第四章 第8話「1ヶ月後」
「よっと!」
聖域のゲートの前、1人の青年が突如現れた。
「あれ、僕が一番乗りか〜今日で1ヶ月のはずだけど…」
「大丈夫よ、今日であんた達がここに入って1ヶ月よ」
聖域に入ってきたのは預言者セリカだった。
「それにしても少しびっくりしたわ、急に現れるんだもん」
「ここに避雷針を刺しておいたんだ、残っててよかったよ」
速坂ダイチは手の中に針を戻す。
「さて、他の子たちは生きてるかしら」
「僕が生きてたんだから大丈夫だよ…きっと…」
ダイチが少し不安そうに振り返ったその時遠くの方から衝撃音が響いてきた。
「少なくとも1人はこっちに来てるみたいね、余計なのを連れてっ」
少しすると幻獣に追われている青い髪の女性の姿が見えた。
「あっ麗未さんだ!」
麗未アオイがカエル型の幻獣に追われながらこちらへ走って来ていた。
「もう!こいつ!どこまでついてくんの!…ってもうゲートじゃん!ったく…」
アオイは立ち止まり腰にぶら下げている瓶の蓋を開ける。
「失った気憶解放!いくよ!リヴァイア!“青龍の鎧”!」
アオイは瞬時にリヴァイアを纏い、三叉の槍を手にする。
「しつこいのよ!こんのクソ蛙がぁあ!!」
アオイは振り返りながら槍を幻獣目掛けて放った。物凄い勢いで幻獣に突き刺さる。
「ゲェエエエエエエ!!」
「弾けな!!!」
突き出した手をグッと握ると刺さった槍から大量の水が弾ける。そして幻獣も弾け飛び気力と魔力の粒子となって消えた。
「麗未さーーん!」
「あっダイチじゃん早いねぇ」
「久しぶり麗未さん、1ヶ月どうだった?」
「んー、少し寂しいかなと思ったけどリヴァイアがいたから割と平気だったな!」
その時声が聞こえる。
「おーーーーい!」
「「ん?」」
2人は辺りを見渡す。
「あっ!いた!ハヅキだ!ハヅキ〜!」
「アオイちゃ〜ん!」
アオイとハヅキは走り寄っていき抱き合う。
「寂しかったよぉ〜」
「あたしもだよ〜」
「今さっき寂しくなかったって言ってたような…」
ダイチはアオイを見て呆れる。
「速坂くん久しぶり!」
「久しぶりだね、光丘さん」
「さて、後は問題児2人だね」
3人に一抹の不安が漂う。
ふと、預言者セリカが上を向いてポツリと呟く。
「…うそ」
「「「え?」」」
3人も上を見上げた瞬間、空から巨大な何かが降ってきた。それは大きな音とともに地面に叩きつけられる。
「んなっなにこれ!?」
アオイが驚きの声を上げる。
「幻獣…みたいだね」
そんな中土煙の中から声が聞こえる。
「あー痛ぇなこいつ、急に落ちやがって」
その声は3人が聞き覚えのある声だった。
「月永くん!」
「よっ!久しぶりーつっても1ヶ月だけどな」
「月永くん…それは?」
ダイチがヒロトの背後で倒れているとても太い竜のような幻獣を指差す。
「あぁこいつな、案の定迷ってよ空からゲート探してたらこいつがぶつかって来たから返り討ちにしてやってたら、浮き袋か何かを刺したみたいで急に落っこちたんだ」
「ほんとだね、いろんなとこに切り傷とか刺し傷がある…」
「急に落ちるもんだからビックリしてこいつを掴んだまま一緒に落ちて来たって訳だな」
「ブ…ブモ…」
ヒロトの背後でその幻獣がゆっくりと起き上がる。どうやらまともに立たないらしくほぼ寝ているような姿勢だが…
「まだやるか?」
「ブモァアアアアアア!!!」
うるさい咆哮をあげる。そして、浮き袋が治ったのか突如飛び上がる。一気に遥か上空へ上がっていく。
「逃がすかよ…影武装」
ヒロトの手が影で黒く染まっていく。そして、一振りの刀を造り出した。
「てめぇにはこれくらいで十分だな」
ヒロトは幻獣に狙いを定め、刀を持ち大きく振りかぶる。
ぶんっという音と共に放たれた刀は真っ直ぐに幻獣へ飛んでいく。ヒロトはすでに影武装を解いていた。
「いっちょあがり」
到達した刀は幻獣の顎に突き刺さり頭を貫いた。断末魔のような声が響いて来たかと思うと幻獣は落下を始める、しかしその体は地面に落ちることなく粒子となって消えた。
「なんだ今の?ブタか?」
上を見上げていた4人は声のした方へ視線を落とす。
「…ショウスケ」
「よぉ…」
5人の間に沈黙が訪れる。
それを破ったのは意外にもショウスケだった。
「いや、その悪かったな…俺も熱くなりすぎてた…少し頭冷えたよ……すまなかった!」
ショウスケは頭を下げる。
それを見たヒロト達は笑みをこぼす。
「発花くんが突っ走ってっちゃうのなんていつものことでしょ?」
「らしくねぇな、お前は熱いままでいいんだよ…説明はしてもらうけどな」
「ありがとう…ここまで来たんだみんなに話すよ…俺の戦いの始まりを…」
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ではまた次回でお会いしましょう〜




