第四章 第10話「ワルプルギスの夜-序-」
俺は歩いていくショウスケを見つめる。
「…あいつ死ぬ気だ…もし自分の力が兄に及ばなくても命をかけて兄を殺すつもりなんだ…」
「で、でも必ず帰るって…」
「ハヅキ…長い付き合いだあいつの嘘ぐらい分かるだろ…?」
「……」
「あいつにだってプライドはある今は見送って必ず後で応援にいく」
「…うん」
「大丈夫☆大丈夫☆」
セリカが空気の読めないテンションで俺の視界に入ってくる。
「お前な…」
「発花くんの方も一応手は打ってあるから大丈夫だって〜、さてさてセリカ達はセリカ達で作戦を立てるよ〜」
とセリカが空中に手をかざすと地図のようなものが浮かび上がった。
「奴らが動くのが明日の夜…奴らの居場所はお姉ちゃんの力を借りて特定するわ、そして各個撃破!それで私たちの勝ちよ!」
「簡単に言うんじゃないよ、そもそもあたしたちが敵うかもわからないのに」
「それに僕たちは5人相手は6人…人が足りないよ」
「あなた達は自分の力を信じなさい!人数は1人ぐらいこぼれても神殿に最強の助っ人を用意するから!大丈夫☆」
「最強の助っ人?」
「そっその名の通りサブサイド最強の男、本部長“神島ムネオ”よ☆」
◇◇◇
翌日夕刻、王都城内謁見の間
「さて、そろそろだな…」
男のかける眼鏡に射し込む夕陽が反射する。
男は立ち上がりニィと笑う。
「さぁ…ワルプルギスの夜の始まりだ…この世界を終わらせる…!!」
「ハハッ!!やっとこの時が来たぜ!」
赤髪の男が手をわなわなと震わせる。
「あぁ…待たせたな、行ってこい」
「狩りの時間ダァ…!」
2人の男は歩き出した…絶望の炎をたなびかせながら…
◇◇◇
1時間後、サブサイド第3支部司令室
けたたましく鳴り響く警報音
「司令長!!見てください!!」
「何…これ…」
北潟司令長はその最悪な光景に目を見開く。
映像に映し出される無数の自然の怒り、大小数千体はくだらないほどの自然の怒りが街へ押し寄せようとしていた。
「カスミ!!」
斎條支部長が司令室に入ってくる。
「レイコちゃん!これは…」
「これが…ワルプルギスの夜か…!」
「しかもこの波形、あれ全てが狂化自然の怒り!人工のバケモノよ」
「今回ばかりはセリカの言う通りにしておいてよかったと言うことか…!」
◆◆◆
ー昨日ー
「やぁレイコちゃん♡」
「急に現れるな鬱陶しい」
支部長室に突如現れたセリカ。
「レイコちゃんさぁ明日魔導士を倒すのに加勢しに来るつもりでしょ」
「それがどうした」
「ダメなんだよ〜レイコちゃんにはここにいてもらわないと〜」
「何故だ」
「ワルプルギスの夜がくる…明日ここにいれば分かるよ…」
斎條レイコはセリカを睨む。
「じゃっ!よろしく!☆」
◆◆◆
「司令長!!別の最前線の支部からも連絡が!」
「何!?」
「他の支部がある街にも同様に無数の狂化自然の怒りが出現していると…」
「そんな…バカな…」
「カスミ!街の民への避難誘導、そして第3支部にいる隊員全員出動させろ!」
「レイコちゃんは!?」
「やむを得ん!わたしも出る!」
斎條支部長はそう言いながら司令室を後にした。
「…っ!もしもし!聞こえますか!こちら第3支部!今すぐ街の人に避難指示を!」
◇◇◇
街を出たすぐの丘に並び立つ第3支部の面々。
「お姉ちゃん…」
「なんて数だ…ナナミ準備は出来てるな?」
「うん」
支部長の端末に着信が入る。
「斎條だ」
「レイコか?」
「…雷殿か、なんだこんな時に」
「そっちもやべぇらしいじゃあねぇか、援軍を送ろうか?」
「侮るな、そんなことのために連絡を寄越したのか?」
「今のは冗談だ、今最前線の支部にバカみてえな数の狂化自然の怒りが押し寄せてるのはご覧の通りだが、前線、それ以降の支部にも多少なり現れているらしい、さっさと片付けちまわねぇと相当な被害になる、前線以降の支部にも連絡を入れて援軍を頼みたい」
「了解だ。なんだたまにはまともな事を言うじゃないか」
「バカ言え、俺は仮にも第1支部の支部長、“天才”の雷殿リョウだぜ?」
「“天災”だろうがバカが…直に作戦を開始する切るぞ」
「あぁ健闘を祈る」
通話はそこで終わった。
そして、斎條支部長は目を見開く。
「全隊員に告ぐ!奴らを一匹たりとも街へ入れるな!確実に殲滅しろ!全力を尽くせ!そして、決して死ぬな!作戦終了後もう一度ここに全員戻るように!」
オオオオオオオォ!!と力強い声が空に響く。
「まずはわたしが先陣を切る…行くぞ」
支部長は一歩前に踏み出し右手を大きく掲げた。
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ではまた次回でお会いしましょう〜




