生け贄、ですか?
「私が、生け贄…ですか?」
いつも通りの朝だった。
いつも通りの朝御飯を食べて、いつも通りの朝を過ごす。
するとドンドンドン!!と、ドアを叩く音がした。
「誰かしら…?珍しい…」
いつも通りではないことに驚きつつも、私はドアをゆっくり開く。
「あぁ!やっとでた!!あんたにね、頼みたいことがあるんだよ」
ドアを開けて早々、こののどかな村の村長さんが申し訳なさそうに言った。
「なんでしょう…?私に出来ることならしますけど…」
「あんたにね…生け贄、になってほしいんだよ」
理解不能で頭がクラクラした。
私が生け贄??何の??なんで私に??
「えっと…、あの、どうして…?」
普段言葉を発するのが苦手なのにテンパって更に文章が変になる。
「いやぁね、この村の一番のべっぴんさんはあんただし…それにその、言いにくいんだけどあんたは家族がいないだろぅ?だから…ね?」
だから…ね?じゃなぁぁぁぁぁぁい!!!!
なんで?誰の?
理由はわかりました、納得してないけど!
「西の魔王様…って知ってるかい?その魔王様が…この村から一番の美人をくれ、とかなんとか言い出してね。拒否ったら全員が殺される…んだ」
「それで…私が?」
びびびじんて…確かにこの村には若い女の子、私しかいないけど!!!!
「こんなことを頼むのはダメだって分かってる…けど、お願いなんだ…!頼まれてくれないかい…?」
なんで、なんで、なんで、なんで…
言いたいことはいっぱいある。
けれど…引きこもりの私にもしっかり接してくれた村のみんな…
恩は返せってこと?意味わかんない…
けども…私しかいないんだよね。まぁ美人じゃないけど(小声)
殺されるん…だよね。
わ、わかんないじゃん!
もしかしたら…めっちゃイケメンの魔王様だったりするかもだし…?
「…………………わかりました……………」
ボソッ、と返事をする。
本当かい…?と申し訳なさそうにする村長さん。
いいんですよ、けどね???
生け贄にならないかいって誘い方は…NGだよ…