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138 月の王子さま

次の戦争のイメージでああだこうだと言ってるうちにも我が家に辿り着く。とりあえず、此方も火薬は造っとかないとな。あとケルート人が集めてくれている原油をどう使うかだが。大雑把な仕分け、軽質油と重質油の分離程度は放置するだけでも出来るだろうから分けておく方が良いだろう。


「ただいま…って誰も居るはずが、おや?」


家に入ると『虹の架け橋』の3人が来ている。


「おう、お揃いでどうした。」


「完全オリジナルと言うにはちょっとアレだけど、とにかく書き上げたよ。ラブロマンス。」


「ほう、では、ちょっと読ませてもらおうかな、皆、適当に寛いでいてくれ。ああ、それからベレヌイにミテオ、このお姉さん達は一応高学歴だから、なにか聞きたいことが有って俺が留守のときは教えてもらうと良い。」


「え、ちょ、あの、私達私学のお嬢様学校で、小学校からのエスカレーターだから…その、勉強はちょっと…」


「いや、別にそんな高度な事期待してないから。分数ぐらいは教えられるだろ?」


「………」


「ああ、もう、この世界なら小学校の掛け算ぐらいまででもいいから。あとは文字の読み書き。」


「それならなんとか…」


「うん。頼んだぞ。授業料はちゃんと払うから。さて、どんなお話になってるのかな…」



『月の王子さま』


村の爺様が竹藪に竹を取りに行きました。するとどうでしょう、一箇所ぼーーっと光っています。不思議に思って切り出してみると、中から小さな小さな王子様が出てきました。王子様は爺様と婆様に見守られてすくすく育ち塩顔の美青年に成りました。お使いで町を歩けば女性は皆一瞬で虜になってしまいます…


”うわ…まるっきりパクリ、題名までパクリ、色んな話の混ぜ合わせ丸出しだな…”


…そして勇気を振り絞って恋文をだした『ゆうや姫』のところに、なんと王子様が忍んでこられたのです…


”…ここらは源氏物語の乗りになってきたな…”


…こうして幾人ものお手つきの姫を残して王子様は月に帰られてしまったのですが、お手つき姫達には玉のような赤子と王子様の思い出が残されたのでした、めでたし、めでたし…


”…めでたしめでたしって…最低の野郎じゃねえか!!”



「どうかな?男性ウケは悪いと思うけど、女性には受けるとおもうんだけどぉ?」


ん?そうなのか?と思って皆を見てみると、ミドリとかベレヌイ、ミテオまで、目がトリップしてしまっている。こんなのでいいの??免疫が無いってのは恐ろしいな…。


「う、うむ。確かに効果があるようだ。ではコレでいいから複製を造ってくれ。次のお話もタイムリーに出せるように準備も頼む。」


「ご主人様、すごいです。見てもないことなのにお話が造れるなんて。自分ミドリも月まで付いて行きたく成りました。」


「ねえねえ、塩顔ってどんな顔なのかなあ、きっと凄く凛々しいのね…」


「…お、おう…きっとそうなんだろうな…」


なんとも。こんなので入れ食いなのか。有効なことは確かなようだから、ココは個人的感情は押し殺して進めよう。


「複製が出来上がったらミルセリクの店頭で無料配布する。魚を買いに来たご婦人方に配るのだ。」


「ご主人様、コレは大評判間違いなしです。」


「…良かった。ミドリさんに認めてもらえて。配布も私達でやろうか?」


「おう、やってくれるか。自分たちが書いた事も宣伝していいぞ。」

(俺が書いたとか勘違いされると困るし。)


「うん、じゃあ、複製と配布、それから寺子屋だね。私達は大抵隣の小屋にいるからベレヌイさんもミテオちゃんもいつでも来てね。」


「帝国に行った時にバラ撒けるように、ある程度大量に複製しておいてくれ。」


遅れていた女性対策も仕上がりが見えてきて、まずはやれやれか。帝国行きに間に合いそうなのは有り難いな。基本的に、魔族からは迎撃はしても侵攻はしないから、帝国解体は内部から崩すしかない。この作品?が間に合うのは、意外におおきいかもな。

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