第四章 第2話「選出」
月永くんと発花くんは一気に近づきお互いが拳を放とうとしたその瞬間、2人の体が沈む。
「「うぐっ!?」」
「何をしている」
扉の前に斎條支部長が腕を組みこちらを睨んでいた。
「支部長!何すんだ!いいとこだったのにぃぃ…」
発花くんの体が更に沈む。
「んぎゅっ!べ、別にいいだろ勝負ぐらい…」
「勝負していたことを言っているのではない、今、お前たちどれほどの力でぶつかろうとした?ん?あのままぶつかれば確実にこの訓練所は吹き飛んでいたぞ」
月永くんと発花くんは何も言えない。
「まあいい、片付けを済ませて全員会議室へ集合だ、いいな」
「「はいぃい…」」
月永くんと発花くんは力なく返事をした。
◇◇◇
「まただ!また邪魔が入った!」
発花くんは眉間にしわを寄せドカドカと歩く。
「静かに歩けよ、鬱陶しい」
「ヒロトは何も思わねぇのか!?」
「まぁ邪魔されたのはあれだが、実際支部長の言う通りだったろ」
「くそ〜今日は勝てたのになっ!」
「あ?勝てただぁ?何言ってんだ」
月永くんと発花くんが睨み合う。
「ほら、もう会議室だよちゃんとして?」
私はなだめながら2人の背中を叩く。
「今度、ぜってぇ決着をつけるからな」
「あぁ、二度と勝てるなんて言えねぇようにしてやる」
「もう…2人とも行くよ?」
速坂くんが前に出て扉を開く。
「ほんと困った2人だね〜片方は一応隊長なのに」
アオイちゃんも呆れながら会議室に入って行いった。
◇◇◇
ショウスケと睨み合いながら会議室に入る。
しかし、その会議室の雰囲気に全員が息を呑む…広い会議室になんとサブサイド第3支部の隊員全員が集結していた。
「これで全員だな」
一番奥に座る支部長が立ち上がる。
「この状況を見ればおおごとなのは分かるだろう、まずはこの人の話を聞いてくれ」
そういうと影から見たことのある人物が現れた。
「ここにいるだいたいの人ははじめましてかな…私はサブサイド第5支部支部長のメビウスだ」
「…メビウス」
「これから、サブサイド最前線の勢力を使ったとある作戦の説明をしようと思う」
全員がメビウスに注目する。
「その作戦は“王都反逆作戦”だ」
その言葉に会議室がざわめく。
そして、第2隊の長内隊長が立ち上がる。
「支部長、お言葉ですがこの者の意図がわかりません。そもそもこの男は王都の人間、その男が王都反逆?罠としか捉えることができませんが」
「気持ちは分かる、だがそれは最後まで聞いてからにしろ長内」
長内隊長は少し不服そうにまた席に着く。
「みなが第5支部を疑いに掛かっていた事は知っているだが、信じて欲しい…第5支部は王都へ反逆するために…いや、王都を取り返すために作った支部だ」
「王都を取り返す…?」
「そうだ、王都は今乗っ取られている…6人の魔導士によって」
6人の…魔導士…その時、ショウスケの表情が強張った気がした。
「その魔導士達は私を含めて“七色の魔導士”と呼ばれている。私は奴らを倒すためにサブサイドへ来たのだ。そのために神島本部長へ頼み込み第5支部であらゆる事をやってきた信用してもらうために」
そこから支部長が話し始める。
「王都へ反逆するということは世界への反逆と同じ、それをサブサイドが大々的にやるわけにもいかない、最初は少数での作戦になる。そして、そのメンバーをここで選出する」
会議室がざわつく。その中で郷田隊長が立ち上がる。
「支部長、なぜ第3支部からなのですか。他の支部は」
支部長は一瞬こちらを見たかと思うと郷田隊長をまっすぐ見据え言う。
「合同訓練で優勝したからだ」
「なっ…!?」
「もういいか、選出に入る」
郷田隊長はゆっくりと席に着く。
「まずは自ら名乗りを上げるやつはいるか」
支部長がそう言った瞬間、横にいたショウスケが立ち上がる。
「俺が行く」
俺は思わず「え…?」と言葉が漏れる。
「そうか、いいだろう発花」
「あぁ」
「お前…なんで」
「俺は行かなくちゃならない」
ショウスケは視線を前に向けたまま静かに言い放った。
俺が困惑していると、また1人立ち上がる。
「じゃあ、俺もいくぜ。弟子が行くんだからなぁ」
そう言って立ち上がったのは安堂リョウスケさんだった。
「安堂だn」「ちょっと待ったーー!!」
支部長の言葉を遮りながら突如会議室の机の上の何もない空間に少女が現れる。
少女は肩で息をしながら「間に合った〜」と笑う。
「…セリカ貴様殺されたいのか」
支部長の鬼のような形相を物ともせず、預言者セリカは支部長達をキッと見つめる。
「メビウス!レイコちゃん!そのメンバー、セリカに選ばせて!」
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1ヶ月以上空けての投稿となり申し訳ないです。
ではまた次回でお会いしましょう〜




