41 魞(エリ)設置
ヘルマンド川にナーガ罠設置して、イスカンダル・クーク湖へ向かう。
遠くに大きな鳥がゆったりと飛んでいる…
「あんな優雅に見えるけど、鳥って骨もスカスカにしてまで減量してるんだよな…」
「ご主人様、そうなのですか?」
「ああ。ウンコまでも、軽くなるように工夫してるらしい。」
「テイルは重いけどぴょんぴょん飛べるよ~~」
「テイルは凄いからな。俺達には無理だわ…」
………
……
…
今日は誰も居ないな。オリーミ公爵の別荘があると云うから警戒してきたが。
まあ、見られたところで理解できないだろうけど。
「よし、テイルは桶に水を入れていてくれ。
ミドリは俺と、その辺に舫いである小舟に乗って仕掛け作りに行こう。」
「網と棒だけでいいのですか?餌とかは?」
「魞には餌は不要だ。魚の心を読み取って誘導するからな。」
「え!?…魚の心…ご主人様、そんな能力まで…」
く、く、く…悩んでいる、悩んでいる…
こういう事で俺の株価吊り上げとかないとな。
残念 主でイメージが固定されてしまうからな。
「ああ。俺にかかれば魚の心など手に取るようにわかるさ。」
「ご主人様…」
ほれ、ほれ、もっと崇めろ…く、く…
「より、ここらでいいだろう。
ミドリ、この棒を真っ直ぐに深く突き刺して固定するぞ。
で上から見たときに 『つ』 の並びになるように、順番に湖底に打ち込んでくれ。」
「 『つ』 の形??」
「ああ、それが 魞 の一番肝になる部分だ。
誘導路になる、傘の真ん中や岸から伸びる軸も造るがそれは次に来たときだな。」
ミドリが意味不明な顔で作業している。俺は船のバランス取るだけ。楽でいい。
「よし、良い感じだ。
あとは、網を取り付けていく。
錘のある側を下にして、そうそう…横向きに、 『つ』 の形で。」
「こんなに強く縛っちゃっていいのですか?網が上げられませんが。」
「網は永久につけたままでいいから、大丈夫だ。」
「これでどうやって、魚が…逃げ道だらけだし…」
解らないよなあ…俺も最初見たときは謎だったから。
収穫にくる時が楽しみだ…
「よし、今日はこれで十分だ。帰るぞ。」
「……はい……」
全然納得できない…って感じだな。シメシメ。やっぱ意外性は重要だな。
そういう面では、なにも考えないテイルは逆に手強いな。
「ところで、ミドリ、塩湖では海藻とかは、やはり無いのかな。」
「昔は魚もいっぱい捕れて、海藻も取り放題でしたが…」
ミドリが云うには、
塩湖付近の領主でもあるヌクルハク・オリーミ公爵が塩湖に流入する大河川の水を大量に消費して綿の作付けをしたらしい。
その結果、塩湖がだんだん干上がってしまって面積も1/5ほどに激減。
塩分濃度も上がってしまって漁業は壊滅。海藻も全滅。
わずかに強靭な魔物が生き残っているが青息吐息の状態らしい。
「なんか、俺の元の世界でも似たような事やらかした阿呆がいたわ…」
「そうなんですか。」
「ああ、湖岸はパリッパリに干からびて地割れした塩の岸なんだろ。」
「その通りです。」
それじゃあ、海藻は無理だなあ…
「おかえりー、もう終わったの~~?」
「ああ、ミドリが力持ちだから、しっかり設置できた。まだ1/3ぐらいだけどな。」
「お水はどうするの~~」
「コレは持って帰るんだ。家の池に入れる水にする。」
広くなった荷台にごろ寝する。
ミドリがやってきて膝枕してくれる。我ながら、良い習慣付けをしたな。
今日は水も汲んだことだし家の出来具合も見て帰ろう。
「ミドリ、テイル。このまま家の様子を見に行こう。」
「はい、ご主人様。」
「もうできてるかな~~」
いや、いくらなんでもまだ無理だぞ。
「主さま~、後ろのクーク湖のほうから、また見られてる感じする~~」
「そうなのか。でも襲ってこないみたいだし、いいんじゃないか。」
「ぼんやり眺められてる感じかなぁ…」
貴族やら以外にも、変な奴…と思われてるのかもな。
マーマナにも変な人間と言われちゃったし。
そういや、俺達は魔物と直接戦ったことないし。
餌取っているだけだと思われてても、全然おかしくないよな…
「ねえ、ねえ、ご主人様は、セイレーン以外ともお話できるの~~」
「テイルちゃん、ご主人様はお魚の心も解るみたい…なぜか…です。」
「そうなんだー。やっぱりわかるんだ~~」
な…やっぱり…だと?…テイルにとっては当たり前なのか。
さすがテイル、並々ではないわ。




