40 納品(2)
ぐっ…「ふにっ…」
ぎゅっ…「きゃん…」
さわ~さわ~…「にゃ…」
テイルの尻尾の感触がたまらん。
昨夜のナーガ、俺の分の半身と引き換えでテイルの尻尾、触り放題の権利を得たのだ。
ふむふむ、ちゃんと先の方まで神経が通っているんだな…
「ご主人様。あの、テイルちゃんピクピクって…。」
「だ、だいじょうぶなの~~。ちょっと敏感なだけなの~~」
毎朝はダメだな。明日はミドリをスリスリしよう…
「今日はナーガを納品して、イスカンダル・クーク湖に仕掛けに行こう。」
「新しい罠ですか?」
「こんどはお魚~~」
「こんどの罠は面白いぞ♪」
………
……
…
「お姉さん、ナーガ7匹買取おねがいね。」
「はい、ナーガですね…え?…ちょっとお待ちください、マスター!!」
…
…
「おう、イオリ、ついにナーガも仕留めちまったか…どれどれ~…!
おい、このナーガ無傷じゃねえか。しかも茹でてあるのに真っ直ぐだぞ!」
「ん?ダメだったか、茹でたら?」
「いや、茹でて正解だが…普通は胴体に傷がつかないように、目を射抜くんだ。
これは目にも傷がない。茹でてあるのに曲がってない…いったいどうやって?」
「いや、生け捕りにしてそのまま熱いのにぶち込んだだけだが。」
「ナーガを生け捕りだと?とんでもねえな。こりゃ、貴族の注文が殺到するぞ。
無傷のナーガなんて、超縁起物じゃねえか。しかも真っ直ぐ!」
「高く売れそうか?」
「おう。これなら一匹当たり、銀貨10枚!7匹で銀貨70枚だっ!」
(おい、ナーガ1匹が銀貨10枚だとよ…)
(無傷?ってホントかよ…)
「はは、俺達、昨日1匹ずつ…銀貨30枚食っちまったわ(笑)。」
「おいおいおい…」
「ま、いいか。どうせ幾らでも捕れるから。」
(あのパーテイーどうなってんだ?)
(これからも捕れると言ってるぞ…)
(狙って無傷で生け捕りにできるのか…)
(スライムは量で、こんどのナーガは質で…か。)
(あのパーテイー、貴族の服で討伐してるらしいぞ。)
(無茶苦茶してやがる…)
「とにかくだ、これで 『残り福』 はC級だ。3人だけのパーテイーでC級か。」
「人数は3人も居れば余裕だけどな。俺、肉体労働してないし。」
「…やれやれ。イオリはどうしても目立っちまうなぁ。」
「まあ、今家造ってるし、納品はちょっと頻度さがると思う。」
「 (それがいいぜ。うざい貴族に捕まると面倒だから、気をつけろよ。) 」
「 (ああ。わかってる。) 」
「んじゃ、また来るわ。」
………
……
…
「昨日のナーガ、1匹銀貨10枚だってさ(笑)」
「ご主人様…」
「いいのいいの。これからもナーガ捕る度に、銀貨10枚皆1匹ずつ食べよう。」
「ナーガ美味しいものねー。テイル一杯食べる~~」
「テイルちゃん、それは…」
「おう、食え食え。俺も食うぞ。どうせマーマナに会いに行くついでだ。」
「ご主人様、それならナーガ罠、さらに10個つくりましょう。」
「もう10個造って…ああ、交代で仕掛けておいて行く度に収穫するか。」
「テイル、一杯食べなきゃだめだね~」
………
……
…
罠造りに林に寄る。
魞用の棒50本、ナーガ罠の新旧20個を荷車に積み込む。
棒がちょっと少ないが、一日で打ち込めるのはこんな程度だろう。
「雑貨屋にも寄って、綱で網を造るぞ。あと、大きな桶も3個だ。」
桶は4個まで荷車に乗るが、俺が乗る場所を一個分空けてあるのは内緒だ。
ほとんど歩くこともしなくなっているからなあ。俺は、異世界の『大谷吉継』でいいや。
「網?ですか。」
「綱をこうやって結んでいって…」
ミドリに説明して、ミドリの造形スキルで幅2m、長さ8mほどの目の粗い網を造る。
長辺の片側に、錘になる石をいくつか括り付けておく。
「よしよし、良い感じだ。まずはヘルマンド川でナーガ罠を仕掛けておこう。」
「ご主人様、マーマナちゃんに会えるといいですね。」
「どうかなあ、かなり深い傷だったからなあ。」
…
…
…
「マーマナちゃん、居ないねーーー」
「まあ、そのうち会えるだろう。」
「ご主人さま~~~、あれ何してるのかな~~。あそこ。」
裸で暴れている男を担いで川から傷だらけで撤退していく4人組…
「ご主人様、あれは何ですか?」
「あー。たぶん、あれだ。ナーガ手掴みで捕りに来た連中だな。」
「そんなこと出来るのですか?」
「俺達が無傷でナーガ捕ったので、簡単に捕れると勘違いしたようだ。
しかし、よく無事に離脱できたなあ。すごい体力だ。」
おおかたナーガの幻覚で裸踊りさせられたんだろう。
囲まれてなくて良かったってところか。
ナーガ罠は見つかりにくい誰も行かない場所に仕掛けたほうがいいな。
「罠の綱も、埋めておいてくれ。テイル、綱の場所だけ覚えておけるか?」
「大丈夫だよ~。念のため、テイルの匂いもつけとく~」
この二人、ホント優秀だわ。
俺が一番の能無しだな。
残念な子と思われないように、魞で威厳たもたなきゃ。




