36 治療
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昨夜もミドリにしがみついたまま、寝てしまっていた。
ミドリもテイルもなにも言わずに添い寝してくれている。
俺には勿体ない連中だ。
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「二人とも、すまん。」
「ご主人様、決まりましたか?」
「セイレーンを助けに行こう。」
「やったー、テイルも矢が刺さったままって、嫌だな~っておもってた~」
二人とも、気が付いていたのか。…侮れん…
「だが、危険なので、できる限りの保険をかける。
セイレーンに近づくのはテイルと俺だけだ。ミドリには退路を守ってもらう。」
「退路??」
「スライム狩に使う黄色い粉を持って待機してくれ。
逃げる必要ができたときに、俺達の方にバラまいてもらう。
A級やB級の魔物は知性があるので、タダの粉でも危険があると思えば追ってこないだろう。」
「なるほど。…合理的です。」
ミドリはこれで良し…と。
「テイルと俺は耳栓を詰めてゆっくりとセイレーンに話しかけながら接近する。」
耳栓しとかないと、頭狂わされるからな。
元の世界で、俺はこの方法で吠えまくる犬を何頭も手なずけてきたのだ。
人間の女相手は苦手だったが、大抵の動物は5分で仲良しになれたんだよな…
「テイルは俺の1歩後ろでついてきてくれ。
テイルならいつもの調子で穏やかに話しかければOKだ。
俺が止まってしゃがんだら、同じようにしゃがむんだぞ。」
相手が警戒しているときは止まって、目線を同じ高さにするのがコツなんだよな。
「ある程度接近できたら俺だけ耳栓をはずす。テイルは外すなよ。
セイレーンと本格的に会話するからな。」
「ご主人様、魔物と話ができるのですか?」
「俺はここに来た時、誰とも話ができなかった。転移者相手だけしか話せなかったんだ。
だが言葉を聞いているとすぐに言葉がわかるようになった。魔物もまあ行けるだろう。」
元の世界では、犬猫と結構会話していたし…
「話さえ出来れば助けに来たと理解できると思う。あとは…」
「ご主人様、あとはどうやって治療するかですね。」
「ミドリの云う通り。
矢を抜くと失血死するわけだから、抜いてすぐ血止めすれば助かるかもしれない。
なので、抜いたらすぐに、例の樹液で傷口を塞ごうと思う。」
ホントは抗生剤とかあればいいんだけどな。
でも下手すると、魔物に抗生剤は毒になるかもしれん…
「樹液ぬって暫く手でおさえておけば、出血せずに傷口が塞がるだろう。
あとは、セイレーンの生命力次第だ。」
「ご主人様、大丈夫。きっと助けられます。」
「テイル、セイレーンの友達ほし~~」
「セイレーンと話が出来ずに攻撃してきたら、即座に逃げる。
その時はテイルは俺を引っ掴んで、逃げてくれ。テイルの速さが頼りだ。」
「首咥えて逃げる~~」
「いや、首は…」
「首咥えて逃げる~~」
まあ、いいか。4本足で全力で走るから咥えるしかないのだろう…
「その時すぐに、黄色い粉ぶちまけて、ミドリも逃げるんだぞ。」
「はい、テイルちゃんの背中に飛び乗ります。」
あ…そうなんだ…そうだよな、ミドリも遅いし…
「よし、じゃあ『残り福』始まって以来の大博打にいくぞーーー!!」
…
…
(へ?)
…
…
「その掛け声は非合理的です、ご主人様。」
「主さまぁ~~、ゆっくり行くんだよ~~。落ち着いての~んびりだよー」
うちは体育会系ご法度だった。
俺としたことが…




