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129 ナーガ商業捕獲

奴隷商の館から帰ってくるとなにやら賑やかだ。ミエリキとミテオが引っ越してきていて『虹の架け橋』の3人も加わり『可愛い』『可愛い』といじられている。


「ミエリキ、もう荷物は全部運び込んだのか。」


「あ、旦那、元々ちょっとしか荷物はないんで、もう終わりやした。」


ミテオも目の前まで出てきてちょこんと頭を下げている。うむ、確かに可愛い。


「そうか。此方のお姉さんは新しく嫁に来てもらったベレヌイだ。皆も宜しくな。」


もう慣れっこになっているので嫁が増えても誰も驚かない。ミテオも今すぐに嫁に来ても良いけどな。おっと、ミドリがじっと俺を見ている。『まだ早い』と言いたそうだ。…残念。


「みな揃っているので丁度よい。ミエリキとミテオも連れ立って、兼ねて計画していた『ハームー湿地』に大規模にナーガ罠を設置しにいこう。いちいち説明するよりも実物を見るほうがわかりやすい。帰りにヘルマンド川ですでに獲れている罠を回収して捕獲から湯通しまで見てもらおう。」


「ご主人様、では荷車リヤカー2台で出ますね。造っておいた罠も全部積み込みますのでちょっと窮屈ですが。」


「ああ、かまわん。罠の竹筒の上でごろ寝するから。」


「では、ご主人様のお相手はダナイデ様、よろしくお願いします。」


”なあ、ミドリさん旦那はいつもああなのか?”

”そうですよ、ミエリキさん。ご主人様に歩かせると今日中に帰ってこれませんので。”

”必ず誰かが、ああやって世話に付くのかよ。”

”そうです。ご主人様の寝転がっている時間は大切で、ダナイデ様でも付いていけないほどアチコチに意識が飛び回っているそうです。”

”あれでねえ…だたのグータラにしか見えねんだが…”

”テイルはねー、匂いでわかるんだけど、大抵なにか考えてるみたいだよーー。悪い顔して意地悪なこと考えている事も多いよーー。”


聞こえているが、まあいい。そんな事よりも帝国だ。エフタール王国経由での侵攻が現状絶望的なので、やはり塩湖や黒の海を超えての侵攻が本命だろう。いや、まてまて、最近のTV番組で池の水を全部抜いて…とかやってたな。まさか塩湖の水ぜんぶ抜くとか…さすがに無理か。もともと出口がない水溜りが塩湖だから、普通の池の水ぬくほど単純じゃない。流入河川の流路変えても干上がるまでは何年もかかるし、そんな大規模工事は予算面でも無理だろう。


他に考えられる手は…橋か。黒の海は空豆型の海でとくに細い場所もない。塩湖も水位が回復して元の洋ナシのような形に戻っている。橋を掛けれる場所は無さそうだな…


結局船だな。船で渡ってくれば火攻めされることは想定するだろう。赤壁の戦いとか、絶対知っているだろうし。対策は何で来るかな…信長のように、金属板で装甲するか。火矢は刺さらないが、焼夷弾なら着弾後燃えた原油が飛び散るので、金属板貼り付けても隙間から染み込んで受けきれない。金属板がシームレスじゃないからな。それにアルミやチタンのような、軽量金属はこの時代では無理だ。装甲すると重くなって積載量が半減する。金属板装甲はかりに採用しても一部分までだな。

金属板装甲以外の方法で防火するとなると、どうするか?例の樹液で固めるか。樹液で固めても矢は刺さる。加熱されてまた溶けてしまって効果が無いか。それでも何もしないよりは燃え上がるのを抑える効果は有りそうだな。ローコストで現実的か。

結局、完全な防御は無理ってことだ。となると、ある程度の損害を見込んで数で勝負か。多方面で陽動して渡航点を秘匿しての奇襲になるな。しかし、そんな小手先の戦術に全面的に頼るだろうか?なにか、見落としているような気が…


「ご主人様、ハームー湿地が見えてきました。」


街道から緩やかに見下ろすと遥か向こうまで延々と湿地帯が広がっている。ナーガどころか、訳の判らない謎の生き物が生息しているような雰囲気だ。安全に接近できる道を選んで湿地に侵入していく。


「こんな場所でも、道が出来ているんだな。」


「この湿地から向こうは砂漠ですので、こんな場所でも貴重な水源です。」


「あまり深入りしないほうが良いだろう。ココらで設置しておこう。」


竹筒のナーガ罠を次々槍投げの要領で投げ込んでいく。力と速さを兼ね備えたテイルの投げる罠が一際遠くまで飛んでいく。


「ナーガのような、細長い生き物はこういう狭い場所に入りたがる習性がある。狭い場所で隠れるために細長い姿に進化してきたのだから当然だが。だから、餌もなにも無くても筒の中に入ってくるというわけだ。だが筒には数箇所の返しが付いているので、一旦入ると元には戻れないのだ。」


「…そんな仕組みになっているのか。これも旦那が考えたのか?」


「考えたんじゃない。思い出しただけだ。誰がコレを思いついたのかは知らん。大昔から有る。」


「これで本当にナーガが入ってくるなら、ナーガも取り放題か…」


「そううまくはない。ナーガの絶対数に限りが有るから、その何割が入るかわからんが、限界がある。まあ、まだ誰も使ってない罠だから、当分は設置すれば全部に入るだろうけどな。」


ナーガ罠を設置して帰途につく。途中ヘルマンド川へ寄り道して既存の罠を回収して帰る。


「こんな感じで生け捕りにして来たわけだ。俺達はこいつを罠ごと温泉の熱湯に通して処理してきたが、別にほかの方法でも構わない。ミエリキが良いと思う方法で工夫してくれれば良い。」


「ちょっと前から貴族の宴会で真っ直ぐなナーガが縁起物として出されていると噂だったが、旦那が獲っていた余り物だったのか…」


「いや、最初のころは 本当に金儲けで獲っていたんだがな。まあ、そういうわけでウチに居ればナーガだろうが、コカトリスだろうが、活魚、ロブスター、皆食べ放題だからミテオちゃんもしっかり食べていいから。」


ミドリがまたジッと見ている。食い物で釣るのは辞めろと言いたそうだ。

ミドリよ、うちには食い物も玩具も服も全部あるのだ、ミテオはすでに我が手の内も同然。無駄な抵抗はやめなさい。



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