第三章 第16話「セリカの思惑」
またワープゲートをくぐるとそこは聖地ウルファリオンの入り口だった。
「あれ、ここに出るのか」
「あの神殿はほんの数名の限られた人間しか知らないの、たとえあなた達でも場所は教えられないのよ」
巨大な超高密度魔力結晶…あれがあるから聖地ウルファリオンには魔力があるのか…
「王都の連中がここへ押し入ったのもあれが理由よ。連中は魔力を欲してるの…」
預言者セリカは唐突にパンッと手を叩く。
「じゃっ!セリカはこれで帰りますので〜あなた達はくれぐれも気をつけて第3支部に帰るように〜☆」
「なんなんだほんとに…」
いきなり元に戻ったと思ったらすぐに消えてしまった。
「じゃあ帰るか!運転はじゃんけんな!いくぞー…」
7人がこぶしを振り上げた。
◇◇◇
「あ"〜疲れた〜」
じゃんけんに負けた俺は帰り道ずっと運転する羽目になった。
「おつかれ、月永くん」
「そう言ってくれるのハヅキだけだぜ…」
ー支部長室
「第3&第2支部連合隊ただいま戻りました!」
「ご苦労、セリカからだいたいは聞いている…報告はいらん」
斎條支部長は机の上に散らばった資料に目を通しながら俺たちに指示を言い渡す。
「第2の2人は帰りのヘリを用意してある、それで支部へ帰投しなさい。第4隊へは全員へ許可証と任務を与える」
「許可証…?」
支部長は俺へ一枚の紙を渡す。
「第一級自然の怒り戦闘許可証…なんなんですかこれ?」
「自然の怒りにも危険度に応じてレベルが存在する。サブサイドに入隊するだけで第二級自然の怒り戦闘許可は得られるがそれ以外の第一級、特級、魔級には戦闘許可が必要になる。まぁ緊急時や例外は除くがな」
そして…と言いながら今度は任務書を手渡される。
「第一級自然の怒りの討伐任務だ。観測班によれば場所は西の森、目標は大型、発生日時は約1週間前、気力を蓄え徘徊しているとのことだ。任務開始は明日明朝…準備するように!」
「「「「「はいっ!」」」」」
◇◇◇
食堂にて夕食を食べながら任務について話していた。
「しっかし、帰ってきてそうそう任務か〜」
ショウスケが箸を咥えながらダルそうに椅子に仰け反って座っていた。
「でも、自然の怒りにも種類があったんだね、あたしはてっきり自然の怒りは全部今まで倒してきたやつぐらいなのかと」
「そりゃあ気力を蓄えれば蓄えるだけ強くなるからね、僕たちが倒してきたのはほとんど発生して間もないのばかりだったから」
「また敵が強くなるのか〜私はやだなぁ」
「でもその上もあるんだろ?特級と魔級が」
そうなんだよねと言いながらダイチがタブレットを取り出す。
「少し調べたんだけど、特級は発生から1ヶ月以上経ったもの、またレベルの高い知能を持ったものだって」
「知能…自然の怒りに知能なんて宿るのか」
「みたいだね、で魔級っていうのは全然資料が無かったんだけど僕の予想だとこれが幻獣なんじゃないかなって、ほら幻獣は魔力を糧にしてるでしょ?」
「なるほど、だから“魔”級か…じゃあ俺たち魔級をあれだけ倒して来たんだから第一級なんて余裕なんじゃねぇの?」
ショウスケは得意げに言うがハヅキが釘をさす。
「でも幻獣って1人でどうにかできる相手じゃなかったでしょ?そういうことなんだよきっと」
「1人で戦って勝てるかどうか…か」
確かに勝てはしてもその度に重傷だったり気力切れ起こしてたら話にならないもんな…
俺は空になった食器を持ち、立ち上がる。
「とりあえず今日はもう解散にしよう、明日も早いし俺はもう疲れた…」
「そうだね、あたしもリヴァイアの手入れしてさっさと寝るかね」
そうして各々が立ち上がり俺たちは明日に備えた。
◇◇◇
「セレナおねぇちゃ〜ん」
大きな部屋に少女の声が響く。
「なんだセリカ」
椅子に座り足を組んだセレナが面倒くさそうにセリカへ聞き返す。
「疲れた〜魔法返すよ〜」
「はいはいっ」
セレナが指をパチンと鳴らすとセリカの胸から光が現れセレナの手のひらへと飛んでいく。そして、その光はセレナが触れると結晶になった。
「ずいぶんと使ったな」
「だって月永くん、あの龍の傀儡をほとんど1人で倒したんだよ?そりゃそれぐらい使わないと完全回復できないよ〜」
セリカはソファに寝そべる。
「まぁいい、だが落ち着いてられそうにないぞ」
「え〜何〜」
「そろそろ奴らが動き始める」
「も〜せっかちだなぁお姉ちゃんがどうにかしてよ〜」
足をパタパタさせながらただをこねる。
「私は調停者だ直接手は加えられない」
「…で、なにをしようとしてるの〜?」
「エデンを狙ってる、“ワルプルギスの夜”のメインイベントにしようとしてるみたいだな。…どうやって止める?」
「レイコちゃんに頼るしかない…かな…後は彼らをワルプルギスの夜までにそのレベルまで引き上げる」
セレナは少し考えセリカへ提案する。
「…メビウスを頼れ、たぶんあの人が一番の助っ人になる」
「無理…セリカはあの人を信じられない、セリカがセリカの力でどうにかする」
セリカは立ち上がり無言でその部屋を後にした…
そして、セレナは大きなため息を吐く。
「はぁ〜…困った妹だ…」
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ではまた次回でお会いしましょう〜




