27 課税
ペロっ…ぺろっ…
ん?…なっ? 今朝は、ほっぺた舐め舐めかっ…
っち、近い。ちょっと顔動かせばいきなりぶちゅっと…
ここは一旦、体ごと下がって…あが、動けん。
ミドリに真後ろから体ごと抱え込まれている。それでテイルが前に来たのか。
「テイル、ぉ、おはよう。ミドリも。おはよう。」
「主さま、おはよーー」
「…」
「?ミドリ…」
バックハンドで手を廻してミドリの背中をポンポンしてやる。
やっと拘束がほどけた…保護者扱いになるわけだ。
「今日は納品ついでに家について聞いてくる。」
「書斎…」
「日向ぼっこできる場所ほし~~」
「おう、任せとけ…」
…寝室は一個で混浴だけどな。
………
……
…
「ねえさん、換金。スライム核3210個だ。」
「さ、3210…」
(3210だってよ…)
(3人だそうだぞ、あいつのパーテイー。いったいどうやって…)
(短剣素振りでも結構きついぞ、3210は…)
(スライムキラーの『残り福』か。侮れんな…)
ふっ。お前らゲームに囚われすぎなんだよ。
これはゲームじゃねえ、現実だ。剣や魔法だけが戦いじゃねえんだよ…
「おう、イオリ。今日も大漁だな。」
「ああ、マスター。ナーガも見てきた。そのうち持ち込むかもしれん。」
「ほう?ま、お前なら無茶はしなさそうだが。そうそう、今回は税金がかかっちまう。」
「税?あるのか、やっぱ。」
「まあ、転移者は基本無税だがな。荒稼ぎした時だけ課税されるんだ。
ランクの別途報酬が召し上げられる。」
「ああ、そのぐらいなら構わない。
それより、家を造りたいのだが大工を紹介してくれ。」
「ほう、珍しいな。大抵の転移者は成功すると貴族のお抱え選ぶもんだが。」
「B以上にあがってアチコチ引きずり回されるのは嫌だからな。」
「ははは。イオリらしいぜ。
大工ならドワーフのイシドロスがいい腕しているぜ。木造、石造なんでもこいだ。」
ドワーフのイシドロス。ミドリが知っているかもな。
………
……
…
「今回は課税されたよ。」
「ご主人様、大金稼ぎましたから。論理的必然です。」
「ぼろ儲けだったから~」
「べつに大した金額じゃない。元居た世界では、何を買っても1割課税だったからな。」
「無茶苦茶です。それは非合理的です。」
「なにも買わずにずっと昼寝してたほうがいいくなるぅ~~」
「ああ。実際そんな感じになった。全然物が売れなくなったな。
どんどん不景気になって大方の人が貧しくなっていった。ロクでもない世界だった。」
「…1割課税…」
「ミドリ?どうした?」
「行ったことはありませんが、コチラの世界でも1割課税の国があると聞いています。」
「ほう?そんなバカな国、この世界ではやっていけないだろう?
人が皆他国に行ってしまうぞ?」
その国は『神権・聖ハスモーン唯一神帝国』というご大層な名前らしい。
神が支配する国と自分達では言っているそうだ。
ただ一人?の自分達の神しか認めないので、連年近隣諸国とイザコザを起こしている。
そのお偉い神さんへのお供えという名目で、稼ぎの1割が召し上げられると云う。
…ま、どうせ神様とやらに1割の税金渡す場面はだれも見た事ないだろうけどな。
「それはそうと、イシドロスと云う腕の良いドワーフの大工が居るらしい。」
「イシドロス!」
「ミドリはやはり知っているんだな。」
「貴族の注文を足蹴にする、頑固大工で有名です。」
「ほう、面白そうな親父だな。さっそく会いに行くぞ。」




