第三章 第19話「魔級」
全員今すぐ退避…?
その言葉に動揺を隠せない俺たち
「な、何があったんですか!?」
〈現在、その森に魔級自然の怒り…つまり幻獣が向かっています!〉
幻獣、やっぱり魔級っていうのは幻獣のことだったのか。
「幻獣か、なら俺たちでどうにかできr…」
〈無理です!〉
北潟司令長がショウスケの言葉を遮る。
「んな…やってみなきゃわからねぇだろ?俺たちは失った気憶保持者なんだぞ!?」
〈いいえ、分かります。いいですか発花くん、あなた達が聖域で倒していたとの報告があったのはあの聖域から出ればすぐに消えてしまうレベルの幻獣です。今、あなた達の所へ向かっているのは聖域から出て力を衰えさせずにここまで来れるレベルの幻獣、つまり魔級幻獣。気力を消費していてかつまだ力を使いこなし切れていないあなた達では話にならないんです!〉
「っ………」
北潟司令長に圧倒され、ぐぅの音も出なかった。
〈今、失った気憶を使える精鋭2人がそちらへ向かっています。それまで逃げ耐えてください!〉
失った気憶を使える2人…?第3支部に俺たち以外にも居たのか
「とにかく指示通り逃げるぞ、司令長の言う通り俺たちじゃ歯が立たないのは本当だ」
〈なぜ幻獣がそちらへ向かっているのかは調査中です。原因が分かり次第、第4隊にはその原因を取り除いてもらう可能性があるのであしからず〉
◇◇◇
俺たちは木の生えている密度の高いところへ移動しその身を隠していた。
「いつまでこうしてなきゃいけないんだ…」
「発花くん文句言ってる場合じゃないんだよ?」
「リヴァイア、瓶に戻ってな」
「月永くん、飛び散った針は全部消したよ」
「あぁ…」
ハヅキが俺の顔を覗き込んでくる。
「月永くん、どうかした?」
「いや…なんか胸の辺りがムズムズするんだ…」
そう、先程からなんとも言い難い嫌悪感が胸の辺りにあった。
「大丈夫?」
「今はな…っ!」
その時、圧倒的な殺意を感じる。それと同時にインカムに連絡が入る。
〈月永くん、幻獣が森に到着しました。タブレットで幻獣の位置を確認できるようにしたので活用してください。2人が到着するまで後約1時間ほどかかります、逃げ切ってください…〉
俺はタブレットを確認する。まだ遠い…何に釣られて来たのかは知らないが森に入ってからはゆっくり移動している。
〈月永くん、聞こえますか。原因が判明しました。“ゲート”です。〉
「…ゲート」
〈はい、世界渡航者が通ったとおぼしきゲートの残骸が見つかりました。マップに示したところに超高濃度魔力の存在を確認しました。恐らくこの魔力を求めてここへ来たのでしょう。〉
世界渡航者が通ったゲート…そんなものがここに…
〈正直、これはかなり調査したいですが今はゲートから離れてください。到着までもう少しですので…っ!?月永くん!まずいです!この通信気力をやつに探知されました!来ますよ!〉
「え!?」
「ロロロロロロロォオ!!」
森の中に異様な咆哮が走る。
「なんで探知なんてできるの!?」
〈そうか…聖域からここの場所が分かるほどの探知能力、この微弱な通信気力すらも…とにかく、できるだけ戦わず逃げてください!〉
「…司令長、それは無理かもしれません」
〈っ!もう目の前に…!〉
そう、俺たちの視界にはすでに9本の大きな尾を携えた3mはあろうかという1体の巨大狐が入っていた。
「司令長、戦闘許可を」
〈…くっ!分かりました許可します。ですが、あくまで時間稼ぎです、絶対に無理はしないでください…いいですね。〉
「「「「「了解!」」」」」
全員が失った気憶を解放していく。
「影武装!」
「帝王の焔!」
「天空眼!」
「青龍の鎧!」
「略奪の光姫!」
「ロ"ォ"ア"ア"!!」
そいつは咆哮を上げたかと思った瞬間消える。そして、ほぼ同時に少し前で衝撃が起こる。
「「「「!?」」」」
「くっ!」
見るとダイチが幻獣の突進を受け止めていた。
「嘘…だろ…」
「あたしら5人の中でダイチしか見えてなかったの…?」
「発花くん!アオイちゃん!しっかりして!」
「ハヅキの言う通りだ!全員気ぃ引き締めろ!」
受け止めているダイチへ9本の尻尾が向けられる。
「させるかっ!」
ショウスケが飛び出し黄金の炎を纏った拳を放つ。が、それはかわされる。
9本の尻尾が俺たちへ伸びる。
「金剛杵!」
ダイチはそれをかいくぐりながら接近、金剛杵を撃ち込む。
「消えた!?」
ダイチの金剛杵も不発に終わる。そして、やつは俺の目の前に現れる。
「速すぎるっ!くぅっ!」
尻尾を薙ぎ払う。なんとか夜天で防ぐ。
「月永くん!…っ!略奪!え?消え…」
「激流槍!!」
案の定ハヅキの目の前に現れた幻獣にアオイの槍が刺さる。
「今!エンシェントロック!」
光の鎖が幻獣をがんじがらめにする、が…
「ロァアアアア"ア"!!」
咆哮…鎖と槍は吹き飛び、近くにいた俺、ハヅキ、アオイも吹き飛ばされる。
「金剛杵!」
「崩れ牡丹!」
ダイチとショウスケが背後を取り技を繰り出す。が、技が到達する前にその巨大狐は2人に凄まじい速さで回し蹴りをくらわせる。
「「がはっ!?」」
ダイチとショウスケは木へ叩きつけられた。
…その瞬間、恐らく全員が悟った…勝てないと…
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ではまた次回でお会いしましょう〜




