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150 学習塾

マーマナと別れて家に戻る。屋上で日向ぼっこしているテイルが出迎えてくれるが、すぐに屋上に戻ってしまった。


「テイルさんは、いつも自由な感じがうらやましいです、伊織様。」


「うん。でもテイルはああやって居るだけで敵の接近を誰よりも早く察知するので、俺達もこんな一軒家状態だが安心して寝ていられる。」


「そうだったんですか。みなさんお強いから一軒家でも平気なんだろうと勘違いしていました。」


「ご主人様、なんだがいつもより家が賑やかですね?」


「やたら子供の声がするな。家の外にも結構な人が群れているが…?」


人混みをかき分けて家に入ると虹の架け橋の3人が子供の群れの前で熱弁している。りんごの絵と数字が書かれた紙が壁に貼ってあり、どうやら数字を教えているようだ。子供達が ”りんご?ってなんだ?” とか ”なんで10や11の字がないんだ? ”とか結構渋い質問を出して虹の架け橋の連中が悪戦苦闘している。あー、そうか、子供が沢山来ているのでテイルが屋上で見張りに付いていてくれたのか。


「…だから、11や12や13も全部に文字つくっていたら覚える事多すぎるでしょ。」


「なら、1と2だけでいいやん。1と2だけ組み合わせて全部の数につかえばいいやん。」


…おー、なかなか鋭いな。この子は将来コンピューターの設計が出来るぞ。…


「そんなに省略したら、今度は文字列がすごく長くなるでしょ、だからだめなのっ!!」


…ふふっ…かなり苦しそうな言い訳だな…まあ、そろそろ助けてやるか。


「お前ら、1から10で一区切りなのは手の指の数に合わせてあるからだよ。指が利用できるから数えやすいだろ。」


「あー、そうかー。それならしょうがないなー。指の数は変えられないもんなー。」


子ども達が納得したようなので、虹の架け橋の3人に目配せして続けさせる。この子達は恐らくサールトが送り込んできた生徒だろう。外でたむろしているのは親達なのかな。子供だけでココまで来るのは危険だし。


「御主人様、凄いことに成ってますね。あんなに沢山から質問されたら、ミドリでは対応できません。虹の架け橋の3人さん、少し見直しました。」


「まあ、あの3人も元の世界では、子ども達同様にああやって学習して育っているからな。元の世界では一人で30人や40人相手に教えていたから。」


「伊織様。ケルテイクにもそういう先生が必要です。いつかお願いしたいです。」


「そうだな。次の戦争が終わって落ち着いたら、それも考えていこうか。」


ケルテイクと王国が対等の関係を造るためにもそれは必要だろう。元の世界ではケルト人はいつのまにか征服されて西欧人に吸収されてしまった。そこそこの文化は持っていたようなのに。多文化主義とか口では言っているくせに、やってることは自文化の押し付けなんだよな。こっちの世界ではそうさせないように、邪魔してやろう。


「これでは家で落ち着くのは無理だな。夕方になって子どもたちが帰るまで、他所で時間潰したほうが良さそうだ。」


「そうですね、御主人様。でもこの時間ですのであまり遠くには行けません。」


「それもそうだな。じゃあ自由時間にするか。俺は池のところでちょっと考え事するわ。」


ミドリはウシュクを飲みに自室に戻って行った。考え事すると言ったのでベレヌイがついてきて膝枕してくれる。ミドリに頼まれていたようだ。

池の縁で魚が泳いでいるのをぼんやりと眺める。メガロドンもいわばこの魚と同じだ。大きいし力も強いが現状では接近戦しかできない。力があるので帝国軍の船よりも推力はだいぶ上だろう。沿岸に地引網のようなものを仕掛けておいて敵船が接近したら数隻まとめて網で絡め取って強引に沖に引き寄せれば船同士衝突させて破壊とかはできそうだな。だがそれでは一地域に一回きりしか使えない攻撃だ。もっと汎用性の高い攻撃ができないものかな。セイレーンの魚雷のような…。


うーん。魚雷、爆雷…とくれば次は機雷か。機雷…機雷…あ。そうか、魚雷ができるまでは機雷を利用していたな。爆発物を長い棒の先に取り付けて船底を突いて起爆させる。お、コレはやれるのでは?メガロドンなら完全に水中からの攻撃だ。本当に船の底を破れるのでそのまま船が沈みだす。メガロドンの速さで突き刺せば起爆させるのも十分に可能だろう。原油を詰めずに火薬の量を増やして…おお、これなら第二次大戦末期にでてきた、船底起爆信管付きの魚雷同等の破壊力が期待できる。棒を長くすれば安全も確保できそうだし、なんなら水中銃のように水中で棒ごと投げ出しても、メガロドンのパワーなら起爆させられるかもしれない。そうだ、敵がきそうな浅い水域に予め大型の機雷を設置しておいて、近づいてきたタイミングに合わせて起爆だけ水中のメガロドンが棒で突いて起爆させても良いな。爆発のエネルギーの殆どは真上に向かうので水面の船だけが破壊される。


「伊織様、良いお考えができたようですね。」


「ん?わかるのか、ベレヌイ?」


「はい。ミドリさんからお聞きしています。深く考え事されている時は膝に乗せている頭が重いので、重いうちは黙ってそのまま考えさせておくのが良い。時々すごく長い場合もあるけど気にしないで良い。考えがまとまると膝に乗せている頭が急に軽く感じるようになるのと、伊織様が体のあちこち触りだして、赤ちゃんのように甘えてくるので、そうなれば声をかけても大丈夫だ…って。」


なに!!あちこち触りまくっていた…だと?考えがまとまった開放感で全く意識していなかった。いったいどこ触っていたんだろう?赤ちゃんのようにって…


「そ、そうなのか。さすがミドリだ。よく観察しているものだな。」

8/2 月曜 体調不良でおやすみします。よろしくおねがいします。

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