第四章 第13話「燃ゆる炎の怒りと闇」
教会の台座を天井のステンドグラスから差し込む月明かりがぼんやりと照らす。
「さて、行きましょうか」
祈りを終えた黒い影は教会の出口へと向かう。しかし、それを阻むようにゆっくりと教会に入ってきた人影が扉を閉める。
「…誰デスか」
「お前だな、魂を抜き取る魔導師は…」
よく見ると口元が赤く光っており、天井へ上がっていく煙が月明かりで確認できる。
「ここは教会デスわ、おタバコはやめていただきたい」
「いいじゃねぇか…タバコが好きだった兄貴への手向けなんだ…」
その人影はコツコツとその黒い影に近づく。
「兄…」
「あぁ…ここでお前に殺されたな…!」
男は赤く光る剣を作り出し影に襲いかかる。
「ソウルコンバージョン・侍」
その影の手に刀が現れ男の剣を受け止める。
「っ!どういうカラクリかしらねぇが剣を持たねぇ女を斬らずに済みそうだ」
「どうでもいいデスがあなたがこの私、デスに勝てる術はありませんわ」
2人は一旦距離を取る。
「俺はお前が殺した安堂リョウスケの弟、安堂リクだ、兄の仇とアヤカちゃんの魂返してもらうぜっ!」
「残念デスがこの付与術師の子の魂は返すことができませんわ、もう私のモノデスから」
「チッ、お前には殺す前に聞いておきたい事がある…なぜ
魂を集めているなら兄貴を殺した…魂を取るだけで良かったんじゃないのか…」
「…はぁ?」
デスは眉をしかめ呆れたように首を横に振った。
「いいデスか?なぜ私が子供の魂ばかり集めているか、それは子供が一番“死”に近づくからデス」
「何?」
「時に子供は死の匂いを嗅ぎたがる…小さな虫や小動物を殺し、死んでいるのを見て悦ぶ…あなたも心当たりはありませんか?死への純粋な関心が一番魂を輝かせるのデス!それはとても美しい…私は美しいものを集めているだけ…それだけなのデス」
「狂ってやがんのか…」
「しかし、アヤカさんには苦戦しました…この子はなかなか死に関心を持たなかった、なのでこの世界が終わる前に強制的に魂をいただきました、この子の能力は有能なので」
デスは刀を構えリクを睨む。
「あなたは私を殺すと言いましたね…それは不可能です、何故ならあなたはこの世界で言う“失った気憶”を持っていないではないデスか、我ら魔導士に対抗できません」
「そんなもん、やってみなきゃわかんねぇだろうがぁ!!」
リクはデスに飛びかかった。
◇◇◇
暗い平原の真ん中で赤い光が2対、燃える。
ショウスケと仮面の男は激しい戦いを繰り広げていた。
「ハァ…ったくらちが明かねぇな」
俺はペッと口に溜まった血を吐く。
「ハッハッハッ!燃えてきたぜぇ!」
目の前のあいつはピョンピョンと跳ねながら笑っている。
しょうがねぇ…と思いながら俺は失った気憶を発現させる。
「失った気憶発動!炎帝っ!」
「おっ!来たねぇ失った気憶!これで本気でやり合える!」
俺は黄金の炎を纏い勝負を決めにかける。
「やり合う暇なんて与えねぇ、お前は一方的にやられるんだ…!」
俺は今までで一番速いスピードで距離を詰めこいつのみぞおちに蹴りを放った。
「ゴブォッ!?」
やつは地面をバウンドしながら吹っ飛んでいく。そして、俺は立ち上がる暇も与えないと地面に拳を叩きつける。
「イラプション!!」
倒れているやつの下から黄金のマグマが噴き上がる。もろに食らったやつは上空に吹き飛んだ。しかし、そこから炎を燃やしこちらへ飛んでくる。
「ハハァッ!!!いいぜいいぜぇ!!」
やつが拳を構えてるのを見て俺も拳を構える。
俺とやつの拳がぶつかり辺りが爆炎に包まれる。俺はすぐに巻き上がる炎と煙を吹き飛ばした。そして、案の定やつも立っていた。
「しぶとい野郎だ」
「しぶとい?この程度でか?俺を見くびりすぎだぜ?」
俺はやつの一瞬の油断を見逃さなかった、瞬時に詰め寄りやつの顔面、いや仮面目掛けエルボーをかます。
「油断したな!その仮面鬱陶しいんだよ!いい加減外しやがれ!」
「くっ!!」
パキィンという音とともに仮面が空を舞う。やっと顔を拝めるぜと俺はあらわになったやつの顔を見る、しかし、その顔を見て気がおかしくなりそうだった…何故ならそれは幾度となく見た顔…いやそんなレベルじゃないだってこの顔は…
「……俺…?」
そう、やつは俺とまったくと言っていいほど同じ顔をしていた。そして、やつがニィと笑う。
「見たな…発花ショウスケ…」
そしてその声にも驚く…仮面の装置で声を変えていたやつの声もまた俺と同じ声をしていた…
「驚きすぎて訳がわからねぇって顔だな…みんな最初はそうさ、俺だってそうだった…これでお前と俺の違いは髪の長さと服装だけになったな…」
やつはケタケタと笑う。
「て…てめぇは一体何者なんだ…!!?」
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ではまた次回でお会いしましょう〜




