48 S級
今夜は皆非常に機嫌がよい。
宿の棚に、二人のアクセサリーと3つの真珠が並んでいる。
いつものように3人で川の字で寝る。
「ご主人様、凄いです。セイレーンのお友達が居るパーティーになるなんて…」
「俺は元の世界でも、人よりも動物と仲良しだったからなあ…」
「テイル、マーマナちゃんとも一緒に寝てみたいなーーー」
「うーん、それは無理じゃないかな。マーマナが寝るのは水中だと思うぞ。」
幸せホルモンが出ているのか、今夜は二人とも寝つきが良い。
あっという間に寝てしまった。仕方ない、今夜はツンツンせずに寝かせてやろう。
《 伊織。約束よ… 》
…やっぱ、覚えていたのか。お姉さん、娯楽に飢えているなあ。
まあ、急所のアドバイスはナイスだったし、サービスしとくか。
「はいはい…」
個人情報開示(非合法)
【名前】マーマナ
【性別】雌
【種族】魔人類(セイレーン科)
【年齢】14歳
【職業】家事手伝い
【体力】中
【知力】中
【精神力】上
【物理耐久力】並中
【精神耐久力】上
【俊敏】強
【幸運】強
【魔力】中
【固有スキル】滅びの旋律
【学習スキル】セイレーン語
【装備】セイレーンの槍(投擲)
【交友】アスピドケローネ 木村伊織(ミドリ、テイル)
【備考】審議中
《 審議中かぁ…芽は有るわね… 》
お姉さん、何考えてるのやら…
でも俺達と接近したことで族長や仲間に虐めとかされてないかな。
あんな凄い真珠も持ち出してきてるし。
でもまあ元気そうだったし、大丈夫と信じよう。
明日はとにかく納品すませて、アクセサリー屋だな。
魞も…造…ら…な……zzz
………
……
…
爽やかな目覚めの朝だ。さっそくギルドに来ている。
周囲がやけに騒がしい。軍人も多く見かける。何があるんだ?
「…お姉さん、買取よろ。ナーガ7匹とスライム核3410個…」
「あ…はい、数えるのて暫くお待ちください。」
どうしたのかな? 心此処に有らず…って感じ?
…あ、ヴァーミトラが手招きしている。聞いてみよう。
「ヴァーミトラさん、今日は何事なの?」
「伊織さん、S級のゴダン・オーディンのリーダー、セイコ・サオリが来てる。」
セイコ・サオリ…名前からして転移者だな。偽名かな?
「ゴダン・オーディン先鋒の魔族領侵攻作戦の仲間?募っているんだ。
伊織さんは目立たないように後ろに居るほうがいいよ。」
「ヴァーミトラさん、軍人も多いですけど、アレは?」
「彼らは オリーミ公第15軍の将校だよ。ムロータ将軍の配下の。
今回の作戦の予算はオリーミ公から出ているらしい。」
「オリーミ公って、連年戦争やってるんでしょ。よく資金が続きますね。」
「それね。皆不思議に思ってたんだけど、だいぶ解ってきたんだ。
先日、唯一神帝国の司教がオリーミ公爵と会談したんだ。
どうもオリーミ公爵領で聖ハスモーン教の教会を造る許可を出したらしい。」
「布教の許可と引き換えで唯一神帝国が軍資金を提供ですか?」
「ああ。それも昨日今日の関係じゃないと思う。」
オリーミ公爵は借金してギャンブルしてる訳だ。破綻一直線だな。
「でも、ヴァーミトラさん。それってエフタール王国としては拙いですよね。」
「そうなんだよ。オリーミ公爵が次期国王になると、唯一神帝国に国ごと乗っ取られる。
この際、魔物に頑張って欲しいぐらいなんだが…」
「ヴァーミトラさん??」
「いやね、今回やる気出しちゃってる ゴダン・オーディン だけど強いんだよ。
掛け値なしのS級。セイコ・サオリは本物の勇者だと思う。
今までは地方軍閥の依頼は受けてこなかったのにね。どうしちゃったんだろう。」
ヴァーミトラが目配せした先でセイコ・サオリが檄を飛ばしている。
『死ぬ気で頑張れ。 死ぬ気で闘って死んだ人はいない。』
(うわあ…死んだやつも居るだろ…普通に…)
『誰かが最初にやるから前例となるし、道もできるのだっ。我々がやらずに誰がやるっ!』
(いやいや…別に俺は先頭走りたくないし…自分一人でやりたきゃやれよ…)
『自分を信じて戦うんだっ!』
(はい、はい。俺は自分の弱さを信じてますよっと…)
「ヴァーミトラさんとは、相性悪そうな方ですね…」
「伊織とはもっと悪いけどね…」
「じゃ、アーミル将軍とは?」
「勿論、最悪。お互い無視してる。」
俺のドーストン侯爵一党への好感度が結構上がったかも。




