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74 劣性遺伝

夕凪に沈む夕日が人間のあかの付いていない黒の海をオレンジ色に染めてゆく。

空には家路を急ぐコカトリスがV字の編隊を造って飛び去ってゆく。


「主さま~~、夕日がきれいだねーーー」

「テイルも見ていたのか。水面が鏡のように反射して、キラキラしてるな。」


テイルが猫のように音もなく寄ってきて、ピタッとくっついてくる。


「じゃあ、主さま、けっこんしき、始めようか~~」

「…ぉ…おう…今のうちだしな、誰も居ないし。でも、いきなりなんだな。」

「ダナイデ様が、『主さまは臆病だから、テイルが捕食しなさい。』…って。」


…ほ、捕食って…

え、いきなりテイルが乗っかってくるの!! ぉ、おい!!いきなり…

テイルは紛れもなく肉食獣だった…

豪快ワイルドに食い尽くされたが、テイルのペロペロで復活させられ、また豪快ワイルドに…

イシドロスの職人がテイルの毛繕いで驚いていたが、そう云う意味だったのか。


旦那イオリさま、只今戻りました。」

「ダナイデ様、おかえり~~」

「テイルちゃんも、無事、お嫁さんになれましたね。」

「主さまは、すごく美味しかった~~」


…まさか、アーミル将軍の前とかで、同じ事言ったら…開き直ってかぶくか…


「ダナイデさん、どちらに行かれていたのですか?」

旦那イオリさま、ココの北側の森は時計回りにカザーフの森に繋がってます。」

「なるほど、確かにそんな位置関係になりますね。」

「ですので旦那イオリさま専用の細道を造ってきました。」


なんでも、大きな滑り台のような道を木製で造ったらしい。

その上を木製のソリのついた荷台で滑っていけるとのことだ。

カザーフの森の末端がアラール塩湖に面している。

明日はアラール塩湖の湖畔にも黒の海同様の別荘を造っておくと云う。


「アラール塩湖にも別荘ですか?」

旦那イオリさま、ご存知の通りメガロドンもお会いしたがっています。

ですが、アラール塩湖は遠いので向こうにも一軒必要と思いまして。」

「ダナイデさん、メガロドンって大きなサメですよね、確か。」


…まさか、6番目って、メガロドンとか。いや、いくらなんでも無理だろ…


「大丈夫、旦那イオリさまなら全く問題ありませんわ。」


ダナイデ様の説明では…

そもそもニケも、セイレーンも人魚も、人と異種族の交配で生まれたと云う。


神との交配で ニケ セト パステト アヌビスなどが生まれ

獣との交配で ミノタウロス ベヒモス ケンタウロスなどが生まれ

鳥との交配で ガルーダ ホルス ハーピーなどが生まれ

魚との交配で セイレーン 人魚 などが生まれた。


遠い未来にイオリとメガロドンの間で新種が生まれるだけだ…と。


「遠い未来…なのですね?」

「はい、すごく遠い未来です。」


なんでも、数世代は人間とは異なる方の種の外見で生まれると云う。

数100世代重ねていくうちに、半分近くが人形の新種が生まれるとのことだ。


「現代人にネアンデルタール人の遺伝子が入っているような感じか…」


現代人にも、ほんの僅かだがネアンデルタール人のDNAが残っている。

人族は異種族との親和性が高いのかもしれない。

多様な種族と交配可能にするため、劣性遺伝子として埋め込まれるのか。

その結果、表現型に人間の部分が発現するまで、数百世代かかる…と。


「…セイレーンは、その、ナニが人型だから可能でも、完全サメ型では…」

旦那イオリさま。元の世界の知識でご存知なのでは?

魚系の生き物の交配は卵の周囲を泳いで精子を浴びせるだけですわ。」


…つまり、鮭の養殖みたいに、搾精さくせいして、ぶっかけろと云う事か…


ダナイデ搾精さくせいのお手伝いを致します。全然ご心配はいりませんわ。」


ダナイデ様が、お、俺から搾精さくせいしてくださる、となっ…ごくっ…

良いのか?精霊さまが、さような事を…この世界の倫理委員会は…


「し、しかし、その、グリフォンは流石さすがに手の施しようが無いのでは?」


「あら、おたわむれを。

旦那イオリさまの元の世界では『獣○』と云う専門用語まで有るではないですか。

それこそ、何ら問題になりませんのでは?」


なっ!!誰だ、そんなマニアックな文化をこの世界に伝えた転移者はっ!!

一体、どういう人選で転移させてるんだ…


「…参りました…投了とうりょうです。全てはこころのままに…」


ドラゴンやヒュドラ、クラーケンとかと面識ができるまでに何とかせねば。

!!

ぁああー … さては、お姉さんの言っていた


『いつまでもぬるい事やってる余裕はない…』


って、この意味も含みに有ったのか…


投了とうりょう:将棋で、敗北を認めた事を意味する用語。

ふくみ:将棋で、いろいろな展開を読む場合に、主筋ではないが、別の可能性にも対応して備えている場合などで用いる用語。『45桂も含みにして、24歩が効くので…』などと用いる。

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