156 ABC兵器
王国はこれでいいかな。これ以上は無理だろうし。
《 そうね、伊織にしては上出来じゃないの。 》
ー うおっ、お姉さん随分久しぶりですね。 ー
《 まあ、伊織も忙しそうだったしね。嫁も増えて。 》
ー そっちはガッツリ管理されてて、全然忙しくなかったりしてますけど。 ー
《 嫁でまだなのは ニケのエフソス様ぐらいかな…》
ー いや、嫁はいいから。それにエフソス様は、ほぼ神様だから。 ー
《 神様でもいいじゃない。余裕ある人が沢山嫁持てばいいのよ。あ、神様だからエフソス様が多数の「燕」養ったほうがいいのかな? 》
一夫多妻、あるいは一婦多夫か。確かに本来その方が合理的なんだよなあ。いったいなんで元の世界では一夫一婦制なんて歪んだものが出来てしまったんだろう。そんな事するから少子化になったり、寡婦や寡夫が急造したりしてしまう。経済力に見合った多数の相方を持つほうがよほど自然なのに。たしか日本での一夫一婦制はキリスト教の宣教師が伝えたんだよな。ほんと、ココでも一神教かよ。ろくなことしねえな。
ー って、嫁の話はさておいてですね、考えうる武装をつらつら予想してきたんだけど、お姉さんなにか気がついたことありませんか? ー
《 うーん、武装ねー。でもセメント手に入れちゃったから、鉄筋コンクリートとまでは云えなくても、なにか芯いれたコンクリートで要塞やトーチカ作れば大抵の武器に抵抗できるよね。 》
ー ですよねー。飛行ユニットが乏しいこの世界だと高空からの加速度付けて実弾で破壊とかも出来ないし。時間かければじわじわ溶かすことは可能でも戦場では間に合わないし。 ー
《 精度の低い火薬兵器程度の初速では貫けないよねえ。敵さん何考えてるんだろうね。 核兵器は流石に無理だろうし、モーゼまがいでも抱え込んでいて大津波起こさせるとか(笑)。》
大津波…天変地異を起こすという発想はなかったな。聖ハスモーン教が、預言者が実在するような宗教とも思えないが。そんなもんが居たら手の打ちようがないけど。核兵器はいくらなんでも無理だ。電気バカ食いするウラン濃縮なんて出来っこない。いや、まてまて、濃縮せずとも自然に帝国領内にウラン235の高濃度原石があれば、原爆は作れるか。頭から原爆が無いと決めてかかるのは不味いのかもしれない。
《 そうよねー、濃縮不要の原料が無いとは言い切れないね。むしろ、宗教だからこそ、そういう原石を神の石とか銘打って病気が治るとか、逆に、罪人が苦しむとかの特別な石として隠し持っているかもね。 》
うげ、そうなると不浄の地は神の手で焼き払われた…などと言い立てて、原爆ばらまきかねないってのか。一神教に核兵器とか、キ○ガイに刃物どころじゃないぞ。
ー でも、元の世界でも核兵器の管理なんてどうにもならず、結局は核兵器突き突けあってギリギリバランス保っていただけだし。相打ちでもいいから滅ぼす…とか覚悟決めたら崩壊していたよなー。でもまあ、貧しい側が仮に核兵器使って侵攻に成功しても、そこは放射能溢れる不毛の大地なので、捕るものはなにもない。いつまで経っても貧しいままだから使う意味はない。結局核兵器は使えない武器なんだが。 ー
《 伊織には使えない武器でも、後のことなどどうでも良い狂信者には使える兵器かもよ。 》
ほんと面倒な相手だ。死んでも神の元に誘われるのだから死をなんとも思っちゃいない連中なのがなー。
《 で、伊織。核兵器とくれば後の2つも有るんじゃないの? 》
後の2つ。ABC兵器のBとC。生物兵器と化学兵器なー。うわー考えたくねー。うぜえったらうぜえやつだ。生物兵器は造るのが面倒で管理も面倒。なんせ相手は生き物だ。勝手に動き出すから自分も痛い目にあう事も多い。俺が転移させられる直前でも、それ生物兵器のお漏らしじゃねえの?って事件が有ったしな。化学兵器はまだしも対応が出来そうだけど、大量使用された場合にどうなるか?とか見当もつかない。
《 そこまで大層な化学兵器でなくても、唐辛子の粉風上からばら撒くだけでも、膠着している戦線でやられたら、結構効きそうだよね。 》
組織的なゲリラ戦かぁ。でも攻撃側がしてもあまり効果は少なそうだけど。もしこちらから帝国侵攻する場合は住民全部がゲリラと考えないといけないのか。泥沼確定だな。帝国侵攻は論外…っと。
《 なにせ情報が少なすぎよね。しっかり調べてきなさいな。 》
港とかだけ見れたらOKとか思っていたのは何だったんだ。ひどい認識不足だったな。まあ、大量になにかを造っているならその前兆がきっとある。真面目に探偵するしかないか。
誤字のご連絡ありがとうございました。