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12 フイールドウオーク

昨日は結局よく眠れなかった。

特段美形でもない小娘が横にいるだけでこれ程の破壊力。

32歳にして雄の業の深さを再認識させられるとは…くっ。


「今日はどこに行きますか。」


ミドリは熟睡できているようだ。

30超えの男と同衾しておいて、豪胆な奴め。


「まずは武器だが。この村の狩人は防具をつかうのか?」


「防具は使わないです。大抵の狩人は弓と短剣を装備します。

大物を刈る狩人なら弓と槍です。」


大物狩りをする場合は弓で挑発して突進してきた獲物の力も利用して槍で串刺しにするという。

イメージしてみる…

………

……

俺にとっては論外以外の何物でもないな…

できるか…そんな事。


「まずは武器屋だな…」


武器屋では自分用にありふれたナイフと短剣。重い。使えるのか?俺が…

ミドリには木製の大きな槌、ハンマーを買う。ドワーフの標準装備らしい。

佐々木小次郎のように器用に背中に括り付けている。

防具はスルーした。

予算もあるが、防具が必要な場所には行かないから不要だ。当分は。


続いて雑貨屋による。

水と入れ物が無ければ始まらない。

ミドリに大きな背負い袋を背負わせる。


背負い袋には武器を収めるスロットがついているので問題ない。

背負い袋と背中の間にハンマーの柄がすっぽり収まるのだ。

俺よりパワーがあるミドリだ。これぐらいはご主人特権でOKだろう。

俺は短剣とナイフだけでも結構きついし…


水筒はないが、水のこぼれない大きめの袋があった。

なにかの樹液のようなもので内面をコーテイングしてあり、口を縛れば密閉できる。

便利なうえ安いので20枚ほど背負い袋に突っ込んでおく。うち、2つは水を一杯にする。

ミドリは平気な顔で背負っている。体力 上 は伊達ではないな。


「ミドリは力持ちだな。」

「人間よりはあると思います。でも、ドワーフとしては弱体です。

ご主人様はひ弱なので、荷物はミドリがもつのが合理的です。」


合理的か。なつかしい響きだ。

なるほど、体育会系のドワーフの社会では勘当されるわけだ。


「普通の狩人がいく狩場を知っているか?」

「すぐ近くですので行きましょう。」


ミドリが先に立ってスタスタ歩いていく。

葬列の未亡人はチャイナ風の横割れドレスだったが、あれは儀式用らしい。

一般人の普段着は縄文人が着ていたという、貫頭衣のような感じだ。

裾を長くすると機動性が悪くなる上布地も多く要るから、膝上までしかない。


都会に出てきた田舎の子が頑張ってミニスカート着用しました…そういった風情のミドリだ。

ミドリの大根足にミニスカート、ちらちら見えそうで見えないパンツ…

うむ。なかなか…大物が後ろから歩むのも道理よな。


「この丘をこえてすぐが狩場になります。ウサギとかテンが居ます。

そこから左の方に行くと、猪とか鹿とかの大型の獲物が居ます。」


チョウチョはセットではないのかと言いかけて辞める。

丘…というが、ちょっとした岩山だ。

ゼーゼーいいつつ登っていくと、卵が腐ったような匂いがしてくる。


「臭いですけど、毒はありませんから大丈夫です。」


頷くだけでなんとかついていく。硫黄だな、火山が有るのだろう。

あれだけの荷物があって、平気で歩いていくドワーフ。やっぱドワーフが最強…え?

………

……

縞柄…だと…

……

コルストン、わかっているではないか。贔屓にするぞ。

未来に一条の光を、今、俺は確かに見た…


「あっちでシューシュー噴き出しているのは毒かもしれないので、吸わないほうが良いです。」


毒か。いや、毒なら却って利用できるのではないのか。


「吸わずに見るだけなら、いいんだな?なら風上から寄ってみよう。」


一面の硫黄だが、岩の裂け目から噴き出している。

よく見ると白い塊が暖められて気化…いや、この場合は昇華だな。…している。


「ドライアイス?んな訳がないか…メタン?メタンハイトレードが飛び出しているのか?」

「??毒ではないのですか?」

「少しぐらいなら、たぶん大丈夫だ。残念だが毒ではないようだ。」


岩場に座って硫黄やメタンが利用できないか考える。

ミドリも荷物を下ろして、ハンマーの素振りをし始めた。俺の目にもあまり上手いとは言えない。


《 おい、何考え込んでんだ? 》


半透明のおっさんがでてきた。なにか考え込むとでてくるようだ。

いまは別に心躍ることもないので 英知専門 ではないようだ。


「狩りに出てきたものの、俺たちでは無理じゃないかと思い始めてな…」


《 そんなもん、見えた獲物にズン…とぶっ刺じゃいいだけだろうが。 》


「俊敏が、並と並下 だぞ。当たる気がしない。」


《 当たって砕けろ、やるだけやって、ズンでゴンでザクっと…その…、まあ、頑張れ。 》


手を振ると消える。いや、俺が無駄だと思ったから消えたのか。

とりあえずは下見のつもりで狩場に行くか。


「よし、そろそろ行くか。」

「はい、行きましょう。」


ミドリは元気だな。だが下りになったので少し残念だ。












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