8 対面
奴隷候補が連れてこられた。
5人。…意外に多い。
5人を前にしても、いまさら俺も動じない。
既婚バツ1、32歳は伊達じゃない。
それなりの経験値は積んでいる。
1人目
凄い美形だ。モデル体型といえる。
とくに際立った外形的特徴はない、普通の人間の女性19歳。
が、まるで目を合わせない。
あー、これは婚活で年収2000万以上30歳まで、旧帝大卒限定とかのたまう類だ。
価格 白金貨1枚…だと…(あんたに買われるほど安くないわ…)というわけか。
2人目
異種族、エルフとのことだがイメージのような冷たい雰囲気はない。十分に美形だ。17歳。
普通に目を合わせてくるが、特別食いつくでもない。まあ、当然か。こちらは住所不定無職の32歳だ。
買われたら買われたでまあいいかな…そんなところか。
エルフなら魔力もあるだろう。
候補にいれるのも有りか。
価格 金貨10枚…手付だけ打って稼ぐことになるか。美形だし、しかたない価格か。
3人目
これは…見覚えがある。
ショウヨウとか云うあの未亡人だ。普通の人間の23歳。
真っ直ぐにこっちを見てくる。
なかなか芯が強そうだ。
容姿はやはり悪くない。悪くないが、覚悟が定まりすぎているようで、こっちが気圧されそうだ。
同じ人間というのもどうだろう。
長い目でみれば異種族奴隷のほうが、知見を広げる意味でも望ましいのではないか。
価格 金貨1枚と銀貨5枚…金貨1枚が借金分で銀貨が奴隷商の手数料か?
4人目
獣人猫耳の少女、実にキュートで『買ったああ…』といいたくなる。15歳。
クリクリの目で買って買ってオーラが半端ない。
獣人の地位が低いのか、口減らしで売られたか、はたまた買ってもらった方が幸せになりやすい種族なのか。
これではとても虐待の対象には成り得ないだろうし。
ただ、アイドル枠ではあるが初期の苦労を共にこなすパートナーとしては疑問符が付くか?
価格 金貨1枚…奴隷という体裁だが、普通に永久就職といったところか。
5人目
身長142cmほどの、やや太めの少女。これがドワーフか。16歳。
丸顔でそれなりに可愛い気があるがズンドウ体形、胸の突起はB程度。力は結構ありそうだ。
目が…この目は…ああ、陰キャの本の虫、どうせ私はお呼びでないでしょ…
と言いつつ心の片隅で王子様を待っている…そういう目だ。
普通はスルーしそうだが、あえて選ぶ手もあるか。知識は豊富だろう。
ドワーフは物理造形が得意なはず。
魔力皆無、腕力も乏しい俺には相性がいいかもしれない。
価格 銀貨35枚…だと?…いくらなんでも安すぎないか?
「質問だが、このドワーフは安すぎて不思議なのだが?なにか訳ありか?」
「流石ですな、伊織殿。
ドワーフの素養はそれなりに持っているのですが極めようとせず、やたら書物ばかり読みたがりまして。
ご存じかもしれませんが、ドワーフ社会は体育会系で理屈はいらん体で覚えろ…です。
口酸っぱく注意されても改まらず両親に勘当されてしまったのです。
またそういう事情ですのでドワーフとしては体力も少な目なため、高くは売れません。
が、伊織様なら、この子を上手く御せるのではないかと本人とも相談しましてこの価格に設定しました。」
なるほど、店長おすすめの子という訳だ。
この奴隷商、この機会に俺自身も値踏みしているな。
なんだかんだ言って並みの男同様、容姿にとびつくかどうか…と。
かなわんな、この奴隷商には。




