第四章 第6話「教会の影」
相馬アヤカが目を覚まさなくなって数日、様々な医者や気術士が診察を行なったが原因が分からなかった。
そこへ、預言者セリカが訪れた。
「この子…魂を抜かれてるわ…」
「魂…?」
斎條ナナミは訳がわからないという様子で聞き返す。
「魂が抜かれている、それ以上の説明のしようがないわ。体は死んではいないけど魂が無いの、つまり抜け殻状態ね…そして、気術では魂を操ることはできても抜き取るだなんて所業は成せない」
「それってつまり」
その場にいた全員が察する。
「あのシスターが七色の魔導士の1人だったってことね…迂闊だったわ恐らく魔力を何かで隠してたのねセリカがあそこまで近づいて気付かなかったんだもの…」
「確かに…気配も全く掴めなかった…」
「レイコちゃん、この子の体が死なないようにしてあげて」
「…あぁ、教会にも人を…」
「ダメよ!まともに勝てる相手じゃないわ」
「調査に行かせるだけだ、相手もずっとあの教会に居座ってはいないだろう」
「…私は止めたわよ」
そして、すぐさまシスター・シオリのもとへ第3支部から安堂兄弟が送られた。
「案の定いねぇな」
「やっぱ逃げてるか」
「いや敵は魔導士だ、ただ逃げた訳じゃないだろうぜ」
2人は警戒しながら教会をくまなく調べる。
「しかし、ここ孤児院も兼ねてるんだろ?なんで子どもがいねぇんだ」
「その前にこんなとこでたばこ吸うなよ兄貴」
その時弟のリクが本棚の本をひとつ手に取るとカチッと音がした。
「ん?」
「おい!リク!なんかここが開いたぞ!」
見ると教会の紋様が描かれた床が開いていた。
「地下か…」
「気を付けろよ兄貴」
階段を降りると2人の前に想像を絶する光景が待っていた。
「なんだ…こりゃ…」
思わず口からたばこを落とす兄リョウスケ。
「子どもか…?」
そこには何かの装置が繋がったベッドがいくつも並んでおりそのほぼ全てに子ども達が眠っていた。
「まさか、こいつら全員魂を…リク!すぐに支部へ連絡だ、全員保護する!」
「了解!車に戻っあだっ!!」
「どうした!」
リクは階段の手前で尻餅をついていた。
「壁が…ある…」
「壁だぁ?」
2人は階段の方へ手を伸ばすと確かにそこには見えない壁が存在していた。
「これは…魔障壁か…それも、部屋全体に!」
「魔障壁?」
「そのまんまだよ、魔力で作られた壁…そう簡単には壊せないぜ」
「マジかよ…罠にかかっちまったのか!」
「いや、元々そういう物なんだろうぜ子ども達をここに閉じ込めるために…下がってろリク、失った気憶でぶち破る」
そう言うとリョウスケは失った気憶を発動させる。
「火煙龍!」
リョウスケは煙の鱗を纏った拳を魔障壁へ放つ。
「フルバーストッ!!」
腕の全ての鱗がガッと開き火花を上げる。
「ぐっ…」
「兄貴のフルバーストですら壊せないのか…」
「おぉらおらおらおらぁ!!」
リョウスケは魔障壁の一点へ拳を連打する。
拳と壁がぶつかる衝撃音が響き渡り、ぶつかるたび拳に炎がチラつく。
「これでどぉだぁ!!」
大きく振りかぶり放たれた一撃はなんと魔障壁に綻びをもたらした。
「ヒビが!」
「入ったぞ…!」
その時だった、部屋の奥でピーピーと音が鳴る。
「あ?」
「なんだ?」
2人は同時に振り返る。
恐る恐る近付くと何かの装置がその音を立てていた。
「これは…」
よく見ると全ての子どもの入っている装置と繋がっていた。
「兄貴、まさかこれって」
「魔障壁と連動してやがるのか…」
どうやら魔障壁を壊すとこの装置も止まる仕組みになっているようだった。
「どうするんだ兄貴、このままじゃ俺たち出れないぜ」
「いや、魔障壁は破る」
「え!?」
「この繋がっている管で魔力を流してるみたいだ、魔障壁を破った後俺が代わりに気力を子ども達の装置へ供給する」
「そんな!いくら兄貴でも気力量が足りるかどうか!」
「うるせぇ!子ども達の命がかかってんだぞ!子ども達を保護して魔導士も倒す!いいな!」
「くっ…!」
リョウスケは魔障壁のヒビが入ったところの前へ立つ。
「リク、お前の焔剣をそこに突き立てろ後は俺がやる…壁が壊れたらすぐに第3支部へ戻って救護班を呼んで来い…いいな」
「…あぁ」
リクは焔剣をヒビへ突き刺した。
「オラァ!!!!」
リョウスケが肢の部分を殴ると剣が壁を貫いた、そこから魔障壁が消えていく。そして、それと同時に装置から警報音が鳴り響く。
「行け!リク!」
リクは走り出した。教会を出て車に乗り第3支部へ戻る。救護班とともにまた教会へと向かうが…その数分前に黒い影が教会を訪れていた…
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ではまた次回でお会いしましょう〜




