5 奴隷商コルストン
いよいよ村だ。
注意深く周囲を探っていると、男が声をかけてきた。
こいつは確か…
「こんにちは。転移者の方ですね。」
「確かにそうだが、貴方は?」
「私はコルストン、この村担当の奴隷商人です。」
ああ、葬列で未亡人と話していた、あの男か。
「ご警戒は無用ですよ、転移者さんたちは大事なお客様ですから。
転移者支援ギルドはまっすぐ行って、一つ目の角を右で、すぐに見えます。
うちの店はギルドのすぐ真正面です。」
「転移者支援ギルド?」
「ええ、昔は冒険者ギルドだったんです。
でも沢山の転移者さんが来られるようになって冒険者は居なくなりましてね。
今では転移者支援ギルドですよ…。」
奴隷商の話では今では魔物狩りはほとんど転移者任せらしい。
転移者が多数来るようになって、村も安全になり人間社会が発展しつつあるという。
転移者がどうしても手に負えない場合のみ、軍が支援するとのことだ。
転移者であれば戦死しても後腐れがない。
そこで汚れ仕事を支援するため、冒険者ギルドを転移者支援ギルドに組織改編したわけだ。
「この国には転移者が大勢活動しているのか?」
「いやいや、ほとんどの転移者はすぐに死んで魔物の餌になりますよ。
そうやって篩にかけて生き残った転移者だけが支援する価値もあるというものでしょう。
この村まで無事に到着されておられる貴方であれば、すでにご理解いただけているのでは…」
「確かにな。」
「すぐに当方の店舗にも御出でくださることでしょう。
その時はどうぞ コルストン を呼んでください。
貴方は何か、他の転移者とは違うように思えます。
お年もそこそこ重ねておられるご様子ですし。
きっと良いお付き合いができると期待しておりますので。」
たぶん、ココまで来た全員に同じセリフ言ってるのだろう。
32歳のバツ1。
営業トークを真に受けるには、日陰を知りすぎてるんだわ。もうね…




