第四章 第5話「教会」
ーヒロト達が聖域へ向かった後、第3支部ー
「ナナミ〜」
「ん?どうしたの?アヤカちゃん」
廊下で相馬アヤカに後ろから呼び止められる斎條ナナミ。
「付いてきて欲しいところがあるんだけど」
「どこかなー?」
「ぼくのおうち」
相馬アヤカは自分を指差して言う。
「ってことはあの教会にってこと?」
教会、相馬アヤカが数年前第3支部に来るまでいた孤児院も兼ねている教会だ。
「うん、あのね今度シスターが誕生日なの」
「お祝いに行きたいの?」
「そう!去年行けなかったから」
「わかった。でも司令長に聞いてからになっちゃうけどいい?」
「うん!」
◇◇◇
「おっきいね〜」
私とアヤカちゃんは南大教会の前にいた。
「ナナミ、ありがとね」
「ううん、司令長も行ってくださいって言ってたし」
司令長にこの事を話すと「行ってあげてください!責任は私が持ちます!」と言ってくれたがそんな大事ではない気がするんだけど
てくてくとアヤカちゃんが教会の中へ入っていく。それに私も着いていく、その背中を見ながら、こんなに小さいのに第一級付与術を使えるなんてと今更ながらに思う。
もともと孤児院にいたアヤカちゃんは聖地ウルファルスで気術に目覚めた後、サブサイドにすぐにその才能とその危険性を危惧され引き取られた、目覚めたすぐから失った気憶を使えるタイプかと思われたがそうではなく稀にいる天才として今第3支部第2隊で活躍している。
「シスター!」
「あら、アヤカちゃん!」
アヤカちゃんが駆け寄っていく。
「来てくれたの?」
「うん!」
「初めまして、シスター・シオリ」
「あら、あなたはサブサイドの副司令長さん…だったかしら?」
私のことを知っていたことに少し驚く。
「よくご存知ですね」
「一応ここも第3支部の管轄ですから上の方々の名前くらいは把握しておりますわ」
シスターはふふっと微笑む。
「シスター行こっ」
アヤカちゃんがシスターを引っ張り奥の部屋へ入っていった、私もついていこうとした時女の子が1人教会へ入ってきた。
そのゴスロリ風の服装の女の子は私に会釈したあとそのまま奥の部屋へ入っていった
「あの子もここの出身なのかしら」
奥の部屋へ入ると、多くの子ども達にシスターが囲まれていた。その傍らに先ほどの女の子も立っていた。
「君はみんなと一緒にいないの?」
女の子はムッとしてこちらを睨む。
「あんた失礼ね!私はそんな歳じゃないしここの出身でもないわ!」
「え…あっごめんなさい…」
「わかればいいのよ」
「じゃああなたは?」
「…私は不動院リサ、ここの維持を任されている不動院財閥の社長の娘よ。私の母親がここの出身でね…時たまここに来て様子を見に来るの。あぁ、後サブサイド第2支部の隊員」
「え!サブサイドの人だったの!私もサブサイド第3支部の副司令長を任されてます」
「ショウスケ様のとこの副司れっ…」
彼女は少し驚いた後「そっそう…」と言って黙ってしまった。
「シスター!ケーキ食べよ!ケーキ!」
「あらあら」
子ども達はシスターを囲んでわいわいと楽しんでいる。
「ほっこりしますね〜」
「…そうね」
そんな中一瞬何かの気配を感じる。不動院さんの方を見ると彼女の目の前に預言者セリカがいた。
「どうも☆不動院リサちゃん♡」
「あんたは…!」
「少し話があるの、いいかしら?」
セリカはこちらをチラリと見て「ナナミちゃんもついて来ていいよ〜」と手をこまねく、言われるまま私たちはその部屋を出た。
「………」
「どうしたの?シスター?」
「いいえ、なんでもないですよ」
「ケーキ持ってくるね!」
「はい」
◇◇◇
「何?私に何か用かしら?」
不動院さんがセリカに質問する。
「単刀直入に言うと〜あんた強くなりたくない?」
「は?」
「あんたの愛しの発花ショウスケくん…あのまま行くと死んじゃうかもしんないのよね〜」
「ショウスケ様は簡単に死ぬような人じゃないわ、勝手なこと言わないで」
「それほど大きな敵を相手にしようとしてるってことよ、どうかしらあんたにも1ヶ月修行に出てもらいたいんだけど」
私は思わず2人の間に入る。
「ダメよ、それはそもそも第3支部が請け負った任務のはず他の支部を巻き込むのはいけないんじゃない?」
「確かにそうねナナミちゃん、でもこれはサブサイドの問題じゃないの、この世界の問題なのよ支部がどうとか関係ないわ」
言い返せなかった…
その時不動院さんが私の前に出る。
「行くわ」
「不動院さん!?」
「要はショウスケ様を私が守ればいいんでしょ、行かない理由はないわ」
「相手は魔導士なのよ!?」
「相手が誰であってもショウスケ様のためなら関係ないわ」
この子…本気…?
「OK〜じゃっあんたんとこの支部長には話通しておくかられっつご〜!」
目の前から2人が消えた…
「おや、先ほどのお2人はどこへ?」
背後から声がする。全く気配の無いところからした声に驚きながら振り返る。
「シ…シスター」
その眼は黒く淀んでいるように見えた…
「2人は用事があると…」
「そうですか、私もこの後支度がありますのでアヤカちゃんとお帰りになってください…」
「は、はい」
不気味な雰囲気を感じながらシスターの横を通り奥の部屋へ向かう。
私が奥の部屋に入るとアヤカちゃんは眠っていた。
「疲れて眠ってしまったようです。帰りの手配をしましょうか」
背後。また、気配を感じなかった…
「いえ、アヤカちゃんは軽いので抱いて帰ります」
「そうですか、では」
私はシスターの異様な気配に逃げるようにアヤカちゃんを抱いて教会を出た…
そして、ただ眠っているだけのように見えたアヤカちゃんはその日から目を…覚まさくなった…
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ではまた次回でお会いしましょう〜




