13 狩場(1)
ようやく狩場に到着だ。
狩場と言っても、普通の草原でとくに変化はない。
じっと見ていると時々草が揺れる。
揺れた場所に小動物がいるわけか。
ミドリに短剣を渡す。
「草が揺れた場所に獲物が居る。これで狙ってみろ。ハンマーでは潰してしまって売れなくなる。」
ミドリが勢いよく駆け出す。早いな。あれでも俊敏 並 なんだよな。
この世界レベル高いわ…そのうち俺の俊敏が 鈍 と書き換えられそうだ。
「行きましたー」
追い立てられたウサギが逃げてくる。これならいけるか?ナイフを出して構える。
「せいっ…」
………
……
…
ウサギは軽やかなステップで去っていった。
「野生動物は早いな…。」
「はい、追い立てるのがやっとですね…。」
「これは無理だと思わないか?」
「そうですね、一度だけしか検証していませんが、無理な気がします。」
「なにか、策を練る必要があるな。」
「論理的です。きわめて合理的と考えます。」
ミドリ…君は良い子だな。
ここでまだまだ…とか言われたら心が折れていたよ。
今日は狩場は下見ということにして、帰ることにする。
ミドリも反対しない。
重い荷物を当たり前のように持って先に歩いていくミドリ。
そう、先に歩いて丘をまた登って…
………
……
…
ミドリはほんとに良い子だ。