表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/64

ゴブリンの襲撃

 エリシャの一報のお陰で、冒険者ギルドには幾人かの冒険者が顔を出して居た。

 そして、町の守衛部隊も。


 対策会議が行われると言う広い部屋へ。


「ゴブリンは、リザードマンが言うには百近く。

 そして、カトブレパスを連れている」


 俺の報告に一同の表情が曇る。


「くそ。狙いはこの町なのか?」

「わからないが、進行方向はこっちだ」

「付近の住人を避難させよう。

 防衛部隊は、ギルドでいくつか組織できるか?」

「人が少ない。

 ありったけをかき集めるがそれでも、足手まといを入れて百に満たないだろう」

「仕方ない。領主に王都から応援を送る様、要請しよう」

「リザードマンも力を貸してくれる」


 俺の言葉に一同が、目を見開きこちらを見る。


「信用出来るのか?」


 そう、食ってかかるのは腕利きの冒険者。


「あいつらも追われた身だ。

 但し、戦えない奴も居る。

 一部は町へ避難させてほしい」

「ふざけるな! そんな危険な事が出来るか」

「危険は無い。

 奴らもそんな馬鹿な事は考えない。

 逆に味方になれば力強い」

「……いや、蜥蜴なんか頼らなくても勝てる」


 そう言い切る冒険者。

 俺は別にこの場の戦力を把握して居る訳では無い。

 勝てると言い切るなら、それ以上食い下がる必要は無い。


「では、邪魔にならない所へ移動してもらおう。

 街に入れなければ良いだろうか?」


 守衛兵に問いかける。


「あ、ああ。

 それならこの後報告に行ってどこが良いか聞いてみる」

「助かる。じゃ俺はそう伝えて来る」


 そう言って部屋を出ようとしたその時、部屋のドアを開き、守衛兵が駆け込んで来る。


「北からゴブリンの群れ! 二百強との事!」


 新手か。

 連動したかの様なタイミングだが、方向は別。

 偶然だろう。


「ヒザマル、領主の所へ行くぞ」


 そうギルド長が立ち上がりながら言う。


「は?」

「リザードマンを保護。助太刀を頼む。

 その許可を貰いに行くんだ。

 お前が居た方が早い」

「了解」

「他の面々は、早急に対策を」


 ◆


 街を早足で走りながら領主の館への向かう。



 ここの領主は武家の名門。

 現王宮騎士団、金獅子団の団長はここの嫡子だと聞いた。


 その領主が今、目の前に居る。


「ふむ。事情はわかった。

 私の客として迎え入れよう。

 その様に」

「は」


 途中で合流した守衛隊長へそう声をかける。


「リザードマンの戦士達の面倒は、ヒザマル、そなたが見よ」

「承知しました」

「それとな、カトブレパスはゼンに助力を請え。

 昔撃退したと豪語しておったからな」


 何と!


「承知しました」


「領主様。増援は?」


 守衛隊長が、不安げに確認する。


「無い!」


 領主は力強く断言した。


「白獅子は各地から動けん。

 そんな中、金獅子を呼んで王都に何かあれば一大事だ」


 王都からここまでは蒸気機関で一駅。

 一個師団くらいであれば、すぐに駆けつけられるだろうが。

 ……逆もまたしかり、か?

 ここを落とせば電撃的に王都へ攻め入れる。

 まあ、ゴブリンがそんな事をする訳無いか。


「なに、いざとなれば私が直々に剣を持って出よう!」


 老いてはますますさかんなるべし。

 そんな感じだな。


 横でギルド長と守衛隊長が顔を痙攣らせる。




 それぞれに不安を抱きながら、領主の屋敷を後にした。

 その足で俺は、ミラーシャの屋敷へと向かう。


 そして、呼び鈴を鳴らす。


「おや、ヒザマル様。

 お嬢様は今、ダイアナと勉強中ですが」


 意外そうな表情を浮かべながら出てきた執事、ゼンさん。


「いえ、ゼンさんに用があって来ました。

 カトブレパスがこの町へ向かってます。

 ご助力を」


 そこでゼンさんは少し考え込む。


「成る程、領主がそう言ったのですな」

「ええ」

「しかし、残念ながら、今の私に出来ることはないでしょう」


 そう言いながら、彼は右手に嵌めた白い手袋を外す。


 そして、人差し指の無い右手を俺に見せつける。


「昔、長弓にて魔物の片目を潰し退けました。

 しかし、これ手ではそれも叶いません」

「……わかりました」


 知らなかった。


「しかし、まあ、囮にくらいなら成れましょう。

 お嬢様に断って参ります。

 何処へ行けば良いですかな?」

「冒険者ギルドへ。

 対策本部が出来てます。

 是非、お知恵を。

 ただ、囮は駄目です」


 ゼンさんが眉を顰める。


「ミラーシャの世話を焼く人が居なくなります」


 そう言い残し、俺は一礼して再び走り出す。


 リザードマン達の所へ。

 彼らを避難させ、共に戦わねばならぬ。

 そして、迫るカトブレパスの対策も。


『あ奴が言う様に遠方から弓で射抜くのが一番だろうな』


 そんな達人に心当たりは無い。


『ならば、神殿騎士の力にすがるんじゃな』


 エリシャ?


『邪視の力を弱める祈りがあった筈じゃ。

 それも一時だろうが』


 なら、それで近づけるか。


『どうかの。

 奴の息は人には毒じゃ。

 果たして耐えられるか。

 儂が浄化出来るのはお主の体だけじゃからな』


 俺は平気、か。


『過信するな。

 即死ならそれで終わりじゃ』


 わかった。

 ただ、まあ、光明は見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ