表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/191

102 神を創造?

別荘に帰り着き、柴漬け漁の仕掛けを揚げてみる。

タライの水に漬けて振ると小エビがわさわさとこぼれ出てくる。


「うわー、いっぱい居たねー、主さま~~」


「…こんな事でエビが捕れる……」


「ミドリよ。エビの心が読めないようでは敵の手を呼んで先回りすることなど出来ないぞ。」


「…エビのこころ…」


くっ、くっ、この瞬間が楽しくてなぁ。ミドリのこの反応が堪らん…


「お愉しみですが、旦那イオリさま、お料理にしませんと。」


「あの、ご主人様。これ、食べるのですか…」


ミドリが引いている。エビを食べる習慣がないと、そりゃグロテスクだよな。だが、誰も捕獲していないだけに入れ食い状態で取り放題だ。取り放題だが普及には壁があるな。


「いくらでも捕れるがエビを食べた事が無いとなると、食生活向上の足しにするには一工夫必要だなあ。」


とにかく、小エビと魚や貝をいれてスープを造ってみる。出汁を取ったあとのスカスカのエビは取り上げて畑の肥料にする。


「あれ??甘いよー、それに魚の生臭さがなくなってるーー」


「御主人様。凄く美味しくなってます。これがエビの効果ですか…」


「どうだ、美味いだろう。これが大きいエビだとエビそのものを食べる。これがまた美味いし料理も簡単だ。ただ、大きいエビは捕るのが困難だが。」


「海の底歩いている、これの大きいの獲ってくればいいのなら、捕れるよ。」


「マーマナなら簡単にとれるな。自家用ならそれで十分だ。見つけたら捕ってきてタライに入れといてくれるかな。」


「いっぱい歩いているから、すぐに捕れるよ。今度タライに入れとくね。」


事業として捕獲するのではないので、あくまで自家用だがエビが食べられるようになった。来客時にだせるように、全部の家に海水池でいけも造っておくか。


「マーマナ、明日からはケルート人にまた会いにいくのでミドリと留守番頼むな。」


「うん。ダナイデ様から聞いてるよ。だから伊織は今夜、マーマナと一緒に居るからって。」


当然こうなるよな。やり手婆は全部お見通しだからな。まあ、有り難いけど。



マーマナとは立○になるので一晩は大変かと思ったが、昨夜は台に寝転んで側○もOKだった。そりゃそうか。マーマナが成長して成体に近づけばドンドン大きくなる。いつまでも立○は無理だ。


マーマナとミドリに留守番を頼んで、まずは塩湖の別荘に出発する。2日がかりの旅程だ。テイルもダナイデも大活躍だが、俺はタダ乗りしているだけで暇だ。


《 暇そうじゃない。 》


ー お姉さん、久しぶりだね。お陰でセイコ・サオリの目処が立ちそうだよ。 ー


《 伊織もまだまだだね。 》


ー ん?まだなにか見落としてますか? ー


《 聖ハスモーン唯一神帝国は宗教侵略がメインで武力侵攻は裏オプションでしょ。 》


ー まあ、そりゃそうですよね。 ー


《 ケルート人のような、素直で素朴な人の群れに ”聖ハスモーン唯一神教” がひとしずくこぼれ落ちたらどうなる? 》


ー あっ!! ー


《 わかったら、今回手を打ちなさい。 》


ー …お姉さん、受けにも気を使うんだ、意外… ー


《 ふん。今にも詰みそうだから教えてあげただけよ。ヘボ受け伊織。 》


…言い捨てて消えてしまった。参ったな、真正面の王道すぎる攻めで盲点になっていた。免疫のない人間にウイルスをバラ撒くような状態になったら手の打ちようが無い。ケルート人が一瞬で聖ハスモーン唯一神教に裏返ってしまう。どうしたものか…


前を見ると今日もテイルが生き生きと突っ走っている。その手前ではダナイデ様が神々しいお姿でゆったりと座っている。微妙に光っているのは、何か森に指示をしているようだ。


…神々しいお姿…か…


使わない手はないな。


「あー、主さま~~またなにか悪い顔してるでしょ。辛い匂いがしてきてるーー」


「んぁ、な、何も悪いことではないぞ。ケルート人達が騙されないようにだな…そ、そうだ、偽物に騙されないように本物を見せておいてやろうと思っただけだ。」


旦那イオリさま、本物って…ダナイデが?」


「ダ、ダナイデは本物の精霊の力の一端をちょこっと見せるだけですから、ちょこっと…」


「ちょこっと?」


「そう、ちょこっと。以前も薬樹液あげていたでしょ。その程度ですから。」


「ああ、あの程度なら…」


「あとは、その、お姿を見せる、タダそれだけ。」


「それだけ?」


「それだけです。後は俺が適当…いや、誘導…いや、その、そう説明だ、説明してケルート人が勝手にダナイデを神に…いや、違う、ケルート人が正しい神の概念を自分で…そう、自分で作り出すのです。」


「はぁ…ミドリさんに詐欺師と云われるだけの事はありますわ、旦那イオリさま。しかし、それでケルート人と森の繋がりが強くなり、良い方向に進むのでしょうから宜しいですわ。何と云うのでしたかしら、たしか、そうそう、『客寄せパンダ』とか云うのですよね。嫁を『客寄せパンダ』に使う事も厭わぬ、恐ろしいご主人様にお仕えできて有り難いことですわ。」


うわぁ…結構怒ってるのかな。でも、たしか俺の世界ではケルト人と森は切っても切れない密接な関係だった。悪い結果にはならないはずなんだが。


「ふふ。旦那イオリさま、怒ってはいませんですよ。でも、本物の神さまに、もし出会ったらお詫びしないとね。」


「本物ねぇ…本物がでてきたら、お詫び+お詫びの数倍の文句言ってやりますよ。『てめえがしっかりしねえから、俺たちが苦労してるんだろうがっ!!。てめえがマトモなら聖ハスモーン唯一神教自体、そもそも湧いて出ることも無ねぇんだよ!!』ってね。」


全くなあ。信長さんのお陰なんだろうけど宗教から大方の人が解脱しちゃってる現代日本人には、神に心底入れ込むってのが理解できん。元の世界でも、外人さんで解脱出来ている人は滅多に居なかったように思うしなぁ。そのため、日本の一部アニメが放送不可になっていたりして。現実世界に干渉してくる神ならちゃんと責任取れっつうの。干渉できないなら、あの世の事だけしてろってな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ