レイドバトル2
なかなか書けなくて申し訳ないです。
大将ボスに向かう中、俺達やガイア達とも違うパーティが戦闘に入ったようだ。
そのパーティでは前衛2人が斬撃武器で斬りかかり、後衛の1人が杖を持って身構えている。
杖の人が何かの動作を行うと前衛の二人に光が覆う。
すると明らかに前衛二人の動きがよくなるのが分かった。
(バフみたいなもんかな。対人戦が1対1な以上、サポートみたいな職はないと思ってたが魔法職がそれに含まれてるのか)
とはいえ、先ほどから大将ボスの眼の光り方が気になる。
その不安は的中する。
攻撃を与えればノックバックなどをしたり、攻撃を防御といった行動をとっていた大将ボスはその行動をやめ急に後ろに下がる。
「GrrrrRRRRrrraaaaaaaaaaaaaaAAAAAAAaaaAAAAAaaaAaaaAAaaaAAAAaaa!!!!!!」
突如、人を模したものが出していいとは思えない獣の咆哮のようなものを上げ、手に持っている剣で攻撃者を横薙ぎに一閃する。
攻撃されたプレイヤーは上半身と下半身が分かれ、吹き飛んだまま消滅した。
その様子を見ていたもう一人の前衛は驚きのあまり動けないようで、その硬直時間を大将ボスは見逃すはずがない。
ジャンプして飛び上がった大将ボスはその固まって動けないプレイヤーを、手に持った大きな盾で地面にたたきつけ押し潰す。
前衛二人を失った後衛の一人は震えながらも杖をかざすと周りから出た複数の雷の矢が大将ボスを襲う。
雷の矢の直撃と共に、大量の爆煙が大将ボスの姿を隠す。
それでも震えの止まった後衛のプレイヤーは攻撃を辞めず、雷の矢を送り続ける。
すると爆煙の中から剣が飛び出しプレイヤーの胸を貫いた。
そのまま倒れるプレイヤーは地面に頭を付ける前に消滅する。
「おいおい難易度設定間違ってるんじゃねえのかオイ!」
ガイアが到着すると同時に大将ボスに斬りかかる。
盾で防がれるがあまりの衝撃に吹き飛ばされるが地に足はついたまま踏みとどまる。
「インパクトストライク!」
間髪入れずに近づいたガイは片手で大将ボスを掴み、そのまま地面にたたきつけると掌が光り、衝撃波が起こる。
「GRRRRRRRRRRRRRRrrrrrrrrrrrrraaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaAaAAAaaAAaAAaaaa!!!!!」
再び咆哮を上げると剣をガイに向かって振り抜く。
「そんな大振りじゃあ当たらねえんだよ!」
攻撃を避けて後ろに回り込んだガイは大将ボスの背中を蹴ろうとする。
それを避けて盾の鋭い部分でガイを貫こうとするが、ガイの弟が槍で足を斬りはらい態勢を崩させた。
「今だ!兄貴!」
態勢を崩したところにガイは大剣で連続した攻撃を加える。
盾を構えて防戦一方のところにガイが叫ぶ。
「ブロークンストライク!」
野球選手がバットを振るような動作で盾を大剣で叩きつける。
盾が弾かれその手から離れるとともに大将ボスは吹き飛んだ。
「美味しいとこはもらうよ兄貴」
「ガハハ、やっちまえ!」
「メテオペネトレイト」
ガイの弟は流星のごとく大将ボス向けて槍を投げる。
大将ボスはそのまま槍に胸を貫かれ大爆発が起こり、胸には大きな風穴があいてその場に倒れこむ。
スキル後に手元に戻した槍を抱えたガイの弟とガイが、その残った死体を覗き込んでいるところで俺たちは追いついた。
「もう倒しちゃったのかよ!」
「あたしの大将首~!」
「追いつくだけで疲れたッス」
「ガハハ!始めたばっかのプレイヤーには荷が重かったかもしれねえぞ!」
「兄貴の言う通りかもしれないですね。攻撃を受けたパーティの方々が軒並み一発退場のオワタ式ですし」
「大振りだからよかったがもうちょっと細かく立ち回られたら面倒だったなオイ!」
その時、ガシャンと音がする。
音がした方を振り向くと、兜が取れた大将ボスがガイの弟の首にかみついた。
「オイ!」
「兄貴!来るな!ぐぅ!ぐぁあああああああああ!」
ガイの弟は無残にも首を噛みちぎられ、その手に持っていた槍を奪われた後にボロ雑巾のようにうち捨てられた。
「GRuRuRuRuRuRuRuRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!」
「ちょっとちょっと何あれ!」
大将ボスの身体が黒く変色していく。
「あの時と一緒か...」
「そうね、あの子が今回弄られちゃった子よ」
「もう驚かねえぞアテナ」
「あら、残念ね。びっくりしたときの反応を楽しみにしてたのに」
「軽口言ってる場合か!」
そう言っている間にもガイが激昂して叫ぶ。
「てめえ、ゲームだからってよくも弟の首を噛みちぎりやがったな!てめえは首だけじゃ済まさねえ......首以外ミンチにして晒してやるよオラァ!」
言った次の瞬間には大将ボスを大剣で攻撃していた。
激しい土煙を上げる中、金属と金属が打ち合う音が周りに響き渡る。
土煙が晴れるとガイの激しい攻撃を、剣で守りながら奪い取った槍で鋭い攻撃を放つ大将ボスの姿があった。
激しい打ち合いの後、一度距離を置いたガイは叫ぶ。
「デッドリーストライク!」
ガイアは大剣の切っ先を向けて突撃し当てた後、下から斬り上げ相手を空中に弾き飛ばす。
すかさず飛び上がったガイアは空中の敵を叩き落とすように大剣を叩きつけた。
「いいの?エイジ?」
「何がだよ」
「あのままじゃ死ぬわよ?あのマッチョガイ」
「なっ!?」
「不穏な会話してないッスか!?」
ガイがその巨体に見合う音を響かせながら着地し、再び飛び上がると
「オラ!トドメだ!メテオバーストストラ...」
地に叩きつけられた大将ボスはむくりと起き上がると手に持った槍を投げつける。
「マズっ!」
空中でスキルを使う態勢だった為にガラ空きの腹部に投げつけられた槍が突き刺さり、態勢を崩した所を大将ボスが更に剣を投げつける。
投げつけられた剣はガイの頭に突き刺さり、ガイアの身体が消えていく。
「チクショオがァ!お前らリタイヤしろ!こいつには勝て......」
言い終わる前に身体が消えてログアウトしたようだった。
攻撃をしている最中は止まっていた黒化が再開する。
どうやらあの現象は攻撃中には進行しない様子である。
「ちょっとどうするッスか!」
「ガイさんの攻撃全然効いてないじゃない!大将首は惜しいけどあの殺され方は乙女の私には酷ね」
「黒くなりきった弄られた子にはあなたの攻撃しか効かないわ」
「そんなのどうするッスか!てか、なんでそんなこと知ってるッスかー!」
「今更その説明すんのかよ!」
毎度毎度アテナはなんでこうマイペースというか......。
ちなみにアカリはアテナのことを知らないからか誰?って顔をしている。
「だからエイジを助けに来たのよ。シネマチェンジャーを貸して」
「また説明は後回しかくそっ!」
右腕をアテナに向け、アテナが手をかざすとシネマチェンジャーが光りだす。
「アップデートしたからこれでパーティを組んでいる人の攻撃も効くわよ」
「だからなんでそんな事できるッスか!エイジ教えるッスよー!」
「俺も聞きてえんだよ引っ付くな!」
腰にまとわりついたヨイチを引っぺがすと俺は言う。
「これであいつを倒せるんだな?」
「一撃で死なないのと攻撃が効くってだけで強敵には変わりないわ。だからこれもあげる」
ポイっと投げられたフィルムには『ソード・オブ・グラディエイター』と書かれている。
「オーバー・ザ・ヒーローとは違うのか?」
「それはつかってみてのお楽しみ♪ほらほら早くしないと......死んじゃうわよあなたたち」
言われて大将ボスを見ると黒化が終わりこちらを見据えている。
「GRUUUUUUUUAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!」
「その子のいうことが確かならあたしたちの攻撃も効くのよね!」
「そのはずッス!どうなんスかエイジ!」
「一つだけ言えるのはアテナが嘘を言ったことはない!」
その時、真横を風が駆け抜けたような気がした。
「あいつの攻撃を受けなければいいんだな?」
気づけば鞘に収まった刀を持つフードを被った男が大将ボスに対峙している。
ちょうど手元に落ちている投げていた剣を大将ボスが拾い上げ、そのままフードの男に襲い掛かる。
だが大将ボスの剣はフードの男を逸れて地面に激突していた。
先ほどまで鞘に収まっていた刀は既に抜かれ、大将ボスの剣を弾いて逸らしたようだ。
「いつ抜いたんだよあの刀......」
「あの剣筋......やな予感」
アカリがなにやらぶつぶつ言っている。
「おい!そこの少年!そのアイテムで何かするんだろう!俺の攻撃じゃ本当に効いてないようなんでな!時間稼いでる間に早くしろ。そこの二人も手伝え!」
さらっと盗み聞きしてたなあのフード。
「すまない!助かる!」
「りょ、了解ッス」
「......チッ」
言うや否やヨイチとアカリも戦闘に加わる。
ピンチな中で不謹慎かもしれないが内心ワクワクしていた。
このフィルムでは何が起こるのか、それを今確かめる!
『ソード・オブ・グラディエイター!』
フィルムのスイッチを押すと音声が鳴る。
フィルムをセットし、腕を前に突き出すと映画フィルムが周りに現れカウントダウンが表示される。
0の表示と共にフィルムに飛び込む。
オーバ・ザ・ヒーローの姿を若干残しながら、手には剣を持ち、背にはマントが増えていた。
「役者は揃った。敵役はお前だ!」
剣を握りしめ俺も戦闘に加わるため駆けだした。
次回、レイドバトル完結(予定)
やっぱり変身フォームは複数ないと!
ガイアの弟の名前はいまだに決まっていなかったりします。




