43 将軍邸
珍しく、今朝の目覚めはお行儀よく 川 の字のままだ。
アーミル将軍から昼食会のお誘いが来ている。
みんな気が重いのか、普段の奔放さがない。
「おはよう。ま、呼ばれた以上、仕方ない。ちゃちゃっと終わらせよう。」
「それが合理的です。」
「ちゃちゃっと…」
………
……
…
アーミル将軍の私邸はジャラランバードにあるらしい。
ジャラランバードならちょうど良い。帰りにミドリとテイルにプレゼントも買える。
福利厚生は大切だ。
「ご主人様、ちょっと遠いですが歩いて行きますか?」
「いや、ここはわざと普段通り、荷車で乗り着けよう。
揺さぶったほうが将軍の本性が出やすいし、なにより面白いだろ。」
二人の表情の硬さがすこし解れる。
普段通りで良いとわかって安心したようだ。
「そうだ、町に入ったら、わざとミドリの膝枕で乗り込もう。」
「ご主人様…いくらなんでも…」
「テイルは、いつも通りがいい~~」
「決まりだな。」
………
……
…
あれが アーミル将軍の私邸 か。ほとんど城じゃないか。
四方に中世ヨーロッパの城のような「外殻塔」があるし、一段高い見張り台もある。
見張り台には人影も見える。俺達がやってくるのを観察しているのだろう。
荷車で乗り着けるのは正解だったな。
将軍邸の門衛が走ってくる。
「あ、あの、『残り福』の方々でしょうか。」
「あ、これは失礼…『残り福』リーダーの木村伊織です。」
膝枕から体を起こして挨拶する。
そのまま荷車で乗り付け、門の前で荷車から降り立つ。
門で待機していた執事?が荷車を見て困った顔をしている。
「ああ、これが我々の馬代わりなので、厩にでも回してください。」
「さようでございますか。では、皆さま、こちらへ…」
さすが、将軍家の執事、すぐに普段の表情に回復する。
つまらん…もっと傾いてやったほうが良かったか…
「ご主人様ぁ…」
『残り福』の良心、ミドリが察して困惑している。
仕方ない、ミドリの顔を立てて、真面目にやるか。今日だけだぞ。




