表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/191

182 アウトリガー

そう言えば、元寇のときも松浦郡の海賊とかが死体や糞尿を敵船に放り込む奇襲を繰り返していたんだよな。それに閉口していたというから、大陸軍はそういう嫌がらせを徹底した戦い方はしていなかったということだ。なんだかんだで大勢力になっちゃうとお上品になるのかねえ。


「ご主人様。敵のブルドーザーのほとんどと仮設橋のほとんどは潰れたようですが、空堀の1層めがあちこちで8割くらい埋まりました。」


「そうみたいだな。もう少し埋められたら盾車が渡れるようになりそうだ。」


「だが、もう一気に埋めることは出来ないようだな。見ろ伊織。堀埋め作業がとまっているぞ。」


たぶん土嚢でも作っているのだろう。海岸の砂を詰めればいいだけだから。今夜にはこっそり埋めにでてくるつもりかな。


「夜に埋めるのだろうな。ガラディー。」


「そうか。夜を待っているのか…」


「そうがっかりするな。膠着していれば、こちらから一方的に空襲できる時間が長くなる。補給船も確実にじわじわ沈めている。長期戦になればこちらの勝ちだ。」


「わかっているが。それでも曲射でしかとどかない遠くなのは手応えが乏しいな。」


「近距離で直射できる距離にまで近づけるとこちらにも被害が出始める。スリングで飛ばす石なら結構な打撃になっているはずだから火矢と混ぜているだけで、打たれる相手は相当きついぞ。」


「ああ。そうだな。解ってはいるんだが…それはそうと、敵はなぜ弓を使わない?コチラから届くのだから、向こうからも届くのではないのか?堀際まででてきているので、城壁の上でも届くはずだが。」


「普段から弓を使っていたケルテイクは気がついていないだろうが、弓が使えるようになるまでは相当な修練が必要だから。白兵戦や組織行動の訓練が精一杯で弓まで練習する時間はなかっただろうな。普通に皆が弓を射れるケルテイクは戦士の素質が元々高いんだよ。」


「そうだったのか。自分では気が付かないものだな。」


「だから、俺のもとの世界でも、だれでも簡単に撃てる銃が発達したんだ。」


最初は軽い弾でしょぼい射程だったんだよな。それがどんどん威力を増して…矢は威力を上げるにも限度がある…いやまてよ。まさか、中国古代のしょうとか、もってきている可能性が…あるか。一撃でトーチカが潰れるとは思わないが、もししょうを用意されていたら、案外トーチカも保たないかも。


「ガラディー。矢の話で思い出した。実は元の世界で丸太ほどの太い矢を飛ばす武器が有ったんだ。もしあれを用意されていれば、トーチカも長くは耐えられないかもしれない。」


「なんだと!そんなものがあるのか。伊織の居た世界は無茶苦茶だな。」


ほんとそうだよなあ。こうして実際戦ってみると、兵器開発は飛び抜けてバリエーションが多いよなあ。現代兵器の話とかしたら、皆意識が飛びそうだな。


旦那イオリさま。マンディー達が3回めの空襲を始めますわ。」


「頑張ってるな。離着陸を繰り返すのは大変だろう。先は長いからそのつもりで、無理しすぎないように伝えてくれ。」


ドラゴンとかヒュドラが城壁からブレス撃ってくれれば楽勝なんだが、彼らを動員すると自動的に勇者覚醒するだろうし。ニケのエフソス様をこそっと利用するぐらいでギリギリってとこか。奴が自分の娯楽に走って勇者を利用しなかったのはラッキーだったな。


旦那イオリさま。セイレーン達から連絡です。相手の補給船ですが、妙なものを船の両側に取り付けてでてきたようですわ。両側に張り出した丸太のようなものを付けているそうです。反跳魚雷がそれに当たってしまってなかなか沈まない…と。」


アウトリガーを防御に使うことを思いついたか。前からでは命中率も下がるし効果も薄くなる。なかなか敵も対応が早いな。原始的だが効果的だ。戦時中でも防雷網を展張されたら魚雷は効かなかった。船足ががくんと遅くなるので、補給効率は半減するけど。


「アウトリガーだな。アウトリガーをつけた分船足が落ちる。だから落ち着いて1隻あたりの攻撃密度を上げて、確実に仕留めるように伝えてくれ。全部の攻撃をアウトリガーで受け止められるわけでもないし、アウトリガー自体もいずれ燃え落ちる。あ、攻撃は片側だけからがいいかな。片方だけのアウトリガーを破壊すれば、船が直進しにくくなってさらに船足が遅くなるから。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ