14 ステータス更新(2)
村に帰ってきた。もうヘロヘロだ。村の外の広場でへたり込む。
荷物を下ろしてミドリも横に座る。
触れるか触れないかの微妙な距離だ。無意識でスキル じらし を発動しているようだ。
くっつ、『奴隷環』のオートレコード機能さえなければ…
………
……
…
耳掃除…!
………
……
…
よく気が付いた、コレだ、コレしかない。自分を褒めてやりたい。
枝を拾って即席耳かきを作って、ミドリに見せる。
「これは耳かきという俺の故郷に伝わる道具だ。この丸い部分は滑らかに、かつ、薄く作る。
ミドリのスキルでできそうか?」
「これくらいの質量なら、私でも作れます。」
「よし、これからは常に数本作り置きして持っていてくれ。では使い方を説明する。」
やおらミドリの膝の上に頭を乗せる。さも当然のように…自然に…
「お疲れですか?」
な…んだと。単に疲れたと言えば良かったのか。ミドリの間合いが掴めぬ…
「この態勢で、耳かきで耳の垢をそろっと掻き出すのだ。
動くと危険だから、俺の頭をしっかりホールドすると良い。」
うむ、ミドリの膝が心地よい。大根足には大根足ならではの良さがあるのだ。
細ければ細いほど良いと思っているうちは青い。このぷにぷに感は大根足でこそ。
左手で抱え込まれる状態が必然的に背中を圧迫されて…圧迫…
よしよし、今回のミッションは大成功だな…
32歳にかかれば16歳の浅知恵など、ものの数ではないわ。
「情報開示…」
膝枕のままで今日の結果を検証する。
個人情報開示(合法)
【名前】木村伊織
【性別】雄
【種族】亜人類(人科)
【年齢】32
【職業】奴隷使い
【体力】並
【知力】並上
【精神力】並上++
【物理耐久力】並下
【精神耐久力】並上++
【俊敏】並下
【幸運】並上
【魔力】皆無
【固有スキル】 読(3)[μPD780C-1]
【学習スキル】 アフラシヤブ地方語 30男(微)+
【装備】ナイフ
【奴隷】ミドリ
【備考】 ☓1
いくつかの項目で経験値が増えたようだ。
元々が最低レベルの体力は簡単に上がるのだな。
ミドリを媒介にして精神力関連が経験値を得ているのは、ほぼ確実のようだ。
固有スキルが 読(3)になっている。
なにが変わるのだろう。いまだ不明だ。おっさんが3人もでてきたら嫌だな。
30男の学習スキルも+が付いた。成長したら50男や70男になるのか?やめてくれ…
μPD780C-1 …どこかで見覚えがあるのだが思い出せない。
個人情報開示(合法)-[忠誠100/100]
【名前】ミドリ
【性別】雌
【種族】亜人類(ドワーフ科)
【年齢】16
【職業】奴隷
【体力】上
【知力】中
【精神力】中
【物理耐久力】上
【精神耐久力】中
【俊敏】並
【幸運】中
【魔力】弱
【固有スキル】物理構築
【学習スキル】アフラシヤブ地方語 じらし+
【装備】パンツ+ 槌(木製ハンマー) 短剣
【隷属】木村伊織
【備考】勘当
ミドリはあまり変化がない。もともとレベルが上だからな、簡単には上がらないのだろう。
スキルじらし…やはり自動で発動しているようだ。育てるには俺の協力が不可欠だな。
もちろん、協力することにやぶさかではない…。
パンツ装備まで成長するだと?
戦っている相手は俺か…そのうちミドリ専用赤パンツでもプレゼントするべきか。
「ご主人様、いつのまにかスキルが上がってます。」
本が出たのでミドリものぞき込んでいた。顔が近い。そうだった!ミドリの弱点をみつけたぞ。
「そうだな、だがまだどういうスキルなのか、まったくわからん。
スキル確認は良いとしてミドリのおかげで策を思いついた。」
「わたしが?」
「じつは、この態勢は俺が一番集中できる態勢なのだ。それで明日は道具をそろえたら大物を刈る。
詳細を考えるので、もう少しこのままでな。頭をしっかり温めてもらえると、なお良い。」
ぎゅっと俺の頭を引き寄せるミドリ。ミドリは素直な良い子だ。