第四章 第1話「影vs炎」
ーサブサイド第3支部第1訓練場ー
「さてさて今日がやってきたなぁヒロト」
ニヤニヤしながら指を鳴らすショウスケ。
「なんでそんなご機嫌なんだ」
勝負しようと言ってからショウスケは安堂リョウスケさんに弟子入りし今ではリョウスケさんをアニキと呼ぶほど慕っている。
「今までヒロトとはいっつも引き分けか邪魔が入ってたからなぁここで決着をつけるぜ!」
そう、俺とショウスケの勝負は昔から幾度か行われていて毎回誰かに止められるか決着がつかず引き分けになっていた。
「ルールは簡単!どっちかが動かなくなるか降参するかだ!それ以外は失った気憶だろうがなんだろうが何でもありだ!」
「オーケー、分かった」
失った気憶なんて使ったらこの建物保たないんじゃないかと少し思いながらも俺は構える。
「よぉし!じゃあダイチ頼むぜ!」
「う、うん…じゃあいくよ?レディ…ファイト!」
◇◇◇
速坂くんの合図と同時に2人は地を蹴った。
2人の拳がお互いの頬を捉え命中する。
「「ぐっ…」」
それが挨拶だと言わんばかりに2人はニッと笑い、瞬時に次の行動へ移る。
「機械籠手・剛迅!」
「モード・花火」
月永くんは両腕に機械籠手を、発花くんはモードを変え体から火花を散らしてる。
「なんだそれ?」
「修行で身につけた新モードだ!俺は日々進化してるんだよ!というかヒロトのそれも見たことないぞ!」
「闘えば分かるさ」
「いくぜぇ…」
発花くんが火花を残し消える、私が追いかけた頃にはもう月永くんに攻撃を仕掛けていた。
右ストレート、左の蹴り、さらに右脚の蹴り上げ、さらにさらにと月永くんへ攻撃を乱打していく、目で追うのがやっとの速さで…
けど、月永くんはそれに全て対応していく、がその乱撃に一瞬月永くんが怯んだ。
「くっ!」
「もらったぁ!」
発花くんはひときわ大きな炎を出しながら月永くんへ拳を放つ。
月永くんは防御は間に合ったものの中央から壁近くまで吹っ飛ばされる。
「惜しい!」
「ふぅ〜危ねぇ」
発花くんは少し不機嫌な顔をする。
「しかし、なんでついてこれるんだ俺割と速くなった自信あるのにな」
「進化してるのはお前だけじゃないんだよ」
「さては、その機械籠手相当軽いな?前まではvs機械籠手の時は俺の方が速かったのに」
「軽い…とは少し違うかな、軽いなら今の攻撃受けてこの程度じゃすまねぇよ…それに…」
と機械籠手で地面に触れたかと思うと、今度は月永くんが消える。
「これぐらい速くできる」
「んなっ!」
先程の発花くんよりも速いスピードで間合いを詰め、拳を放つ。発花くんはそれを防ぐが月永くんと同じように壁際まで吹っ飛ばされる。
「危ねーってかそれだけ速く動けてこの一撃の重さ…」
「おいおい、喋ってる暇ねえぜ?」
月永くんがさらに追い討ちをかける。そこから2人の激しい攻防が始まった。片方が攻撃を防げば片方も防ぐ、片方が攻撃を当てればもう片方も攻撃を当てる…
今まで2人の喧嘩は何度か見たけどここまでちゃんと闘ってるのは初めて見たかも…
「このままじゃあらちがあかねぇ!」
「そろそろ決着つけるぜ!」
2人して間合いを取る、そして
「「失った気憶解放!!」」
ブワッと空気が震える。発花くんは黄金の炎を纏う、ここまで熱が伝わってくる。月永くんは一見見た目は変わってないが機械籠手から影が炎のように揺らめいている、そういえば影武装の機械籠手は初めて見た気がする。
「機械籠手・剛迅【極】」
「モード・炎帝」
すると、横で見ていたリョウスケさんが言葉を漏らす。
「ふむ…やはりまだ失った気憶での制御はできないか…」
「制御ですか?」
「ああ、さっきの花火ってモードみたいに炎を体の中で燃やして必要な時だけ使うって技術なんだが、まだ花火ですら未完成な状態であれだけの力だ、まだ扱えきれてないんだろう」
さっきのモード・花火の時の火花はまだ未完成だから内側の炎が漏れ出てたんだ、でもあれで未完成って…私、なんだか置いていかれてるような…差が開く一方だな…
そして、2人は拳を握りしめたまま動かない。
「本当にあの2人は仲がいいな」
リョウスケさんは少し笑う。
「お互い動けないんだ、先に動けば対応されることが分かってるからな…俺の予想だとこいつら痺れを切らして同時に動くぞ」
少しの沈黙…そしてその時は来た…
「「っ!!!」」
本当に、本当に2人は同時に動いた、まるで息を合わせたかのように…
私はその振りかぶられた2つの拳がぶつかる瞬間を待った…
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ではまた次回でお会いしましょう〜




