68 ニケ再び
「ダナイデ様、マンディーさんに連絡できますか?」
「ダナイデでいいですよ。連絡は大丈夫です。できますよ。」
「じゃあ、また今夜、来てもらえるようにお願いしてください。」
「旦那さまには、良いお考えが出来たのですね。連絡はお任せください。」
ミドリもテイルもチラチラ見ているが何も言わない。
今までの倍近い大軍での攻撃になりそうで、不安なのだろう。
「まあ、今回とにかく追い返せば当分動員出来ないだろう。何とかするさ。」
何とかするにはパーツが一つ不足だけど、コレはマンディーさん次第だし…
むしろ問題は今回追い返した後だな。資金の出所がハスモーン帝国なのが厄介だ。
エフタール王国そのものはどうなんだろう。
オリーミ公が大人しくなって、内輪で宮廷闘争だけやってくれれば最高なんだが。
…って、俺いつのまにか、完全に魔物側になってる?自分は中立のつもりだけど。
最悪、エフタール王国脱走も一応考えといたほうが良いかもなぁ。
………
……
…
ジャラランバードに着く。
ミドリとテイルが、二人で仲良く荷車曳いている。
「主さま~~、到着したよーー」
「では入ろうか。ダナイデさんも、こちらへ…」
手をとると、ダナイデ様が優雅に降り立つ。
ただ其れだけで、(お、お、お~……)と周辺がざわめくが無視して店内に。
「毎々世話になっている、木村伊織だ。主のサールト殿、おお、また頼みたい。」
「伊織さま、いつもありがとうございます。…此方様がマーマナ様?」
「いや、此方はダナイデさん。」
(店主殿、ダナイデ様はさる高貴な出自だが、お忍びだ。くれぐれも内密にな。)
(やはり左様ですか。伊織様。周囲の空気そのものが違いますな。)
(今日は運良く貴族は勿論、司教や司祭にも会わなかったので助かった。)
(偉い方々は王都で今、会議をされているようですよ、伊織様。)
(それは好都合…)
「今日はダナイデさんのブレスレットを頼みたい。髪の色に合せたいと思う。」
「緑がかった繊細な金髪…お美しい…
細手の純金のチェーンブレスレットにエメラルドを配するのは如何でしょうか。」
「…うむ。ダナイデさん、なかなか良いかと思いますが、如何でしょう。」
「有難うございます。旦那さまの、御心のままに…」
………
……
…
ブレスレットを注文して家路につく。
見上げる空にはやはりコカトリスがV字型に群れを成して飛んで…え?…ええっ…
「美味しそうな気を追いかけて来てみれば、また会いましたね、イオリ。」
「ニ、ニケの…確かエフソス様…」
「この、美味な戦の気の出どころは貴方だったのですね。」
突然のニケの出現で、ミドリとテイルが固まっている。
ダナイデ様は…首を傾げて微笑んでいるだけか…
「エフソス様、戦の気と申されますが、私達は全然戦いませんが。」
「フッ…最前線の衝突など所詮は懐石の只の一品にすぎぬでしょう。
戦場全体を見通す軍略こそ一連の戦の詰まったフルコースというもの。」
エフソス様、お姉さんと話が合いそうだな…バトルマニア同士……ぁ! そうだ。
「エフソス様、ただ鑑賞するだけでなく、ご自分も一手間かけて頂かれては?」
ド派手な役回りだし、きっと乗って来るはず…




