第四章 第7話「デス」
「ふぅ…これでいいか…」
俺は全ての管へ気力を供給し始めた。
たばこに火を点ける、止めると言ったそのたった3日後には新しいたばこがポケットに入っていた。そもそも、能力が煙なんだたばことは切っても切れない関係なんだよな…ぼーっとする頭の中適当なことを考えながら弟を待つ。
「ここから第3支部までの往復、ぶっとばせば約2時間ぐらいか…死にゃあしねぇだろうが早く来てくれねぇとぶっ倒れるぜ…」
どれくらい経っただろうか、俺は新しいたばこに火を点け、フーッと暗い天井に白い煙を吐く。
その時、カツーンカツーンと階段を降りてくる音が聞こえた。
「…チッリクじゃねぇみてぇだな…」
そう、階段を降りてきたのは弟のリクではなく、黒い修道服を着た女だった。
「てめぇがシスター・シオリか?」
「魔障壁が破られたと思って来てみればとんだド腐れがいたものデスね」
「アヤカちゃんとここの子ども達の魂返して貰うぜ、シスター…」
シスターはこちらを睨む。
「シスターシスターと五月蝿いデスね…私の名は“デス”。シオリという名は以前ここにいた女のものデスわ」
「てめぇもデスデスデスデスうるせぇな!そんなに死にたきゃここで殺してやるよ…!」
「残念ながら死ぬのは…あなたデス」
「火煙r…っ!」
失った気憶を発動させようとした瞬間、目眩に襲われる。気力が残っていなかったのだ…
「当たり前デスね」
デスは俺へ手をかざす、抵抗しようとするがそこで俺の意識は途絶えた…
「なんと醜い魂…」
そう言った後デスはリョウスケの心臓目掛け魔弾を撃つ…その魔弾は心臓を貫いた…
「体の命が途絶えた魂は…」
デスの手の上で浮かんでいた魂が黒く染まる。
「霊魂となる…」
デスはリョウスケだったものを一瞥すると階段の方へ歩き始める。
「あなたの魂はただでさえ醜い霊魂になってもやはり醜いデスね…どうか安寧なる“死”を…」
そう言って握り潰された霊魂はパスンッと虚しく音を立てて消え去った…火龍と呼ばれた男のあまりにあっけのない死だった…
「状況を見る限りお仲間さんがこの子達を保護しに来るのでしょう……そうさせておきましょうか、その方が安全かもしれませんわ」
デスは教会を出る。
「もうこんな時間デスか…」
人1人を殺した後とは思えない表情でそう呟いた後空を見上げたかと思うと一瞬にして消えた。
◇◇◇
「兄貴ーーー!!!」
安堂リクは階段を駆け下りる。
「みんなを連れて…き…」
リクは言葉を失う…そこには血を流し座ったまま動かないリョウスケがいた…
「兄貴…?おい…!!おい!兄貴!!!」
そして近付いて気付く、心臓を撃ち抜かれている事に、そしてそれが何を意味するかを理解する…
「嘘………だろ………」
リクはその場に崩れ落ちる。落ちた涙がタイルの隙間をツーと流れていく。
「あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
遅れて救護班と第2隊の篠森ユキと長内ジュンイチ、そして預言者セリカが地下へ降りてくる。
「どうしたの!?リク!!……っ!!!!」
「リ…リョウスケさん…っ!」
「魔導士にやられたみたいね…」
リクはセリカをキッと睨み胸ぐらを掴む。
「おい!魔導士の居場所を教えろ!俺が殺す!!」
「あのねぇ、一人一人がどこにいるかなんて分からないし居たとしても王都よ。行けば袋叩きに合う」
「しるかっ!!黙ってられるわけねぇだろうが!!」
「リク!!」
篠森ユキがリクの肩を掴む
「なんだよ!ユキ!」
その時リクの頰に痛みが走り、パァンという音が響く。
「なにす…」
ユキの輪郭を一粒の涙がなぞる。
「リク…落ち着いて、今は復讐とかそんなのいいから…リョウスケさんを…」
ユキはうつむき震える声でリクへ言う。
「ユキ……あぁ…」
そうして、安堂リョウスケの遺体は第3支部へ運ばれ葬儀が行われた…
数日後ー
安堂リクは兄、リョウスケの墓の前にいた。
「兄貴、仇は絶対俺が取るからな…アヤカちゃんの魂も子ども達の魂も俺が取り戻す…見ててくれ」
そう言って、リクはたばこ2本に火を点け、1本を咥える。
「ゲホッ…チッ不味いなチクショウ」
そして、もう1本を墓に置く。
フーッと空に白い息を吐く。
「兄貴、こんな不味いもん吸ってたのかよバカじゃねぇの」
リクは笑う、そうしてゆっくりと墓を背にして歩き出す、振り返ったその顔は確実に何かを決意した顔だった。
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ではまた次回でお会いしましょう〜




