15 作戦(1)
昨夜もちゃんとミドリは四つん這いで拝ませてくれた。思わず合掌しそうになる。
何を勘違いしたのか寝床でもヘッドロックしてきた。ミドリへの理解が深まった気がする。
「今日は雑貨屋で資材を買う。うまくいけば大物が狩れるだろう。」
雑貨屋で水入れの袋に塗られていた樹液を買う。
樹液同士では固まらずほかの物に触れた場合に薄い皮膜を作る性質があると云う。やはりな。
水入れの袋18枚に大量の樹液を詰め込む。さらに、20枚の空袋も入手。
木製穴掘り道具を2本買ってこれだけは俺が背負う。
その他は昨日同様にミドリに持ってもらう。余裕のようだ。あらゆる意味でミドリは正解だった。
スタスタ歩くミドリの後ろから余裕をもってついていく。
同じパターン、同じシチュエーションだ、違うのは唯一…今日は淡いベージュ…。
「あのシューシューを取りに寄るから。」
正確にはあれが何かは不明だか、空気でないことは確かだ。ならば使えるはず。
短剣とナイフでガリガリ砕いて袋に詰め込んでいく。これは俺が持つしかない。
大物の狩場に到着。頑張って落とし穴を掘る…
2人がかりで ) 状に5つの落とし穴だ。疲れた…
「ミドリ、疲れた…」
ミドリの膝枕で休憩させてもらう。最早、情報画面でミドリマスターの称号があっても驚かない。
作戦を改めてシミュレーションする。
当然のように、おっさんが出てくる。ミドリにはみえていない様子だ。
ミドリに残念な子と思われないように、頭の中で会話する。
《 何か面白れえ事考えてるみたいだな。教えろよ。 》
「当てられるんじゃなかったのか?」
《 いろいろ材料仕入れたから判らねえよ。穴掘って、何かして、獲物取るんだろ? 》
残念な子はココに居た。
読(3)の3は3つのアクションという意味だったようだ。
「落とし穴の内側に樹液を塗る。ガリガリ削り取った白いのを穴に放り込んで気化させておく。
落とし穴に蓋をして、獲物を誘導する。落ちるとどうなる?」
《 落ちると…窒息死かよ。お前、パンツばっか追いかけてる割にエグイこと考えるな。 》
「そんなに誉める事じゃない。サルはひっかく、犬は噛みつく…。できる事をやるだけだ。」
俺が考え事をしているので、ミドリがぎゅっと押し付けてきてくれる。
もう、俺はミドリの下僕でもいいかも。