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コロシアムデビュー

俺が始めてから3日ほどは初心者向けフィールドからダンジョンに入り、攻略とレベル上げをヨイチと共に行なっていた。

武器がアクトスキルのシネマチェンジャーとなっている為、変身形態で戦うのが基本となる。

攻略中にすれ違うプレイヤーが二度見する様も、3日もすれば慣れていた。

シネマチェンジャーの効果はステータスの向上が主で、変身前と変身後では段違いに動きが違う。

更に俺にとってのスキルとも言えるカートリッジについて。

アテナから渡されたカートリッジの仕様として弾丸のようなものだと分かった。

カートリッジを使用するとエネルギーを使い切り、しばらく使えない。

したがって英雄の一撃も連発が不可能で、アテナにチャンスは一度と言われた意味はそういうことだったらしい。

英雄の一撃のカートリッジが二つあれば二度撃てる可能性はあるのだろうか。

あれからアテナに会っていないので山ほど聞きたいことも聞けないでいる。

ちなみに今日はヨイチと一緒にダンジョンでのレベル上げついでにヨイチの新しいスキルを試しに来たところだ。


「んじゃ、あの敵でちょっと試してみるッス」

「了解」


二足歩行した獣のモンスターで試すことにする。

モンスターが気付いていない離れた位置から、ヨイチはそのモンスターに向けて弓を構えてスキル名を唱える。


槍送(そうそう)の矢」


槍を放ったかのような大きさの矢がモンスターに向けて飛翔する。

モンスターが気付いた時すでに遅く、見た目通りの衝撃をモンスターに与えていた。

胸を貫かれ、槍に支えられるように立つそのモンスターのHPは無くなっていた。

そしてモンスターの身体が消えるとヨイチはこちらに向き直る。


「どうッスか?火力がある分、見られてると隙が大きくて避けられやすいんスけど」

「正直あんな矢が飛んで来たら恐怖しか感じない。現実なら漏らす」

「今度からこのゲームするときはオムツが必要ッスね。アクタークレイドル馬鹿高そうだし」

「ヨイチママにオシメしてもらおう。でも実際トイレ行きたくなったらどうなるんだこの場合?」

「誰がママじゃ!普通に感覚的に共有されてるからこっちでもトイレに行きたくなるッスよ」

「お漏らしの心配が無くなって何より」


そんなやり取りを終えた後はダンジョンを変え、レベル上げを行ってから俺たちはログアウトをした。


『ログアウトが完了しました』


アクタークレイドルから起き上がり、ターミナルを弄りながらヨイチに疑問を投げかける。


「このゲームのレベル上限ってどのくらいなんだ?」

「たしか100ッスよ。100まで上げた後はポイントの割り振りをやり直せるとかも聞いたッスね」

「そういったところは良心的だな。まずはゲームに慣れるのも含めて100まで上げるって感じか。だったらコロシアムも100まで上げた後になるのかなあ」


対人ありきのゲームって後は腕の差だけになる程度には、レベルやら装備を整えてやれみたいなところあるし。


「実はそれがそうでもなかったりするんスよ。コロシアムは戦う二人の低い方にレベルを合わせてくれて、高い方はその分レベルを下げた制限状態で戦うことになるんス」

「ってことはもうコロシアムに行っても問題ないのか」

「ただ、通常の対人戦はお互いの了承が無いと駄目だから対戦してくれる相手を探すところがネックになってるらしいッスよ」

「レベル制限もコロシアムだけで、フィールドのデュエルモードには適応されないから注意ッス。なんなら試しに俺と対戦するのはどうッスか?」

「たしかにヨイチとならレべル差も無いし練習には丁度いいな」

「なら、さっそくコロシアムにログインするアクタークレイドルルームに行くッス」


普段使っているのはフィールドログイン用のアクタークレイドルで、コロシアムに行くには別のアクタークレイドルでログインする必要がある。

コロシアムにログインするのはお互い初めてなのもあり、ヨイチと二人で興奮気味にログインをした。

ログイン自体はフィールドの方と変わりは無く、いつもと同じようにログインを済ませるとローマのコロッセオを模した建物の前に降り立った。


「おおっ!ちゃんとした建造物を見るとVRとはいえ旅行した気分になるな!」

「VRの醍醐味ッスよねえ!レベルが上がればフィールドやダンジョンで行けるところも増えていくはずッスよ。イベントとかもあるらしいし」

「とりあえずあそこが入口っぽいし入ってみようぜ」


入り口を抜けると受付があり、目の前に行くと受付の人が喋りかけてきた。


「ようこそいらっしゃいました。こちらでコロシアムの受付を行なっております」


見やすい位置にポップアップが出て複数の項目が表示され、

ランキングマッチ、フリーマッチ、フレンドマッチ、AIトレーニングと3つの項目があった。

フレンドマッチを選択するとフレンドリスト

が表示される。

中からヨイチを選択し、招待を送った。


「お、バトルの招待がきたッス!これを承認して……と、これであのポータルからコロシアムのバトルフィールドに行けば対人戦が出来るッスよ!」


言われるままポータルを使うとコロシアムの待機部屋に移動すると目の前には柵があり、これが開いたら対戦開始のようだがその瞬間はすぐに訪れた。

『BATTLE START』という表示と共に柵が上がった瞬間、眼前に光が飛んでくる。

それを必死で避けると勢いあまって壁にぶつかってしまう。

飛んできたのはヨイチの矢だと直感した俺は、まず距離を詰めるために開いた柵の向こうへと駆けだすと、進行方向に矢が飛び俺の動きを阻害する。


「なかなかエグイ狙い方してくるじゃねえかヨイチ!」

「遠距離が得意ならその最適な距離で戦わせてもらうッスよ!パンチなんか喰らいたくないッスからね!っと!」


言う間にも俺のことを狙い3射連続して放ってくる。

俺は避けながら腰のフィルムを取り出し、ボタンを押す。

『オーバー・ザ・ヒーロー!』

そのままフィルムをセットすると『フィルムセット!』と、もう聞きなれた音声がする。

『アクトレディ!』の音声がするのと同時に右腕を前に突き出し、ボタンを押す!


「変身中に攻撃って邪道ッスかね!でも、やっちゃいけないと思うとやっちゃういたずら心ぉっ!五月雨の矢ぁ!」


以前、このフィルムには物理判定があるのかを確かめていた。

巨大な映画フィルムのようなスクリーンが現れ、迫りくる多数の矢を防いでいく。

確かめておいてよかったと心の底から思いながら①の表示がされたスクリーンに飛び込む。


「無粋なのはいけないぜヨイチ君!」


少しでもヨイチの元まで近づこうと近くの岩場に駆けだす。


「なら変身のお祝いに雨を降らせるッスよ!五月雨の矢!」


俺の思考を読むように岩場一帯を狙う岩をも削る矢が降り注ぎ、間一髪の所で避ける。


(変身してもただの的当てゲームの的だぞこりゃあ!もっと早くあいつに迫る方法さえあれば!)


「隠れさせないッスよ!更に五月雨の矢!」


雨のように矢がまた迫ってくるが両腕でガードすることでダメージを軽減する。

だが、それでもダメージは大きくHPのゲージを大きく減らす。


「その隙は好きッスね」


両腕を上に上げてガードしていることで身体の方がガラ空きになっていた。

トドメの一射とばかりにヨイチがスキルを唱える。


「槍送の矢!」


飛んできた矢を避けられないと察した俺は、右拳で横から逸らすように殴る事で直撃を避けた。

それでも大きいダメージを喰らってしまったためHPバーもほとんど無い。

自分自身こういうことが出来るかは賭けだったが上手くいったようだ。

さすがにヨイチも驚いたのか一瞬動きが固まっている。

その隙に足元の石をヨイチに向けて蹴り飛ばすと石はヨイチの肩に当たり、ヨイチの態勢が崩れている間に俺は距離を詰ようとする。

その瞬間、足元に見覚えのない球体が転がり突如爆発した。


「やっべ、爆弾!?」


やられたと思って目をつむったが外傷は無く、周りが煙で満たされ視界が悪い。


(煙幕か!この状況で考えられるのは......!)


煙幕を抜け俺は来るだろう攻撃に備える。


「槍送の矢!」


俺は発射を確認した瞬間にまた煙の中へ飛び込んだ。


「無駄ッスよ!アクトスキル!」


ヨイチは矢が横を向き狙い穿つと確信するも、その瞬間を見たヨイチは目を疑う。

なぜならばその矢の矛先は自分に向かってきているのである。

状況を理解したヨイチは


「こりゃ......好きになれないッスねえ」


予想通りエイジが目の前の煙幕から飛び出し急接近してきている。

とっさにエイジに向かって矢を3射放つも、とっさのことで狙いが甘くエイジの右腕で弾かれてしまう。


その一瞬の動きが命運を分けた。

ヨイチに辿り着く前に先に槍送の矢がエイジに喰らいつく。

だがその瞬間、エイジの顔には笑みが浮かんでいた。


「そのまま返すぜヨイチ!」


エイジは身体を捻るようにして背後から迫る槍送の矢を後ろに移動するように避け、その右拳で矢の後ろをヨイチ目掛けて殴りつける。

ただでさえ速度がある矢はヨイチ目掛けて更に急加速し、驚くヨイチをそのまま貫いた。


「だけど......!まだ、勝負は決まってないッスよ!」

「でもようやく近づけたぜヨイチくん!」


矢の衝撃で吹き飛んだヨイチにそのまま近づいたエイジは、その勢いのまま地面に叩きつける最後の一撃をヨイチに放った。



「あのヒーロー君やるじゃん。ちょっと面白そう」


観客席の少女が二人を見て笑みを浮かべた。


次回から女の子追加します。


真面目に書くのが初めてでブックマークが入るたび喜んでます。

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