第四章 第11話「支部長の力」
斎條レイコ支部長は掲げた右手を握りしめる。
「いいか、私が合図するまで誰一人として来るな」
斎條支部長はそういってただ一人無数の狂化自然の怒りへ歩き出す。
その背中は女性ながらに大きく見えそしてなんて頼り甲斐のある背中だろうと隊員達は思う。
「あれをやるつもりだ、その昔合同訓練で敵味方問わず重力で潰した、“冷酷”という異名が付いた由縁のあれを…」
郷田隊長が支部長の背中を見つめて呟く。
支部長は立ち止まる、そこは1分もすればその大群に潰されてしまうだろうという位置。
「…ここから先に一匹でも行けると思うな」
支部長の右手が光る。
「失った気憶発動…全操作!」
そして、右手を地面につける。
「沈めそして、鎮め」
その瞬間、大群のおおよそ半分いやそれ以上の自然の怒りが潰れる。
断末魔の大合唱、大群は確実にその勢いを落とした。
「すごい…大地へ重力付与することで広範囲に超重力を生み出している…小型中型はそれだけで潰れ消えている…」
「全員出動ーー!!!奴らを殲滅しろーーー!!!」
「オオオオオオオオオォォ!!!」
第3支部による殲滅作戦が始まった。
◇◇◇
第1支部のある街、ウェザポリス
「最初俺がおおかた片付ける、我妻、後はお前がリードしろ」
「はっ!」
雷殿支部長は高台に立つ。
「全員よく聞け!戦場では狂犬が全指揮権を担う!街に小型一匹入れるな!!」
「オオオオオオオオオォォ!!」
「そして、今から戦場は嵐と化す…」
雷殿支部長の周りに風が吹き始める。
「風神!雷神!舞え!嵐!」
雷殿支部長はポーズを取りながら叫ぶ。
「さぁ…ショーの始まりだぁ」
晴れて星の見えていた空に雲がかかりゴロゴロと雷が鳴り始める、強い風が吹き、雨が降る、そしてそれは自然の怒りの大群に集中し始める。
雷が落ち、落ちた雷が地を駆ける。
風はまるで大砲のような勢いで吹きつけ木や岩をも吹き飛ばす。
そして雨は弾丸のような速さで大群を貫いた。
「さぁ!嵐は去った!残党どもを喰い散らせぇ!」
狂犬の異名を持つ我妻の体が変化し始める、四つん這いになり、筋肉は隆起し、大きな牙が生え、棘の付いた尻尾が生える。
「狂化と狂犬どっちが恐ろしいか見せてやれ!」
「グルゥアアアアア!!!」
狂犬は駆ける、目の前の敵を食い千切っていく。自然の怒りを物ともせず戦場は第1支部が圧倒していった。
◇◇◇
第2支部がある街、ノーウェン
「支部長!!あの数の自然の怒りですよ!?一度避難を!」
「うろたえるな九十九、避難の必要はない」
第2支部第1隊隊長の九十九ダイスケは大群へ向かおうとする支部長の来栖カズサを止める。
「何故です!」
「ワシが行くからだ」
「ダメです!!支部長はまだお体が…」
「構わん、街を皆を守るのがワシの仕事じゃ」
「支部長…」
来栖カズサは声を張り上げる。
「皆、準備はできているな!!行くぞぉお!!」
来栖カズサは気術を発動させる。
体は山のように大きくなり、鬼のような顔に紫色の肌、まさに魔神と呼ぶにふさわしい姿だった。
「ぬぅぅうううう…」
魔神は大きく腕を振りかぶり、それを敵の大群へと薙ぎ払った。
一体どれほどの数の自然の怒りが消し飛んだだろうか、それを見た九十九が叫ぶ。
「皆!!支部長の後に続けぇ!!行くぞっ!!!」
その掛け声とともに第2支部の隊員たちは走り出した。
◇◇◇
第4支部屋上
屋上へ1人の隊員が駆け上がってくる。
「支部長!防壁術式の準備が整いました!」
「そうか、はやかったねごくろう」
第4支部支部長、龍田ハヤトはその報告を聞くと街中のスピーカーに繋がるマイクを手に取る。
「我が街、ワイバニクスの皆様。第4支部支部長の龍田ハヤトです。これより街に迫る自然の怒りの大群の掃討にかかります。衝撃対策はしてありますが安全のため屋内への避難をお願い致します。ご安心下さい、確実に奴らを仕留めますので…では。」
そして、通信のチャンネルを隊員のインカムに切り替える。
「防壁術式隊へ告ぐ、この通信の後30秒後に作戦を開始します、気を引きめて下さい。攻撃隊は確実に僕の攻撃が止んでから出動するように…以上」
龍田ハヤトは通信を切ると、空へ手をかざす。
「来いっ!」
その十数秒後暗い空に一段と光る星がいくつも現れる。そしてそれは次第に近づいてくる。
「くらえ、これが“流星”の力だ…メテオ!!」
敵の大群に隕石群が落ちる、次々と自然の怒りが消滅していく、その瞬間防壁術式を展開、街への衝撃波を防ぐ。
そして、攻撃隊の攻撃が始まった。
「この数の狂化自然の怒りを生み出し、操作する…敵ながら素晴らしい技術だ…」
龍田ハヤトは自然の怒りの群れを見下ろしながら不適ともとれる笑みを浮かべた。
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ではまた次回でお会いしましょう〜




