第四章 第9話「ショウスケの戦い」
ー9年前、発花家・庭
「イツキ!俺と勝負だっ!」
「何度言ったらわかる、お前じゃ勝てないよショウスケ」
イツキはいつもの調子で俺を相手にしない。
「勝つ負けるじゃねぇんだ!魔法を使える兄貴と戦ってみたいんだって」
その瞬間、俺の顔の横を何かが通過する。後ろを振り返ると草が燃えていた。
「今のが見えたか?見えなかったのなら僕の勝ちで勝負は終わりだ」
イツキのいつもの終わらせ方だ、だが今日は違う。
「問答無用!!戦いたくなくても戦わなきゃいけない時があるんだぜ!イツキ!」
俺は拳に炎を纏わせイツキへ飛びかかった。
しかし、俺の拳はイツキに到達することはなく代わりにイツキのつま先が俺のこめかみに刺さっていた。目の前が歪む。
「…僕の勝ちだ、ショウスケ」
「くっ…そぉ」
「戦いたくなくても戦わなきゃいけない時があるか…たまにはいい事言うじゃないか」
「なに…言って…」
俺はそのまま気絶し次に目を覚ました時には赤い空に黒い雲がかかっていた。
「…そういえばミサキの宿題を見てやる約束してたなぁ怒ってるかな」
ボケーッと空を見上げているとある異変に気付き飛び起きる。
そして予想通りの事が起こっているのを目にした。
「家がっ!!!」
そう家が燃えていたのだ、空にかかった黒い雲はここから出ていた煙だった…俺は家の中へ飛び込んだ。
「母さん!父さん!ミサキ!イツキ!」
家族の名を呼ぶ…しかし家の燃える音だけが返ってくる。玄関からリビングへの扉を蹴破った。
「っ!イツキ!大丈夫か!?」
そこにいたのはイツキだった。イツキはゆっくりとこちらを見ると近づいてきて俺の胸ぐらを掴む。
「なっ!なにして…」
「…残念だがお前は殺せない」
「っ!?」
イツキはそう言って俺を窓から家の外へ放り投げた。木に激突した俺はまた気を失った…
◇◇◇
次に目が覚めたのは病院だった。
父母共に死亡、妹のミサキは両親のおかげで死は免れたが助かるかどうか分からないと聞かされた…
父も母も炎の気術を使うのに逃げられなかったのはイツキの魔力の炎だったからだろう…しかもイツキは強い、父よりも強かったはずだ…誰もあいつを止められなかった…
俺は絶望した、そして同時にイツキへの殺意が湧きだしていた。
それでも残った妹を助けようと代償術式を試みるがそもそも禁忌とされている上に子供時分では不可能だった…
後に妹も死亡、残ったのは兄への復讐心、殺意だけだった…
◆◆◆
「そして、俺は魔法を使う兄を越えるためにヒロト達と一緒にサブサイドへ来た…これが俺の戦いの始まりだ…」
俺たちはショウスケの話をしっかりと聞いていた。
「それで、その兄が敵にいると」
「あぁ、今はソレイユと名乗っていた」
「じゃああの合同訓練の時見させられてた幻ってそのお兄さんだったってこと?」
「あぁ、そうだよダイチ…幻じゃあいい勝負してたんだけどな」
5人の間に少しの沈黙が流れる。それを破ったのはハヅキだった。
「1人で行くの?」
「あぁこれは俺の家族の問題だからな…ごめんな、ハヅキとヒロトはずっと一緒だったのに黙ってて…事が事だったからさ…」
「それは…いいんだけど…」
「みんなありがとうな…俺はそろそろ行くぜ」
ショウスケは歩き始める。
「復讐は憎しみしか生まないよ…それでもいいの?あたしは止める気でいるよ」
「そうだな、今まではそうだったでも今は世界を守るって意味もできた…それを言い訳にしていくぜ俺は」
ショウスケがみんなの横を通り過ぎようとする、だが俺は気づいた時にはショウスケの胸ぐらを掴んでいた。
「っ!なんだよヒr…んぐっ!?」
「「「え!?」」」
俺はショウスケが言葉を言い切る前にショウスケの顔面をぶん殴った。ショウスケは数m吹っ飛ぶ。
「いっつ!何しやがる!!」
「痛いか?悔しいか?殴り返してぇか?なぁ?…だったら生きて帰って殴り返しに来いっ!!!」
「…!」
「お前が兄貴を殺そうが何しようがもう邪魔もしねぇ聞きもしねぇ…けどな、お前が死ぬことは許さねぇぞ!!これは隊長としてじゃない、友として!死んだらお前を許さねぇ!!!」
「ヒロト…」
ショウスケは立ち上がり俺に近づいてくる。そして、拳をぐっと握ったかと思うと俺の胸にトンッと当てた。
「せいぜい俺のパンチを受ける練習をしとくんだな」
俺はニッと笑い拳をショウスケの胸に当てる。
「お前のクソ雑魚パンチを受けるのに練習なんかいるかよ」
ショウスケもニッと笑いそして、俺に背を向け歩き出した。
「必ず帰る…!」
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ではまた次回でお会いしましょう〜




