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4、「秘密の部屋と際どい衣装」

「──これは!?」


 フェンリルさんの家(神殿)に訪れた俺は、地下の寝室で秘密の部屋を見つけた。フェンリルさんの制止を無視して開け放ったその扉の先には……。


 もの凄い数の衣装が並べられていた。

 服、あるじゃんか……。


「フェンリルさん、これは?」

「ナンダコレハ。ワレ、ハジメテミル」


 いや、絶対嘘だろ。


「本当の事を言って下さい」

「むぅっ……これは、父上が寄越した物だ。父上は、様々な衣装を我に着せるのが趣味でな。会えない今でも、衣装を寄越してくるのだ。我は服を着るのが嫌いなのにっ!」


 そう言う事か。ロキさんの親バカっぷりが良く分かる。まあ、フェンリルさんは狼だしな……服を着るのが嫌いなのは分かるが……。

 

「でも、服はありますよね? 嘘は良くない」

「うっ! す、すまぬ」


 フェンリルさんって、結構素直だな……。

 獣人の女性に変わる時は、ここの衣装を着て貰うか。


「じゃあ、女性に変わる時は、服を着て下さいよ?」

「それは無理だ!」


「なんでですか?」

「面倒だし、我は窮屈なのが嫌いだ」


「そうは言っても、着てくれないと困ります。もし着ないなら、俺の欲望が爆発して襲ってしまうかもしれませんよ?」

「ほう……我を襲うか。ユズルにそんな度胸があると思わんがな。まあ、襲えるものから襲ってみろ。いつでも待っておるぞ?」


 ぐっっ……そう言われると、ぐうの音も出ない。

 どうしたもんかな……あっ! 


「もし着てくれたら、食糧庫の食材で美味しい料理を作って上げます!」

「美味しい料理? うむ……良く分からんが、興味はある。致し方ない。ユズルの前で変わる時は、服を着るようにしてやろう。だが、その美味い料理とやらが粗末な出来だったら、金輪際服は着ないぞ」


 うっ、失敗した時のリスクはでかいが、とりあえず服を着てくれるみたいだ。まあ、見てろ。一人暮らしが長かったから、料理は得意なんだぞ!


「分かりました! 必ず、フェンリルさんを満足させてみせます!」

「お、自信満々だな。これは楽しみだ」


 フェンリルさんに服を着せる一件は、とりあえず落着したので、次の行動へ移る事にした。


 衣食住の食は、豊富な食材と貯蔵量でひとまず安心。衣に関しては、ロキさんに男物の服を送ってくれるように、フェンリルさんが頼んでくれた。


 頼むと言っても、一方的なテレパシーのようなものを送ったみたいで、いつ届くかは分からないらしい。


 それまでは今着ている学校の制服を洗いながら着るしかない。

 まあ、一つ思い浮かんだ事があるので、後で試してみよう。


 最後に、住だが……正直、この神殿は広すぎて落ち着かない。

 狭小住宅に住む日本人の俺からしたら、もっとこじんまりした家で良いのだ。


 そこで、クリエイティブスキルを使って、家を建ててみようと思う。目指すは、ログハウスだ!


★★★★


 ログハウスを作るため、神殿を出て大きな木々の前へ来た。

 そう言えば、フェンリルさんは獣人姿で服を着ている。

 だが、その服がまた際どい……。


 セーターのような赤い服を着ているのだが、背中からお尻ギリギリまでぱっくり開いていて、横乳がくっきり見える……。


 たけも短く、下が見えるか見えないかギリギリだ。

 何故こんな服を選んだんだ……逆に興奮する!

 うん……あまり直視しないようにしよう。 


「フェンリルさん。お願いがあるんですが……」

「ん? なんだ?」


「ここら辺の木を、何本か切り倒すとか出来ます?」

「はっ、そんな事か! そのような事、我には容易い──」


 うわっ、凄い……元の巨狼へと変わったフェンリルさんが、鋭い爪で次々と木を薙ぎ倒していく。


「ふんっ、どうだ」

「す、凄いです! ありがとうございます!」


 ものの数秒で百本近い木々を薙ぎ倒したフェンリルさん。

 獣人の姿で胸を張り、どや顔を披露している。


「フフッ……して、これをどうする?」

「ああ、この木を使って、家を建てようと思いまして」


「家? 家ならあるだろ」

「そうなんですが……流石に寝る時は、自分の家で寝ようかなと思いまして。一緒に寝る訳にもいきませんし。それに、神殿は広すぎて落ち着かないんです」


「ふむ、そんなものかのう……まあ良い。では、作ってみろ。我は部屋で昼寝でもしておるから、出来たら呼びに来い。ああそうだ、我もユズルが作った家で寝るからな」


 フェンリルさんはそれだけ言って神殿に戻ってしまった。

 あの人、俺の話聞いてたのかな? 遠回しに、一人で寝たいと伝えたんだけど……。


 ハァー、面倒な事は後で考えるとして、とりあえず作ってみるか。よし、まずはフェンリルさんが薙ぎ倒してくれた木々を組み合わせてみよう。


 比較的近くで倒れていた二本の木を、転がしながらくっつけておく。そして、くっつけた二つの木に触れながら、


(クリエイティブ──)


 イメージを膨らませて呪文を唱える。

 すると、二つの木は眩い光を発して……。


──数秒後、目を開けて結果を確かめてみる。


「あれ? 出来たのは出来たけど……」


 出来たログハウスは、物置小屋よりも小さい家だった。

 これじゃ、小人の家だ……。


 うーん、て事は、二本の木じゃ足りないのか。

 ん? そうか! だったら沢山くっつけて試してみよう!


 神様の説明だと、物と物を組み合わせて作るとは書いてあったけど、一つの物と物とは書いてなかった。


 うん、でも人が住めるログハウスを作るのには、かなりの本数が必要そうだ……。

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