが、造ってきました。」


それなら、2羽や3羽は捕れそうだな。明日はケルート人と接触か…


!! そうだ !!


「マンディー、戦況の進展が遅いなら明日半日ぐらい付き合ってくれますか?」

いおり殿の頼みにいなやは無い。付き合え…で良い。」


…こういう部分、もとの世界の女性たちに薬にして飲ませたいものだよな…


「なら、明日ケルート人と接触するときに付いてきてくださいね。」



昨夜はダナイデ様の手配で、メガロドンの卵が見える池の縁でマンディーの腹に抱かれて眠る事になった。ターザンはこんな気分なのか。メガロドンの卵をいおりが見守っているので親メガロドンが驚いていたらしい。卵生だからな。外敵でも来ない限りは産みっぱなしなのだろう。俺自身は池脇でもマンディーの毛に包まれて快適な一夜だった。


「主さま、こっちにも有ったよーー」


目覚めの炭酸水をテイルがもってきてくれる。

無臭の天然炭酸水を、よく見つけて来れるものだ。音で判ると云うが…


「ご主人様、コカトリスが2羽かかっていました。触れないので塩湖の塩水いっぱい浴びせたら動かなくなったので持ってきてます。」


「胡椒がないのが残念だが、塩焼きでも十分旨いから大丈夫だろう。」


皆で森の外れに向かう。今回は自分の足で歩くしかないと思ったが、マンディーが背に乗せてくれた。マンディーめちゃ良い子。やっぱ、食べず嫌いはダメだな。


「ご主人様、ケルート人のようです…」


グリフォンに乗っているので驚いている。よしよし、良い感じだ。


「ここで止まって、向こうが来るまで遊ぶぞ。皆でマンディーの毛繕いだ。」


まだ専用ブラシは無いが、テイル用やミドリ用ブラシで毛繕いする。

マンディーが気持ちよさげに目を瞑ってなすがままにされている。


誰かが知らせに走ったのだろう、ケルート人数家族が遠巻きに見ているようだ。

その中から、幾人かの子供がジワジワ近寄ってくる。子供は好奇心旺盛だ。


一番近くまで来ている子供を手招きして、身振りでブラシを渡すと伝える。

恐る恐る寄ってきた子供がついに、ブラシをマンディーに当てた…


「☆ ★ ○ ● ◎」


なにか、ぶつぶつ言いながらブラシを当てている。表情は満足のようだ。


「★ ○ Σ◎◎◎ 」

「☆ ★ ○ ● ◎」


素手でも撫で始めている。ときどきちらをみて何か言ってくる。


「こ★ ○ ● ◎」

「この Σ◎◎◎ 」


「おとなしいだろ、このグリフォン。」

「このグリフォン  おとなし 」


だいたい通じるようになった。

コカトリスを出してその場で焼くようにミドリに伝える。

遠巻きにしていた大人もかなり寄ってきている。

他の子どももマンディーを撫で始めている。


「お前たちはどこから来た。」

「この森の反対側から来た。森の向こうの黒の海を越えた場所だ。」


焼けたコカトリスを配る頃には大人とも話ができるようになった。

聞いていた通り、ケルート人は毛皮を着用し素朴な槍や弓を持っている。


「今は塩湖のメガロドンと仲良くなったのでココまで来た。」

「グリフォンに乗れる者、初めて見た。」


「俺はイオリ、木村伊織だ。」

「グリフォンに乗る者、伊織…俺はガラディー、ケルテイクのガラディーだ。」


「ケルテイクは弓を使うのか?」

「漁につかう。だが、なかなか当たらない。」

「俺が弓を造ってみよう。」


森に入ってダナイデに弓に使う細い板を異なる材質で2枚造ってもらう。

それをガラディーの目の前で張り合わせ、綱でしばって丈夫な弓を造る。


(本当は、逆反りするように張り合わせると強い弓が出来るけれど、今は張り合わす事だけ伝えれば十分だろう。)


新しく作った弓をガラディーに渡して試射させてみる。

弓の威力が格段に上がっていて驚いている。


「どうだ、良い感じだろう?」

「矢が速い。これなら当てやすそうだ。」


「ガラディー、俺たちは魔物だけでなく、ケルテイクとも仲良くしたい。」

「ケルテイクは魔物と争っていない。問題ない。」


「黒の海の向こうの人間に、争いが好きなものが居る。」

「争いが好き?」

「今、魔物たちと争っている者達だ。気を付けておいてくれ。」

「判った、皆に伝えておこう、弓の事も。」


「では、ガラディー、今日はこれで帰る。」

「またいつでも来い。グリフォンに乗れる者、木村伊織。」



「…旦那イオリさま、何故弓を?」

「ケルテイクに抵抗する手段を持たせたかったのでな。

…あの状態では一方的に虐殺されかねない。」


インカやアステカの二の舞は御免だ…


「工夫する事を覚えれば、あとは自然と進歩していく。亜人側と接触する頃には長弓ぐらいは出来ているだろう。長弓隊は防御に強いし、比較的簡単に整備できるからな。」


「主さま~~、子供、喜んでいたねーー」

「グリフォンに触った事など無いだろうしな。」


次くる時は、なにか生活が楽になる方法を伝えないと。

この地形や気候だと、農業はきつそうだから、遊牧?かな。

でも、さすがに遊牧の知識はないぞ、どうしよう…






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