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179 矛盾

誤字のご連絡ありがとうございます。

色々と双方一当ても二当てもしたが、開戦初日も夜になろうとしている。敵の多くは逆茂木の向こう側に多くの野営地を設けるようだ。波打ち際近くだが、内海の黒の海なので干満の差が小さく問題ないと考えたのだろう。暗くなり双方無駄玉を打ちたくないので微妙な静寂が訪れている。


「塩湖方面はどうなったかな。」


「どうやら上陸はせずに撤退しているようですよ、旦那イオリさま。」


「やはり、初日に主力の接岸をこちらの飛行部隊に妨害させないようにするだけの陽動だったようだな。」


「それなら、塩湖方面はメガロドンにまかせて飛行部隊は全部コチラに回したほうが良かったのでしょうか。御主人様。」


「うーん、どうかな。それなりに初日に叩いたから撤退したとも言えるし微妙だな。気が変わって本気で突っ込んでこられても後々面倒だし。それに、深く侵入させたくない事情があるんだ、コチラにも。」


「でも旦那イオリさま。一晩休めば明日にはワイバーン達もコチラに参戦できますね。」


「うん。なにせ高高度からなら一方的に攻撃できるのは大きな優位だから助かる。敵の士気が下がれば乾坤一擲の突撃も不可能になるし。」


「これだけの備えがあるのに、突撃して来るのでしょうか、御主人様。」


旧日本軍は補給を絶たれたガダルカナルでも数回突撃実施しているからなあ。兵の練度は全く違うにしても信仰で支えられた士気はなかなか落ちにくいだろうし。


「まあ、ココまで来て一度も突撃せずに撤退は出来ないのじゃないかなあ。そこまで合理的判断ができるなら、最初から攻めてこないだろうし。」


「主さま~~。なにか音がずっとしているよーー。海のほうから。」


音?荷降ろしを夜間もしているのか、野営施設設営の続きか。ほとんど灯火管制状態でやっているということは、なにかの装備を組み立てているのか。


「敵もいろいろ持ってきているだろうから、また何か新しい武器や道具を用意しているのかもな。」


「今度は何を出してくるでしょう?」


「どうかな。とりあえず、堀が逆茂木のすぐ次に有るのでその関連かな。この要塞もトーチカも見えていただろうからそれに対応できそうな物となると…いや、いまから考えても仕方がないな。どうせ明日になれば見えるから。」


「今夜の夜襲ということはないか?伊織。」


「それは考えにくいと思うな。ガラディー。上陸したと言ってもまだ半分程度だろうし橋頭堡も不十分だ。荷降ろしもまだまだだろう。中途半端に夜襲して戦力の逐次投入するほどヘボとも思えない。」


「そうか。ならトーチカの人員の交代と補充の武器の運搬をすませておこう。」


「ああ、頼む。塹壕で移動できるので攻撃は受けないと思うが、一応警戒はしておいてくれ。」


「もちろんだ。」


「では我々も見張りだけ残して交代で休むようにしよう。先はまだまだ長い。」


「そうですね。どうやら敵の船も夜は動かないようです。沖に出ているセイレーン達も休息するように伝えておきますね、旦那イオリさま。」


「ああ、そうしてくれ。初日から無理させる必要は無い。」


夜は船も止めているのか。操船する水夫も短期錬成の素人同然だから夜間の航行は出来ないのかもな。おかげで数で劣る味方を休ませる事ができる。トーチカで夜をすごしてもらうケルート人達は気の毒だが、要塞には十分な施設も有るので長期戦ならコチラに勝ち目が多い。それは敵もわかっているので何処かで仕掛けてくるのだろうが…。ムロータ将軍は当然来ているだろうが、奴はどうかな。もう帝都に用もないだろうし、この戦いを適当に楽しんだらさっさと自分だけ元の世界に帰るつもりだから来ているか。


「しかし、本当に帰れるのかな…。」


「え?御主人様?」


「いやな。奴が創造主と約束したとか云っていた、自分だけ元の世界に帰るって話だが。自分の作った世界を途中で放り出すような、いい加減な創造主だぞ?そんな約束履行するかな?」


「えー、でも流石に約束は違えないのでは?」


「それに本当に元の世界と言ったかどうかも怪しいだろ。この世界から飛ばすと云うだけの約束を、奴が思い込みで元の世界に戻れると勘違いしているかもしれない。」


「なぜそう思われるのですか?」


「転移とかは一方通行でないとおかしな矛盾が発生すると思うんだよな。極端な話が自分の過去とかに転移して自分を改変しちゃうと今の自分とズレが生じてしまうだろ。それと同じことが多かれ少なかれ発生すると思うんだ。」


「なるほど。そう言われると確かに不合理ですね、御主人様。」


「ああ、だから俺は最初にココに転移させられたときに元の世界に帰るという考えはすぐに捨てた。そこのところがどうにも氣になってな。まあ、人間の居ない大昔に奴が飛ばされたとしても知ったこっちゃないけどな。」


そうだ。だから今の自分に繋がる過去とか元の世界に影響のある別世界に飛ばされることはあり得ないはずなんだ。元の世界に戻るなんて論外だ。奴もゲーマーなら知っているはずなんだが。まだ若いし完全シューティングゲーム専業か、せいぜい戦術級ゲーム専業のゲーマーなのか。それなら目先の新兵器の引き出しは多いだろうな。それはそれで面倒では有るが…


ちょっと体調崩していて更新頻度が下がっていますがよろしくおねがいします。

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