第三章 第22話「メビウスの思惑」
ーサブサイド本部
「これより、サブサイド最前線支部長定例会を始める」
サブサイド本部に第1〜第5の最前線支部の支部長5人が集められた。
「神島本部長、まずはこいつだろ」
椅子の上にあぐらをかき1人の老人を指差す第1支部支部長、雷殿リョウ。
「人を指差しちゃダメだよ雷殿君…でも、そうだねまずは彼の話からだ」
雷殿リョウを制しつつも賛同する第4支部支部長、龍田ハヤト。
「…そうじゃな。メビウス殿、皆貴殿のことを知りたがっとるんじゃ、すまんが自己紹介を頼むかな?」
神島本部長が皆が視線を送る先に立つ老人をちらりと見る。
「これはこれは…挨拶も無しにここに立っている事、それは謝罪しよう。私はコードネーム:メビウス、この度最前線入りした第5支部の支部長を務めさせていただいている。…そして、私は一部の人間に皆のような異名で呼ばれている…“無限の魔導士”と」
魔導士、その言葉を聞いた瞬間本部長以外の顔が険しくなる。
「魔導士だと?」
「まぁそう熱くなるな雷殿、それは本部長も知ってのことだ何か訳があるのだろう」
ピリつく雷殿リョウをどっしりとした態度でなだめる第2支部支部長、来栖カズサ。
「そうじゃ、彼は確かに王都の人間じゃ…しかし彼を支部長に据えるほどの理由がある。それを今日は皆に聞いて欲しい」
「本部長が信頼しうるほどの情報…楽しみだね…」
龍田ハヤトが興味津々な様子でニヤリと笑う。
「私が何故サブサイドへ来たか…結論から言おう…我々サブサイドはこれより“王都へ反旗を翻す!”」
1人冷静な様子で黙っていた第3支部支部長、斎條レイコが初めて口を開く。
「ほう…」
◇◇◇
1人、窓ガラスに映る自分の顔を見る。
「ひでぇ顔だな」
医務室で目覚めた俺は何もする気が起きずただぼーっと窓の外を見ていた。ただ頭の中であの言葉が繰り返し再生される…「君が!次の“神の器”だよ!」
「俺が…」
その時医務室の扉が開く。
「おはよう、月永くん」
「ハヅキ…」
ハヅキはベッドの横の椅子に座る。
「びっくり…だよね月永くんが神の器なんて…でも、エデンちゃんみたいにはならないってさせないってセリカさんも言ってたし…」
「あぁ…」
「ごめんね…整理つかないよね…でも月永くんには皆んながついてるから、それだけは…」
「分かってるよ…ありがとう…」
俺は自分の頬を叩く。
「シャキッとしないとな、俺がこんなだとみんなに迷惑がかかる!」
俺は立ち上がりハヅキとみんなのいる第1訓練場へ向かった。
訓練場の扉を開けると中から熱気が吹き抜ける。
「やってんな」
そこではショウスケがリョウスケさんに訓練をつけてもらっていた。
「おっヒロト起きたね」
「もう大丈夫なの?月永くん」
「お陰様でな、であいつはなんであんな気合い入ってんの?」
「帰ってきてからずっとあの調子だよ〜」
ダイチが呆れたように言う。
その時ショウスケが吹っ飛ばされた。
「まだまだ無駄が多いぜあんちゃん」
「くっそ…」
ショウスケが一瞬で間合いを詰める、がその攻撃は軽くいなされ胸に掌底打ちをお見舞いされる。
なんとか耐えたが壁際まで足の跡が伸びる。
「ハァ…ハァ…」
「無駄が多いと言っとるだろう、そんな炎をメラメラ出してるんじゃあ気力消費もデカくなる」
確かにリョウスケさんは炎と煙の気術なのに見た目には炎は見えない。
「炎も内に秘めろ、その燃える闘志と同じようにな…必要な時だけ出せばいい」
するとショウスケから炎が消える、そしてまたリョウスケさんへ詰め寄った。
「少しはマシになったじゃねぇか…だが…」
ショウスケの攻撃をかわしつつの回し蹴り、ショウスケの防御は間に合っていた…だがそこからブーストし結局ショウスケは吹っ飛ばされる。
「まだまだなってねぇな、下手くそだそれじゃあ攻撃のタイミングが丸わかりだろ」
ショウスケはフラフラと立ち上がる。
「今日はこの辺で終わりだ。次までにもう少しマシになっとけよ」
「押忍!!」
「何?弟子入りでもしたのか?」
あの様子を見てダイチへ質問を投げかける。
「そうみたいだよ…」
◇◇◇
第1訓練場の簡易シャワールームからショウスケが出てくる。
「おうヒロト起きたか」
「この通りな」
ショウスケは何か少し考えた後ニヤリと笑う。
「ヒロト、今度空いた時に勝負しようぜ」
「いいぜ」
俺も笑いながら応えた。
ショウスケと勝負なんてするのはいつぶりだろうか、お互いがお互いのことを知ってるからいつも引き分けだったな…
そんなことを思い出し、自分が神の器だなんて言われたことも少し忘れられた…そうして、その日はすぐに訪れた…
第三章「聖域と幻獣」 fin…
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今回で第三章は最終話になります、おまけを挟んで第四章のスタートになります。
ではまたお会いしましょう〜




