表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/191

33 視察

「ご主人様、最初から帰りは乗る予定だったのですか?」

「勿論そうだ。当然、考えて居た。」

「なるほど………。 合理的です。」


なんだ、その間は…


「主さま乗せて引っ張るの~~」


ふっ。まあいい。こういう事は堂々と中央突破する方が上手くいくものさ。

32歳の経験値は小娘では計り知れない奥行があるのだ。

しかしセイレーンとはな。それに謎の魔物まで。

ギルドマスターに聞いてみるか。


………

……


「例の川にまた見に行ったんだが、セイレーンが居たよ。」

「なに、セイレーンだと。珍しいな。たぶんそいつは幼体だな。

セイレーンは基本海に居る魔物だ。

だが、幼体は川に上がってきて小型の魔物を餌にする。

幼体でも戦闘力はB級だから、近づかないほうがいいぜ。」


ほう、そういう生態なのか。


「群れたりはしてない感じだったな。」

「ああ。セイレーンだけでなく、B級以上はめったに群れないな。

群れると餌の調達が苦しくなるからな。」


食物連鎖の上位に居るから群れたくても無理なわけか。

元の世界でも虎や鷲は孤高だったしな。ま、ライオンみたいなのも居たが。


「そうなると、ナーガはしばらくお預けだな…」

「それがいいぜ。それとB級狩るとB級に上がっちまうから気をつけろよ。」


「それはそうと、今日はえらくザワついているな。人も多い。」

「今日は軍の偉いさんが視察に来るんだ。AB連中が売り込みに顔出ししている。」

「わざわざ売り込むのか。物好きだねえ。」

「まあ、そう云うな。

戦果報酬が別途支給されるし、一応、軍の支援もなくもない。建前ではな。

少なくとも軍が居る場所は退路になる。頼りない退路でもな。」


ああ。そういう考え方も有りか。


(おい、来たぞ…)

(今日の視察はドーストン家のアーミル将軍…か。ハズレだな…)

(チッ。ドーストンならフアルコンノートが収まってるだろうに。)

(何しに来たんだ?フアルコンノートの捨て駒は御免だぜ…)


「ヴァーミトラ、彼がそうかね?」

「ええ。彼が『残り福』のリーダー木村伊織さんです。」


え?俺なの??


「初めまして、イオリさん。私はドーストン侯爵直属、近衛騎士団長アーミル。

このヴァーミトラから貴方の事をお聞きしています。

日が浅いので低ランクだが類稀な戦果を挙げているとか。

一度、ゆっくりお話しがしたいと思いましてな。」


「もうご存じでしょうがヴァーミトラです。私からも是非一度お茶でも。」


「これはご丁寧に。木村伊織です。…が、買い被りですよ。

見てのとおり、体格も装備も貧相なD級です。

とてもとても侯爵家のお手伝いができる実力などありませんよ。」


「いやいや、余人はともかく、このヴァーミトラの目は誤魔化せませんよ。

スライム数千匹。1日で狩れる量じゃありません。

たとえ範囲魔法使っても100や200まで。5発も全力で撃てば魔力切れです。

弱点の氷魔法で薄く広くかければなんとか届くかもですけどね。

だがそれでは氷を砕いて核を取り出すのに手間も時間も足りない。」


ふーん、シミュレートしてるんだ。真面目な優等生タイプか。


「いや、うちの子が優秀なので、働きやすい職場にしてるだけでして。」


嘘じゃないぞ。


「まあ、今日はそれぐらいで。ではまた機会があれば使いをだします。」

「私も個人的にでも、ぜひ一度…

フアルコンノート、大抵は下屋敷のレストラン、ラ・メゾンに居ますので。」


(おい、わざわざ『残り福』に繋ぎつけに来たのか?)

(イオリ、もしかして、思ってる以上に大物なのか?)

(いやあ、違うだろ。フアルコンノートの捨て石にしたいだけだろ。)

(でも、捨て石相手にわざわざ正式に名乗り上げるか?)

(ったく、最近わかんねえことばっかだな…)


ヴァーミトラか。

困ったな…人間は悪くないんだろうが、違うんだよな。


《 目つけられちゃったみたいね。 》


「ああ、お姉さんか。どう思う?」


《 侯爵家近衛騎士団長が相手じゃ、お誘いきたら行くだけ行くしかないわよ。 》


「だなあ。向こうも正規の手順踏んできてるから、面子あるしなあ。」


《 こっちも行くだけ行って、堂々と断ればいいんじゃない? 》


「それが一番よさそうだな。ゴルフとか全部断ってたのにな。転移前は。」


《 お茶とか言ってたし、スカッシュとか蹴鞠じゃないだけマシでしょ。 》


蹴鞠があったら逆に見てみたいわ…


「だな、まあ、旨いお茶だしてくれたら味覚も共有できるんだろ。

しっかり味わって飲むとするかな。」


《 そうね。お茶菓子がでたら、ちゃんと食べてね。 》


………

……


「ミドリ、テイル。服が早速役に立ちそうだ…」

「ご主人様何かあったのですか?」

「A級を抱えている貴族。ドーストン侯爵家とかのお偉いさんに目つけられた。」

「え?でも、私達D級ですよ。」

「ああ、だから堂々と断るつもりだ。

正式に呼ばれたら皆で行くことになるので、そのつもりでいてくれ。」

「テイルも行かなきゃダメなの~~?」

「テイルはついてきて、飲み食いだけしてればいいからね。」

「だったらいく~~」


「ドーストン侯爵家…」

「ミドリ、なにか知っているのか?」


「いえ、噂だけですが、あそこは貴族でも評判が良いです。

転移者を金で雇ってごり押しするのでなく、コツコツ自前の兵団整備してるとか。

転移者には儲け口にならないので不評ですが、平民とかには人気があります。」


「フアルコンノートを抱えているそうだが。」

「フアルコンノートは今は転移者は居ません。創設者の転移者は戦死してます。」


ほう?ヴァーミトラは2代目か。エルフだしな。当然、転移者ではないか。


「ドーストン侯爵家なら無茶は言ってこないと思います。」


わからんぞ、民受けの良い奴は身内に無理な負担かけていることが多いし、

一般人に評判が最悪な奴は官僚に受けが良かったりするからな。

まあいい。

せめて給仕ぐらいは可愛い獣人メイドを期待しよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ