61 仕上がり
ギルドを出てジャラランバードへ向かう。
道中、お姉さんに指摘された攻撃案の対策を練る。
最近は考え事が増えてしまい、口数も減ってしまっている。
「いかんな、これでは。」
「? ミドリは大丈夫です。ゆっくりお考え下さい。」
心配されてしまった。考えるのを辞めて、純粋に膝枕を楽しむ。
「ああ、もしかすると、今夜、またグリフォンさんが来る。」
「…ご主人様、家が村から遠くで良かったですね。」
全くだ。お陰で深夜なら無理なくグリフォンに会える。
黒の海に行くルートもなんとかしないと…。
「主さま~~、マーマナちゃんのカチューシャ出来てるかな~~」
「どうかな。微妙な日数だけど。」
「ご主人様。ある程度出来上がっているカチューシャに宝石嵌め込んで、形整えるだけなら仕上がっていると思います。」
「成程、それもそうだな。」
そうこうするうちにジャラランバードに着く。
いつもながら、ここは活気がある。商業都市はこうでなければな。
…
…
「サールト氏をお願いしたい。特注品をお願いしている木村伊織だ。」
「木村伊織さま、しばらくお待ち下さい。」
前にも来たのでミドリもテイルも落ち着いて商品を見て回っている。
やはり女の子だな。男は買う気が有る時しか本気で見ないし。
「お待たせしました、イオリ様。良い仕上がりですよ。」
サールトが真珠のネックレスを出してくる。
自賛するだけあって、確かに素晴らしい出来栄えだ。
「ほおー、思っていたよりも、ずっと繊細な仕上がりだな。
粒が大きいので厳つい金具になってしまうか?と思ったのだが。」
「はい、イオリ様。職人もそれでは真珠が台無しだと心配しまして。
アームを倍の8本にする事で強度と繊細さを両立いたしました。」
「うむ、見事だ。2人とも、どうだ?」
「ご主人様、このような立派なものを私達が・・・」
「主さま~~、テイルの毛の色とぴったりー。」
次にカチューシャが出てくる。
「お!!、サファイアは1個でなく、5個入か。」
「ご主人様、これは素晴らしく上品な・・・」
「主さま~~、吸い込まれるような青だね~~」
良く有る表面積の大きなカチューシャでは無い。
サファイアの幅ギリギリのヘアーバンドのような控えめな造りだ。
それが返ってサファイアを引き立てる結果と成っている。
「こちらも職人自慢の品に仕上がっております。
傾きのイオリ様のご注文ですので、貴族趣味でない仕上がりを追求したと、職人が申しております。」
「素晴らしい出来栄えだ。これならマーマナに似合うな。」
「マーマナ様ですか。ぜひ、一度お連れくださいませ。」
「店主さま~~、マーマナちゃんはーーーー」
「うむ、そのうちにまた、機会があればな…。」
店主が訝しげな顔をしている。
マーマナが完全人形に変身できれば連れてこれるが無理だしな。
が、そこは筋金入りの商人、自制して深く追及してこない。
やはり、この商人は出来る…
「それから…こんな出土品は無いか?翡翠製品だが。」
勾玉の絵を描いて店主に見せる。
「あぁ~、はいはい、有りますよ。ずっと蔵で眠っています。」
「おっ!有るのか。それを3個、いや5個プラチナ鎖を通してくれ。
鎖の長さは1m程度。それを鎖の環にして通してほしい。」
「はい、イオリ様。30分も有れば出来ますのでお待ち下さい。
…あの、これ、一体何かご存知なのですか?」
「コレは我が故郷のご先祖様の伝世品で、勾玉と云う。
神様の加護を戴ける…かな?…もしかしたら…と云う物だ。」
「あぁ…露店で売られているパワーストーンみたいな…ですか。」
店主の表情が露骨に曇る。相当高値で仕入れていたのかな…
あの意味深な形状だ。なにかの魔具かも?とか考えていたか。
…
…
勾玉も受け取り支払いを済ませて店を出る。
「ご主人様、ありがとうございます。」
「主さま、3人お揃いだねーーー」
「そうだな、二人とも良く似合うぞ。カチューシャも良い出来だった。」
「主さま~~、あの勾玉はグリフォンさんのだねーー」
「テイル、よく分かったな。グリフォンとは仲良くしたいしな。」
「ご主人様、それは非常に合理的です。」
ふっ。ニケに震えていたミドリが、厳ついグリフォンを友達扱いとはな…
そうだ、いっそグリフォンに聞いてみるのも有りかもな。




