10 初夜
「いかがでしたかな?」
絶妙のタイミングでコルストンが来る。
どこかにマジックミラーでも有るのか?油断も隙も無い。
「ミドリという名前を戴きました。」
「それはなにより。では『奴隷環』を準備いたしますので伊織様も…」
代金を置き、ミドリと並ぶ。
二人の足を揃えて魔具が使用され、ミドリの足にだけ『奴隷環』が残る。
「これで全てのお取引は終了いたしました。
また奴隷を増員される場合は是非当店をご利用ください。」
「有難う。また世話になれるように努力するよ。」
………
……
…
2人で宿屋へ行く。
俺もミドリも荷物はわずかだ。
だが、明日は最低限度の装備や生活用品も必要だろう。
宿で部屋を取る。
とくに聞き返されることもなく、一人用の部屋を二人で使う。普通の事なのだろう。
荷物を置き二人で食堂へいく。
メニューが読めるようになっている。やはり学習しているようだ。
「コレを2人分で。」
ミドリが何か言いたそうだが黙っている。ああ、ドワーフには酒だったな。
メニューの端に ビエーレ とある。
価格からみても飲料、たぶん酒だ。
「ビエーレも2つ追加だ。」
ミドリの顔が綻ぶ。げんきんな奴め。ドワーフの16歳はまだまだ子供なのか。
部屋に戻ると燭台と湯桶が2つ用意されている。
まあ、風呂はないよな…いろいろな意味で残念だが。
さっさとミドリが手足や顔を拭いている。
今日は汗もかいてないので体は拭かないようだ。…つまらん。
「では、よろしくお願いします…」
ミドリがやおら四つん這いになって肘を着き、お尻を高く突き出す。
「お、おおう…」
こ、これは、やはりアレか、召し上がれ…なのか。
ごくっ…つっ…と息をのんでそっと裾に手を伸ばす。
そっと裾を持ち上げると…そこには…
「パンツ……だと?……」
なぜだ、なぜこの世界にパンツがある。
純白のパンツに、リボン付き…だと…
幾多の転移者を受け入れてきた結果、こういう部分だけ文明が加速したのか?
…い、いただきます…と手をだしかけたその時!!
「これで宜しいのですよね。」
あっさり立ち上がってしまったミドリの、なんと爽やかな笑顔。
くっ、じらしプレイの奥義をいきなり持ってくるとは。
「コルストン様に教えていただきました。
伊織様はこういった衣装がお気に召すはずなので、活用するようにと。」
コルストン、やはり只者ではなかった。