第三章 第15話「エデン」
「お前、この子を知ってるのか」
「知ってるも何も…」
預言者セリカは動揺した様子で少女を見つめる。
「いや…あなた…」
そう言って預言者セリカは少女に手をかざす。すると、少女がまるで電波の悪いテレビの映像のようにブレる。
「ちょっと!何してるの!?」
「やっぱりね…あなた思念体ね」
「思念体…?」
「冷静に考えればそうよ、エデンが“あそこ”から出られるはずないもの…でも、どうして思念体を出す必要があるの…」
「おい、預言者!意味がわからん!俺たちに分かるように言え」
ショウスケが痺れを切らし預言者セリカへ迫る。
「いいわ、でもセリカからじゃなくあなた達には直接見てもらうわ」
そう言って預言者セリカは外へ歩き出す。俺たちはその後についていった。
外に出ると預言者セリカはポケットから何かを取り出しおもむろに放り投げる。
するとそれは空中で円を描いた。描かれた円の中の色が変わる。
「ほら、これに入って?ワープゲートよ」
「ワープ…ゲート…」
「これも魔法なのかしら?」
「そうよ、不動院ちゃん。この先でその子…エデンがどういう存在なのかが分かるわ」
俺たちは顔を見合わせ恐る恐るそのゲートをくぐる。
◇◇◇
ゲートをくぐった先はさっきの聖域とは打って変わって暗く、洞窟の中の神殿のような場所だった。
「この先よ」
預言者セリカが前を歩く、案外すぐに大広間に出た…そして俺たちは突然目に飛び込んできた“それ”に言葉を失う。
「これが何かわかる?」
セリカは俺たちに質問する、この巨大な結晶の山がなんなのかと
「気力結晶…?」
「…惜しいわね、これは超高密度“魔力結晶”魔力の結晶よ。そして、この世界のコア、言わば心臓の役割をしてるわ…」
「世界の心臓…」
すると、少女が突然光る。そしてその光は結晶の山の頂上付近へと消えていった。
「そして、あの子がこの世界の最初の神の器、エデン」
「あの子って…魔力結晶の中に入ってるじゃない…!?」
そう、ハヅキの言うように先ほどの少女、エデンの思念体の本体は魔力結晶の中にいた。
「そうよ、彼女はこの世界を守るために自らこうなる事を決めたの神の器の使命を全うしてね」
俺は預言者セリカに質問する。
「おい、さっきからその神の器ってのはなんだ。というか少し前からあのぶりっ子みたいなキャラはどこいったんだ」
「え〜?それは〜おいおい話すとして〜今はなんでエデンが思念体を出したのかだけどぉ〜」
思い出したかのように元の口調に戻る預言者セリカ。
そして、セリカが何か言おうとした瞬間コッ…コッ…と誰かが歩いてくる音がする。
「なぜ…思念体を出したか…それは私がここに来たからでしょうなぁ」
結晶の影から1人の年老いた男が現れる。
「…なるほど、だからエデンが怯えて思念体を出したのね」
またセリカの口調が戻った。
「誤解…と言っても信じてもらえずもう幾つ月日が流れたか…」
「あなたがここに来る資格はないはずよ、メビウスさん」
メビウス…?どこかで聞いたような…
「資格はなくとも許可はある。私とて嫌われている者のところへ好き好んで来たりはせん」
「じゃあ用が済んだならさっさと帰ることね」
セリカはメビウスと呼ばれた男を見ることもせず言い捨てる。
「厳しいのぉ、私も一応サブサイドの人間なんじゃが…」
あの人もサブサイドの…
「ではな、若人諸君」
その人は俺たちの横を通り闇の中へ消えていった。
「あの人は誰なの?あたしたちを知ってるような感じだったし、サブサイドの人間って…」
少し間をおいてセリカが口を開く。
「彼はコードネーム“メビウス”、サブサイド第5支部の支部長であり、この世界を一度崩壊寸前まで追い込んだ魔導士よ」
「第5支部の支部長…!?世界を崩壊!?魔導士!?」
あまりに情報が多く皆戸惑いを隠せずいた…
先程横を通った時はそんな気配は感じられなかったが…
◇◇◇
「セリカ=ウル=ウルファルス、可哀想な女子よ…母の死に縛られ世界を守らんと躍起になっておる…」
神殿からでたメビウスは一度神殿を振り返りまた歩き出す。
「エデンか…かつて世界を救った少女は今や名も忘れられ、“魔力溢れる楽園”と称されエデンと呼ばれた。今となっては我々魔導士の魔力供給源じゃ…悲しいものよ…」
メビウスは拳を握りしめ空へと言葉を投げかける。
「神よ世界は“もう一度”私が救う」
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ではまた次回でお会いしましょう〜




